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ポルトガルの愛を届けて

  帰国するポルトガル人夫妻から所有する多くのポルトガルの品々を託された日本人女性がいる。美術品とこだわり雑貨の企画・販売「アール・ラモ(art rameau)」の吉田枝里子(よしだ・えりこ)さんである。
 吉田さんが個人事業を立ち上げた後、何かビジネスを広げるきっかけになるのではないかとの思いからギフトショーを訪れて、そこのポルトガルのブースで日本人スタッフの方と名刺交換したのが始まりだったという。
 そのスタッフの方から電話があって、「一度ポルトガル文化センターにお越しください」と吉田さんは言われた。

吉田枝里子さん


 「そこで私に対応してくれたのがジョゼ(・アルバレス)先生だったのです」と吉田さんはいう。
 吉田さんは「もともとポルトガルにあこがれがありました。10代の頃、久保田早紀の「異邦人」がヒットして、好きになったのです」。
 「それから、久保田さんがポルトガルに行って、そこで着想を得て曲を書いて録音したLP『サウダーデ』を買いました」。
 「「4月25日橋」という記念の日をタイトルにとった曲や「アルファマの娘」といった海に近くてファドを生演奏する店が多い地名を織り込んだ歌があったり、そのうえ現地のミュージシャンと録音したアルバムでした」。
 「そのアルバム全体の雰囲気が好きだったので、ポルトガルにもあこがれたのです」と振り返った。

久保田早紀『サウダーデ』


 吉田さんはポルトガル文化センターと取り引きを始めた。最初、そのセンターを公共のものだと思っていたが、実は夫婦のプライベートな機関で、夫婦が出資して管理していたという。語学教室もそこで開かれていた。

マヌエラ&ジョセ・アルバレス夫妻


 アルバレス夫妻は2021年に帰国することになった。その際に多くのポルトガルの品々を置いていくからと吉田さんに託していったのだという。
 そこで吉田さんはその品々を企画販売することになった。そして売り上げを報告してアルバレス夫妻に支払っている。
 最初は引き継いだものを中心に販売していたが、かわいい小物がよく売れていくので、独自に商品を追加していると吉田さんは説明した。
 なお、アルバレス夫妻は2020年に瑞宝小授賞を受けた。「日本におけるポルトガル語等の普及及び日本・ポルトガル間の相互理解の促進に寄与」したことがその叙勲の理由だった。
 在ポルトガル日本大使館によると、アルバレス夫妻は1969-2017年の48年間にわたり、日本でポルトガル語講師を務めた。
 外務省研修所、内閣府などの政府機関において100人以上のポルトガル語を専門とする外交官などを養成した。また、日本におけるポルトガル文化・言語普及およびポルトガル語言語研究にも貢献した。
 ジョゼさんは1968ー2017年の間に、東京大学、上智大学、東京外国語大学で通算49年教鞭をとった。
 「アール・ラモ」はフェイスブックをやっている。今後の予定はそちらをチェックしてほしい。

種子島に鉄砲が伝来して450周年の記念タイル
ギターやファドのCDなど
タイル作家・阿部美知子さんの絵付けタイル工房AZULより

 「アール・ラモ」はポルトガル関係だけでなくフジ子・ヘミングや藤田嗣治の作品の販売も手掛けている。
 2023年7月20日(木)から25日(火)まで「クラブハウス(CRAB HOUSE)」(川越市仲町3-24大正浪漫夢通りカニヤ2F)にて「蔵の街で味わう大正浪漫 竹久夢二展」を開く。開催時間は午前10時半から午後6時まで。ただし初日は午後2時から、最終日は午後3時まで。
 大正浪漫を代表する作家である竹久夢二。高級雑誌「婦人グラフ」を飾った作品など貴重な初版(大正から昭和初期)を中心に約20点を展観する。
 また、夢二と同時代を生きた藤田嗣治の版画など、お勧め作家による作品も出品される。川越の街並み、大正建築が並ぶ大正浪漫夢通りと併せて楽しんでほしいといっている。
 会場の連絡先はcrabhouse@kaniya.bizでホームページはhttps://crabhouse.kaniya.biz/。 


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