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原子力規制委1.31会合

 原発を運営する電力会社は規制当局に促されるからでなく自主的な安全性向上の取り組みをさらに行うことが義務であるとの指摘が、2024年1月31日(水)に行われた原子力規制委員会でなされた。
 杉山智之委員は「私がショッキングだったのは、規制範囲を規制委がきちんとみたうえで、そこから先が(電力会社による自主的な)安全性向上の取り組みという階層構造が世間に理解されていない」ということだと述べた。
 「社会による監視が必要とされているが、何を監視するのか分からない。規制要求を満たしたうえで、さらなる安全性向上を図るという義務(が課されている電力会社を社会全体に)監視してもらうこと」だと付け加えた。
 伴信彦委員は、問題は「いかにして事業者(電力会社)の主体性を引き出すかということ」だと発言した。「簡単に結論は出ないが、どういう制度がいいのか。社会環境やマインド設定が関係してくる。今これでいいのか、将来はどうか、と言う大所高所からの意見が必要だろう」。
 安全性向上委員会という名称がよくないので、これを「事業者による安全性向上検討委員会」としてはどうかという意見が紹介された。
 また規制当局の安全性向上への関り方について「形式的チェックで中身に関わっていない」点を「当然の課題」とはした。
 ここにおいても、社会による事業者の活動の監視が出来ていないとの指摘がなされて、それに関連して「社会をある程度代表する第三者的な人たちが監視することも」との意見もあった。

カルデラ火山
 また火山に関する安全性の議論について、九州電力においては「カルデラ周辺の地下構造については丁寧に見ていく必要がある」とされた。
 九電、日本原燃ともに「カルデラ火山の地下構造について最新知見に基づいてリバイズしてゆくがリソースが必要」との話があったという。
 九電では佐賀県の玄海原発の4号機、鹿児島県の川内(せんだい)原発の1,2号機が運転中。川内原発を囲むように阿多(あた)カルデラ、姶良(あいら)カルデラ、加久藤(かくとう)カルデラ、小林カルデラ、阿蘇カルデラがあることが知られている。
 日本原燃は青森県六ケ所村にウラン濃縮工場を持つ。
 さらに今年の1月24日に高浜原発で起きた電気出力の低下について「原因は(ある水系の)配管付近での蒸気漏れでベント管の溶接部に長さ35ミリの損傷があった」と関西電力から報告があったという。
 今回は「高サイクル疲労」だと考えられるという。
 関電は損傷があったのにもかかわらず、「二次系の配管だし、安全上重要な」箇所ではないのでと説明したという。
 今後、規制委の評価の対象になるという。

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