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オノ・ヨーコさんは今

 前衛芸術家で歌手、平和・環境運動家、そしてジョン・レノンの妻であるオノ・ヨーコさんは今、どうしているのだろうか。2023年2月18日にヨーコさんはちょうど90歳の誕生日を迎えたところである。
 誕生日を祝して、ジョンとヨーコさんの息子ショーンはオンライン版の「ウィッシュ・ツリー(願かけの木)」を立ち上げた。
 世界中の人たちがオンラインで願い事を投稿することで、森林を回復し、様々な生物の生息地を生み出し、地球規模でポジティブな社会的インパクトを与えることによって、環境支援を行う団体One Tree Plantedと協力、世界各地に植樹する運動を展開するというものだ。


 2022年3月、世界中がロシアのウクライナ侵攻などで緊張と怒りと哀しみに包まれる中、ヨーコさんは「IMAGINE PEACE」というメッセージを再び発信した。「IMAGINE PEACE」(平和を想像してみよう)を各国の言葉に翻訳したものが、ロンドンのピカデリー・ライツをはじめ、ロサンゼルス、ミラノ、メルボルン、ニューヨーク、ベルリン、ソウル、東京・渋谷などで大きなボードに浮かび上がる、そんなキャンペーンが展開された。


 だが心配なことにヨーコさんの健康の不安が拭えないようだ。ヨーコさんと長いつき合いがある音楽業界の人はこう語っていた「もう5年くらい(ニューヨークの自宅である)ダコタ・ハウスに帰っていないようです」。
 2016年2月26日、ヨーコさんはダコタ・ハウスで倒れて、近くの病院に搬送された。「脳卒中」と報じられたが、息子のショーンは「脱水症状と過労。彼女は大丈夫」と説明。翌日、彼女は退院した。
 週刊新潮2017年4月11日号によると、実弟の小野啓輔(おの・けいすけ)さんはいう。2017年1月中旬ころ、ヨーコさんは体調がすぐれないので日本の医者に診てもらうために来日していたという。
 啓輔さんは、ヨーコさんが認知症の一種であるレビー小体型認知症(DLB)であると語った。DLBとは、老化に伴って神経細胞が死んでいって、認知症などの症状が現れてくる疾患のひとつだという。
 「子どものショーンから聞いたんだよね、俺は。去年(2016年)の2月の一件はインフルエンザということだった」。
 「DLBだと分かったのは、去年(2016年)の5月か6月かそのへんだけど、今から考えると2月の段階ですでにそうだったんだな。ショーンに音楽活動はどうするんだよって聞いたら「ストップする」って感じで」。
 さて、ソニーミュージックは、1968年から85年までにリリースされたヨーコさんのスタジオ・アルバム11作に焦点を当て、ヨーコさんの音楽活動の再評価を目指すプロジェクトを展開中だ。未発表写真やアーカイブを掘り起こし、適切なキュレーションを行い、音源は最新のリマスターを施し、時代を超える数々の作品の決定版を世に問うもの。
 2016年には『未完成作品第1番 トゥー・ヴァージンズ』(1968)、『未完成作品第2番 ライフ・ウィズ・ザ・ライオンズ』(69)、『ヨーコの心/プラスティック・オノ・バンド』(70)の最新版が発売された。続けて2017年には『フライ』(71)、『無限の大宇宙』(73)、『空間の感触』(73)がリイッシュされた。
 2019年には『未完成作品第3番 ウェディング・アルバム』(69)。
 2023年中に、『ストーリー』(74年録音、92年リリース)、『シーズン・オブ・グラス』(81)、『イッツ・オールライト』(82)、『スターピース』(85)の4枚が再発売される予定だ。


 ヨーコさんの業績としてあまり知られていないのが、リミックスなどの手が加えられたヨーコさんの楽曲およそ10曲が、米ビルボード誌のダンス・チャートでナンバー・ワンを獲得しているということである。
 ダンス・ミックスが施されたこれらのヨーコ・ナンバーをまとめたコンピレーション・アルバムを売り出してはどうだろうか?
 古くからの音楽ファンの間では、ヨーコさんに「ビートルズを解散させた女」「ドラゴンレディ」というイメージを持ち続けている人も多いという。
 だが、クラブなどでヨーコさんの楽曲をそういうダンス・ミックスして彼女の音楽世界に触れることになった若者たちの間では、ヨーコさんは人気あるアーチストの一人らしい。
 だからこそ、No.1ダンス・バージョンのヨーコの楽曲を再び世に問うことは、ヨーコさんにつきまとう「悪女」のイメージを払拭することに役立ち、彼女の再評価につながるのではないかと思う。
 

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