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神宮外苑の樹木を守れ!

 「無理な希望を抱くことが大切です。伊藤忠などが参加して多くのカネが動いている事業です。どう考えても勝ち目はない。でも無理な希望を抱くことで勝つチャンスが出てくると思うのです」ーこう語ったのは伐採あるいは移植される神宮外苑の銀杏の保護を訴えているカベル・チャールズさん。
 チャールズさんらは2023年8月27日(日)にこの銀杏の木18本の近くで行われた神宮外苑「チップコー命の木」フェスティバルに参加した。チップコとは約50年前にインドで行われた非暴力の森林保護運動で、木々を取り囲んで伐採されようとしていたヒマラヤの森を守ることに成功した。
 インドでは主に女性たちが木を守ったという。チャールズさんは言う「女性たちが木を助けたのでしょうか。木が女性を助けたのでしょうか。私たちは木を守ってきたつもりですが、木が私たちを守ってくれているのです。木の運命と私たちの運命とは結びついているのです」。

カベル・チャールズさん 
銀杏の木を抱きかかえる支持者たち

 クリスティン・ニュートンさんは語った。「大正天皇から一般市民までの人々から9万本の木々が贈られてきて、さらには60万人ものボランティアの人が参加して、この場所(神宮外苑)が作られました。明治天皇をしのぶ場所が東京に欲しかったのでしょう」。
 「関東大震災、第二次大戦の空襲を経ても、木々はすべて残りました」とニュートンさん。「それを伐採するのでしょうか」。

(左から)原マリアンさん、クリスティン・ニュートンさん、カベル・チャールズさん


 ボランティアの福守純(ふくもり・じゅん)さんは「この西側の銀杏並木の近距離に神宮球場が移設される予定で、この18本があると何も出来ない。以前は伐採するといっていたが、今は移植するといっている。しかし深く張った根を全て移すことが出来るのでしょうか。疑問です」という。
 問題になっているのは明治神宮外苑再開発である。新宿区や港区、渋谷区にまたがる大規模事業で、神宮球場や秩父宮ラグビー場が場所を入れ代えて新たに建てられるほか商業施設が入った高層ビルが建てられる予定だ。
 700本超の樹木が伐採され、高さ200メートル近い高層ビル二棟が新築される計画。樹齢100年の木々もかなりの数含まれているという。また上記の神宮外苑西側の銀杏18本もこの中に含まれる。
 福守さんによると、伊藤忠は新たに高さ180メートルと195メートルのビルを建てる予定ですが、現在のビルはまだ40年程度しか経っておらず、建て替える必要があるのかどうかは疑問だという。
 神宮外苑の再開発計画は伊藤忠のほか、三井不動産、東京都、明治神宮によって進められようとしている。

伊藤忠の現在の東京本社ビル


 「神宮球場も2006年から12年までの予定で改修を行っていたのですが、今どうなっているのかという情報がネットから削除されてしまいました。その改修で建て替えの必要がなかったのでは」と福守さん。
 福守さんはいう。「高層ビルが建つことによって、新しい神宮球場は日陰になったり、ビル風によってプレイに影響が出る可能性もあります」。

現在の神宮球場


 公園はその公共性などから本来開発が出来ない。そこで東京都は高層ビルが建てられるようにと、神宮外苑の一部を「都市計画公園」の区域から外した。公共性の高い公園を再編して、企業、デベロッパー、地権者主導で「まちづくり」が出来るように仕組みを変えてしまったのだ。
 さて、神宮外苑「チップコー命の木」フェスティバルでは木を身体に描くパフォーマンスも行われた。著名な画家アンドリュー・ボエジャーさんがモデルの中島美芳(なかしま・みほ)さんにボディペインティングを施した。

アンドリュー・ボエジャーさんと中島美芳さん

 また、蓑毛かおり(みのもかおり)さんによる絵本「大きな木(Giving Tree)」の朗読も行われた。英語の朗読はフランシスさん。この絵本の翻訳は、神宮外苑の樹木伐採計画に反対している村上春樹さんが手がけている。

蓑毛かおりさん(右) 

 ミーシャ・リーさんと永田弘二さんによる音楽パフォーマンスも披露されていた。永田さんがギターを弾いて、リーさんがオリジナル曲の「If You」などを歌っていた。二人の前には演奏に耳を傾ける聴衆も。

ミーシャ・リーさんと永田弘二さん

 書道の大家ウィリアム・リードさんによるデモンストレーションも行われた。広げた半紙に筆で黒々と左に円、これは木を表しているといい、中心に種を書いた。右には「樹」という字を書いた。

ウィリアム・リードさん  
紙芝居も行われた

 さらには東京都議会議員(無所属)のもり愛さん、日本共産党新宿地区委員会くらし・若者応援室長の中村たかゆきさん、日本共産党港区議会議員の風見利男さんも駆けつけた。




 
 

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