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書家・石川九楊のすべて

 書による表現で時代を反映した作品を書き続けてきた石川九楊(いしかわ・きゅうよう)。その石川の創作の全容を明らかにする連続展「石川九楊大全」が上野の森美術館(東京都台東区上野公園1-2)で2024年6月8日(土)から7月28日(日)まで開催されることになった。
 石川九楊作品は、2020年、東京都現代美術館(MOT)でアンリ・マティスらとの「ドローイングの可能性」が企画開催されるなど、書というジャンルをこえて現代美術の領域からも高い評価を得ている。
 「書」という営みを解明した石川九楊の「筆蝕論」は、書論・書史論にとどまらず、表現論、日本語論、さらには現代を読み解く文化・文明論へと展開し、英語や中国語にも翻訳されるなど、海外からも注目されている。
 本展では作品の全容を展示するために会期をひと月ごとに分ける。
 6月開催の「古典篇 遠くまで行くんだ」では「歎異抄」「源氏物語」や「徒然草」、中国の「李賀」の詩など古典に取り組んだ作品や、「千学文」を盃1000枚に綴った「盃千字文」などを紹介する。

 源氏物語書巻五十五帖「若菜 上」59cmX94cm 2008年
 源氏物語書巻五十五帖「椎本」59cmX94cm 2008年
 歎異抄 No.18 92cmX57cm 1988年
徒然草 No.22 22.cmX62cm 1993年


 7月に開かれる「状況篇 言葉は雨のように降りそそいだ」では現代作家や自作の詩文の言葉を書いた作品を展示する。
 いずれにおいても大型の新作を発表する予定。

 エロイ・エロイ・ラマサバクタニ  270cmX341cm 1972年
「ヨーロッパの戦争」のさなかに―人類の未熟について 95.0cmX60.0cm 2023年


 会期中には講演会も企画している。テーマは悪筆論。2023年10月に芸術新聞社より発行予定の三島由紀夫、川端康成、松本清張ら作家の書と文学のつながりを説いた「悪筆論」について語る。
 石川九楊大全展の特設サイトはhttps://ishikawakyuyoh-taizen.com/

 


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