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落語日記 コロナ禍が明けたことを実感させてくれた寄席

鈴本演芸場 4月上席昼の部 高座舞 金原亭馬生・小馬生主任興行
4月7日
鈴本演芸場で恒例となっている高座舞の特別興行は、2019年4月27日に拝見して以来、この日は久々の観賞。というのも、最後に観た2019年の翌年からコロナ禍が始まり、高座舞を始めとする茶番や鹿芝居などの寄席での特別興行が相次いで中止となっていたからだ。
前回の高座舞の特別興行が開催されたのは、2020年4月上席。1日から一旦開催されたのだが、政府の緊急事態宣言とそれに伴う寄席に対する営業自粛要請を受け、4日から寄席全体が休業となってしまい、開催中の高座舞も3日間で終了となってしまった。
その後、これらの特別興行は再開出来ずにいたが、昨年5月8日に新型コロナウイルス感染症が「5類感染症」に変更され、通常の医療提供体制に移行したことを受け、今回4年ぶりの再開となったのである。

この高座舞の芝居は、座長である金原亭馬生師匠が主任となり、馬生一門を中心として、鈴々舎馬桜師匠、金原亭世之介師匠、古今亭菊春師匠などのベテランと、その他の若手真打や二ツ目の皆さんが社中を組み、落語と踊りを披露してきた。今回は、金原亭馬玉師匠が小馬生と改名して、馬生師匠と二人で日替わりで主任を務める番組となっている。小馬生師匠にとっては2月に改名してから、初主任の高座なのだ。
馬生一門の中で小馬生師匠は、踊りや鹿芝居などの芸事においてはひときわ目立っていて、舞踊の才は抜きん出ていると感じていた。この小馬生師匠の実力は、馬生師匠のみならず馬生一門ファンならみな認めるところだと思う。
今回の高座で馬生師匠がおっしゃったのは、ゆくゆくはこの高座舞の座長を若い者に継がせたいということ。しかし、馬生師匠からは小馬生師匠を次の座長に指名する言葉はなかった。
この話を聞いて、今回の高座舞を馬生師匠が小馬生師匠と二人で主任を務めたのは、小馬生師匠に座長を引き継がせることのお披露目のような意味合いがあると感じたのだ。実際に、この日の高座舞の舞台では、今まで馬生師匠が担ってきた座長の役割を小馬生師匠が務めていた。このことからも、馬生師匠の意図が伝わってくる。
また、この日の小馬生師匠の踊りは、明るさと綺麗な所作を見せ、正に馬生師匠ゆずりの見事なものであった。菊春師匠や小駒さんとのコミカルな絡みもなかなかに楽しく、小馬生師匠は馬生師匠の後継者として遜色のない座長ぶりを見せてくれたのであった。
この日の出演者の皆さんの高座が充実していたのは勿論、高座舞での姿を拝見していると、やっとコロナ禍が明け、平穏な日常が戻ってきたんだなあと、しみじみ感じさせてくれた寄席であった。

番組

金原亭駒介「小町」

三遊亭歌実「式場予約」

翁家勝丸 太神楽曲芸

金原亭馬治「紙入れ」

柳亭こみち「時そば」

ロケット団 漫才

古今亭菊春「替り目」

春風亭正朝「祇園会」

だるま食堂 コント

柳家はん治「妻の旅行」

仲入り

花渡家ちとせ 浪曲「秋色桜」

柳家小満ん「馬のす」

橘家圓太郎「桃太郎」

アサダ二世 奇術

金原亭小馬生「大山詣り」

大喜利 高座舞
「槍錆」馬治・小駒・菊春
「茄子と南瓜の喧嘩」だるま食堂
「風折烏帽子」かっとび・歌実・馬太郎・ちとせ
「並木駒形」小馬生・小駒(パンダ)・菊春(団十郎)・馬生 総踊り
最後は馬生師匠の音頭で三本締め


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