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落語日記 番外編 自分のプライベートをネタにする見上げた芸人根性

ロケット団定例集会 其の101
6月26日 江戸東京博物館 大ホール
この日は、池袋演芸場の桂やまと師匠主任興行に続いて、人気漫才コンビのロケット団の独演会に初めて参加してきた。演芸会の梯子は久しぶり。
この「定例集会」は、本来は末廣亭の深夜寄席の枠で定期的に開催していたが、コロナ禍の影響で末廣亭では開催出来なくなっていた。前回の100回目の会も、昨年春に開催予定だったのが、コロナ禍の影響で延期され、9月11日に「結成20周年記念 大定例集会 其の100」として池袋のサンシャイン劇場で開催された。この100回目の会から9ヶ月ぶりの開催となり、待ちかねたファンで、大ホールながら満員御礼札止めとなった。
座席は、市松模様の配置など感染症対策もなされての開催。座席ごとの連絡先の提出など、さすが都の施設は厳重だ。

座席で開演を待っていると、会場に流れた諸注意アナウンスが三浦さん。時々ふざける内容で、会場を沸かせる。サービス精神旺盛な三浦さん。まずは、前座というか、前説のような後輩二組の漫才から。

キラーコンテンツ「鎌倉幕府」
初めて拝見。ツッコミ担当の和出さんが振る色々な話題に対して、ボケ担当の長谷川さんがなんでも歴史の話に結び付けてボケまくる。この日は、どんな話題でも最終的には鎌倉幕府へと繋げるボケ。最後までこのパターンで完走。お約束の可笑しさを味わう。

カントリーズ「美容師」
落語芸術協会所属なので、芸協の寄席で何度か拝見している。小柄な福田さんがふざけた美容師となってボケまくり、大柄なえざおさんが被害にあう客として、怒りの表情でツッコミまくる。メリハリが効いてスピード感溢れる漫才。この後輩二組の漫才で、客席は十分に温まる。

ロケット団「離婚報告」
お待ちかねの登場に、満場の拍手がしばらく続く。ご贔屓さん達の9ヶ月間待ちわびた感が、この鳴りやまない拍手から伝わってくる。まさに、定例集会の名前が象徴しているように、熱狂的なファンの集まりであることが分かる。そんなに熱心なファンでもなく、今回が初参加の私でも、この登場時の拍手の嵐には、少し胸が熱くなった。
ファンの間では有名な話なのだが、今年、三浦さんが離婚された。寄席など今までの出演した舞台では、この話題には触れなかったので、今回の定例集会が、ファンに対して初めて報告する場となった。と言うことで、前半の漫才のネタは、三浦さんの離婚報告が中心の話題。
散々、芸能人の下世話な話題をネタにしてきたロケット団としては、演者自身のこととは言え、こんなに美味しい材料はない。「皆さんに重大な報告があります」の冒頭から、三浦さんがとぼけてボケまくり、なかなか本題に入らない。焦れた倉本さんが突っ込みまくり会場を沸かせる。この話題で引っ張りまくる。長尺の独演会ならでは、このネタをじっくりと料理されている。
倉本さんにも、離婚テストのようなものをやってからかう三浦さん。真面目に答えて振り回される倉本さんも可笑しい。離婚の話題から、再婚するならどんなタイプ?、と話を前進させる。この会話で何気に挿まれる「綾瀬はるか」の名前で笑わせる。
前半は、終始、三浦さん自身がネタとなり、仲間のサンドウィッチマンの伊達さんやナイツの塙さんも登場するネタとなった。得意の時事ネタは登場しなかったが、笑いの形式はいつものロケット団だった。

換気休憩 ロケット団・中津川弦
仲入りの休憩時間中も、ロケット団の二人に加え、漫談家の中津川弦さんが登場。
三人が舞台で、グレープカンパニーが配信しているYoutubeのコメント欄に書き込まれたロケット団への意見を紹介。なかなかに皮肉が効いた強烈なコメントが登場。休憩時間も飽きさせないロケット団。

中津川弦 「心のワクチン~弦ちゃん愛の物語~」
後半の舞台は、中津川弦さんが残って一人舞台。私は初めて拝見するが、ロケット団ファンの間では、弦ちゃんとしてお馴染みのようだ。
漫談は、ほのぼのとした心温まるエピソードが続くもの。この日の漫談は、「心のワクチン」と題して紹介されるのが、健康食品の「しじみ習慣」のこと。これが下げになっている。弦ちゃんの不思議なキャラが可笑しさの源泉という漫談、なんとなく釣られて笑ってしまう不思議。

ロケット団「新しいジャケット・都知事になったら」
この日は、時間たっぷりの長いネタが二席。後半は、寄席でも掛けられそうなネタのユニットが、いくつか組み合わされて披露された感じ。
まずは、三浦さんが派手なジャケットを買ったという話題に、何色のズボンが合うだろうという会話で進む。青色のジャケットに白色のズボンで、まるでローソンの店員、そんなコーディネートに、倉本さんがツッコミまくるというネタ。
そこから、いつもの毒舌の効いた時事ネタや薬物ネタがちりばめられる。大いに笑ったのは、もしも都知事になったら、どんな中継で番組に出演するか、というコントのようなネタ。三浦さんがふざけた都知事になって倉本アナを翻弄する。

二人の漫才では、三浦さんに振り回されているような倉本さんだが、ネタを誘導するコントロール役を上手くこなしている。自由奔放な三浦さんのボケも、倉本さんのコントロールが効いているので、その可笑しさが増しているように思える。
結論としては、二人の役割分担が見事な、そんな、素晴らしい漫才コンビがロケット団だということを、改めて実感した会だった。

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