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平櫛田中彫刻美術館へ

 日本を代表する彫刻家の一人の作品を展示する平櫛田中(ひらくしでんちゅう)彫刻美術館を2024年2月12日(月・祝)に訪ねた。
 この美術館(東京都小平市学園西町1-7-5)は、西武多摩湖線の一橋学園駅南口から歩いて少々かかる住宅街に現れる。
 すぐ近くには玉川上水に沿って続く遊歩道があり、のどかな所だ。


 平櫛田中は1872(明治5)年、岡山県に生まれた。青年期に人形師のもとで彫刻の修行をした後、1897(明治30)年、25歳の時に上京し、下谷区谷中の長安寺に寄宿。
 1907(明治40)年、文部省第1回美術展に《姉ごころ》を出品し入賞。木彫研究の団体を結成し、岡倉天心を会長に迎える。
 美術界の指導者・天心らの影響を受けて、仏教説話や中国の故事などを題材にした精神性の強い作品を制作していく。
 昭和初期以降、彩色の使用を試みて、「伝統」と「近代」の間に表現の可能性を求めてゆく。1942(昭和17)年、第29回日院展に《鶴しょう》を出品。野田美術賞を受賞。
 鶴しょうとは本来は鶴の羽毛で作った衣のことをいい、ボストン滞在中の天心が好んで着ていたという。

平櫛田中《鶴しょう》1977年 木彫 小平市平櫛田中彫刻美術館蔵

 平櫛田中は1944(昭和19)年、東京美術大学(現・東京藝術大学)の教授となる。1950(昭和25)年、自作の彫刻27点、所蔵の現代彫刻106点の計133点を東京藝大に寄贈。
 1954(昭和29)年、文化功労者、その8年後には文化勲章顕彰。
 1970(昭和45)年、長年住んだ東京都台東区から小平市に引っ越す。1979(昭和54)年、小平市の自宅で永眠。107歳だった。
 本美術館は1984(昭和59)年、その邸宅を広く公開するため「小平市平櫛田中館」として開館。その後、展示館を増設し、今日に至る。

平櫛田中《新春》昭和元(1926)年頃 木彫彩色 小平市平櫛田中彫刻美術館蔵 
平櫛田中《尋牛》制作年不詳 木彫 小平市平櫛田中彫刻美術館蔵
小平市平櫛田中彫刻美術館庭園

 開館時間は午前10時から午後4時。休館日は火曜日(ただし祝日の場合はその翌日)。年末年始と展示替え期間も休館となる。
 観覧料は一般300円、小・中学生150円。

 

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