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ニッキー・ホプキンスの映画

 セッション・ミュージシャンとしては知られていたがその素顔は謎のピアニスト、ニッキー・ホプキンスのドキュメンタリー映画「セッションマン」(「The Session Man」/2023年/イギリス/90分)が2024年9月6日(金)から日本でも池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺をはじめとして全国で上映される。
 この日は奇しくも彼の命日(94年)だ。
 日経BP社の「ザ・ビートルズ人物大事典」によると、ニッキーは1944年、ロンドンに生まれた。シリル・デイヴィスのバンドで頭角を現し、60年代半ばにはセッション・ピアニストとしてキンクス、ザ・フー、ローリング・ストーンズらのレコーディングに参加。
 68年にはビートルズのレコーディングに参加して「レボリューション」のエレクトリックピアノを弾いた。
 これが縁で、ビートルズ解散後にはジョン・レノンの『イマジン』に参加。ニッキーはいう「ぼくは「イマジン」のオケ(のアウトテイク)でエレクトリック・ピアノを弾いた。「ジェラス・ガイ」でメインのピアノを弾いているのもぼくだ。「クリップルド・インサイド」と「オー・ヨーコ」と「兵隊にはなりたくない」にも参加した」(ジョン・レノン「イマジン:アルティメイト・コレクション」のライナーノーツ)。
 また、ポール・マッカートニーの『フラワーズ・イン・ザ・ダート』、ジョージ・ハリスンの『リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』、リンゴ・スターの『リンゴ』などのアルバムにも加わった。
 50歳で亡くなるまでに携わったアルバムは250枚以上といわれる。
 また自身も10枚以上のスタジオアルバムを残している。中でも一番知られているのは(冒頭の写真のジャケットの)「夢みる人(The Tin Man was a Dreamer)」(73)だろう。
 ビートルズのアップルスタジオで、ジョージの前述アルバムとローリング・ストーンズの『山羊の頭スープ』のレコーディングの合間に制作された。ジョージ、クラウス・フォアマン、ボビー・キーズらが参加。

平凡な楽曲が特別なものに
 多くのミュージシャンがニッキーはロックンロール、ブギウギ、ブルースとさまざまなスタイルを弾けて、彼が手を加えると曲の幅が広がり、平凡な楽曲が特別なものになると証言する。
 映画の中では、ニッキーの才能を高く評価する音楽プロデューサー、共に活躍してきたミュージシャンたちが彼の才能豊かな音楽性を語るほか、63年にクーロン病と診断された後、闘病生活を強いられた実態にも迫る。
 ニッキー自身のインタビュー、コンサートや録音スタジオでの演奏風景、参加したバンドやミュージシャンとの写真やアーカイブ映像など、ロック史を辿る貴重な資料も多数収録されている。
 監督・脚本・制作はマイケル・トゥーリン。制作総指揮はフランク・トルチア。共同プロデューサーはマイク・シャーマンとジョン・ウッド。撮影監督はルーク・パーマー。ナレーターはボブ・ハリス。
 字幕監修はピーター・バラカンと朝日順子の両氏。


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