空冷ねこ

あれやこれや

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黒猫のさんぽ

青空のもと冷たい風が吹きます。 ぴゅうぴゅうぴゅう。 黄色くてきれいなイチョウの葉もぜんぶ落ちてしまいました。 寒くて冷たい冬がやってきたのです。 冬の町に一匹の黒猫がいました。 黒猫は今日もパトロール。 いつもの道を見回ります。 道ばたで一人の女の子が泣いていました。 「大切なものをなくしてしまったの。 それはもう戻ってはこないの」 黒猫は頭をなでられながら話をききます。 黒猫は思いました。 この子の悲しみはこの子のもの。自分にはどうすることもできないと、黒猫は知っ

    • つれづれ近況

      物を書くこと、発信すること、その意欲が低くなりしばらくできずにいる。 今年3月から喘息やら肺炎やらになって、しかも繰り返し、主に元気では無い生活を送っている。 体力や気力の余りがないと、目先のことばかりになってしまう。考える時間、思索する時間、深める時間、身を任せる時間が圧倒的に少なく、十分に味わうことが出来てない春夏だったように思う。 味わうことが出来なくても、子供たちは日々成長している。 娘のほぼ禿げていた髪も伸び、女の子らしく見えるようになった。自己主張は日増しに

      • あの日の海

        陽を浴びて 海水に足を浸し 波の行き来を、冷たさを、肌で感じる 砂粒の違和感 濡れるのさえ気持ち良い スカートの裾が水に浸かれば もうどれだけ濡れても同じこと この楽しさを我慢する方が惜しい 貝を掴む、眺める つやつやと 光る 手ざわりが指に楽しい こんな色もあったのか 私は生きている 赤子だったのはつい昨日のこと 母に連れられ、海で遊んだ そう、この海だ 今日もまたここで遊んでいる 明日も遊ぶのだろう 夢のよう 愛の夢を見よう 顔いっぱい陽の光を浴びて ここで遊ぼう

        • ワイヤレスイヤホンを外し、見入っていたスマホから目を離す。いつの間にか雨が窓を打っていて、その雨音がうまく聞き取れないけれど人の声に聞こえドキリとした。

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        黒猫のさんぽ

          母へ

          漫然とアイスを口に運ぶ。 今日は母が亡くなってから10年目の命日だ。 私は今や2児の母となったが、私にとっては亡き母が私の唯一の母で、未だに甘えたい気持ちがある。 昨日は墓参りに行った。小高い山の上にある広い墓地、その中に3階建ての納骨堂。狭い駐車場に車を停め家族と手を合わせに行った。途中にあるコンビニで母が生前よく飲んでいた缶コーヒーと、飴やチョコを買う。死者がどうやってお供え物を食べるのかは分からないが、実際にお供えした酒の味などは落ちるらしい。きっと食べてくれるだろ

          好きだったものがいつの間にかどうでもいいものになっていることが悲しい

          好きだったものがいつの間にかどうでもいいものになっていることが悲しい

          悲しいものから目を逸らすのは逃げというよりは防御だから。戦わずに逃げてもいいと思うの。でも自分にできることは、できるだけしたいから、守るために戦うのは大切

          悲しいものから目を逸らすのは逃げというよりは防御だから。戦わずに逃げてもいいと思うの。でも自分にできることは、できるだけしたいから、守るために戦うのは大切

          痛みを 心のトゲトゲを 透明な小石にして 小川の中で さらさら さらさらと 洗ってもらう

          痛みを 心のトゲトゲを 透明な小石にして 小川の中で さらさら さらさらと 洗ってもらう

          ほこり

          部屋の中 明かりに照らされたほこり これは私 私のものだった時間 胎の中で魚だったころ 祖母の作る肉吸い 英単語とラジオ 母の手のひら 彼と食べる定食屋のアジフライ   夏の終わり  青すぎる空 母が骨になるまでの待ち時間 波がさらっていく指のあいだの砂 光る 光る

          6月4日

          広いため池のある公園に行く。 良い風も吹いている。マスクを外して歩くのは気持ちがいい。 名も知らぬ草を見て、良い草だと思う。 ・ちりんちりん草と心の中で呼んでいる草 ・赤紫のレンゲっぽい草 (葉が紡錘状大きい) ・初夏なのにほわほわの毛をたくさんつけた、小さなススキみたいな草 コイが泳いでいる。灰色のやつがたくさん。白に赤い模様のが1匹。鱗の数だけ黒い点が並んでいて、少し気持ち悪い。 大きなカメが二匹。池の底から藻が沢山生えている。甲羅と頭を外に出して、水面に浮いたり

          赤子にもどる

          赤ちゃんのままでは生きていけないのだとしても、大人だって何度でも赤子のようにさっぱりとしていい。 自らを縛る決めつけやルールがある。 それは過去の経験からくるものだったりする。 でも、それにこだわり続けるのは、自分を不自由にすることで、良くないことなのかもしれないと感じた。 特別はいらない。はじめから持っているから。 そう言っている人がいて、なるほどと思った。 セルフイメージを変える、などと言うとどこにでもある胡散臭い自己啓発本のようになってしまう。けれど、中身の部分で

          赤子にもどる

          ペッケンポッタ

          ペッケンポッタはきょうもゆく くさをかきわけ  えっちゃおっちゃ ころりん  とろとろ  ぴったんとん そらをさまよう  わたげにとどけ ペッケンポッタはぬまのなか するするそろり  たりとてとん びかびかの  おおザリガニよ やあやあ  きょうもすてきなおひげ ペッケンポッタはなべのうえ そらそら  まるまる  ぴょろぴょろぼん にじいろたまごの  うちがわを あれやこれやと  ものしりがおで ペッケンポッタもたまのひは つるつるかべに  じゃまされて うんうんむにゃ

          ペッケンポッタ

          春について

          秋が好きだ。これから寒くなっていく前の、穏やかな静けさ。高い空。にわかに活気づいた夜の虫たちが、少し静かになる頃も。とても柔らかく澄んでいる、半透明の季節。 それに比べて。 春はなんて、汚いのだろう。 空は霞むし、空気は汚い。春の生ぬるい風。太陽が照りつけた翌日には、冬が思い出したかのように足掻く。身体は冷えたり火照ったり忙しい。善人も悪人もごたまぜになり、1年間頑張りましたと無理やりに区切って季節を押し流していく。 そしてなにより嫌いなのは。 桜があまりにも華やかで美し

          春について

          20220206

          なぁにもない なぁにもないようで 大切なものはそこここにあって 私は続いていて、変わっていて 同様に あなたも続いていて、変わっていて 一つ一つを見逃したくないけれど すべきこともあって 一緒に過ごせない時間が惜しいなんて、知らなかったよ それでもあなたの強さを信じているから 私がいない間も元気でね もう少し、一緒に楽しめる時間を作るね 大好きだよ

          20220205

          お風呂を沸かす音を聞きながら、夜ご飯のおみそ汁の具を布団の中でうつらうつらと考える。 いま私の手の中にはバケツがあって、しあわせが9分目まで入っている。 しあわせとは今、このこと。 お風呂が沸きました、の声に、少しがっかりした風な気持ちになる。 完了よりも途中の方が幸せだ。 ずっとなにかの途中。 しあわせ。

          親から子へ 子から親へ

          親は老い  子は育つ 肥やしとなり 親は育てる 子は育つ 自らの足で立ち  歩む 親のことなど忘れたように 母は老い  娘は美しくなる 父は衰え  息子は逞しくなる それでいい 与えることは自ら犠牲になることではなくて とても自然なことなのだと 親のことは忘れてもいいから  自分のことで精一杯になっていいから  どうか精一杯生きて 辿る   親の見ていた景色を  垣間見る 親になることは  なんて幸せなんだと 子であることは  なんて幸せだったんだと 力が湧い

          親から子へ 子から親へ