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ニートの俺が女装と学歴詐称をしてネトゲの姫を攻略する話

はじめに

みうくと言います。普段は元ニートの浪人大学生をしています。

そんなニート出身の僕がどうして再び大学を目指そうと思ったか、甘酸っぱい実話になります。

10分程度で読めますので最後まで読んで欲しい。

では、あとがきで会いましょう。

【1】クラスに1人は居るぶりっ子を1度でも好きになってしまった経験がないだろうか?


俺にはある。リアルではなくネット上でだ。
そんな俺が孤軍奮闘する話である。

出会いは某FPSだった。当時俺は大学を中退したニートの身で毎日ゲームしては寝るだけの自堕落な生活を送っていた。
某FPSというのはPUBGだ。PUBGはボイスチャットがあり、ゲーム内で通話出来るようになっているのだ。


「よ↓ろしくー!」
ボイスチャットにめちゃくちゃに可愛い声が響く。プレイヤーネームは『なのなの』。
「よろしく。なのなのって変な名前だね」と僕。
「あー、それね。本当は『なの』って名前にしたかったんだけど他の人に取られちゃってたんだー」とカワボ女子。
「なの? どうしてなのなの?(なのだけに)」
「あたし、菜乃って名前なんだー!」

[以下、菜乃とする]

「だから『なのなの。』って? ぶりっ子か(笑)」とツッコむ僕。
「違うもん! 重ねたかっただけだもん!」
必死に弁解するなのちゃん。反応まで可愛い。
--ドドッ
「わー!死んじゃった」と菜乃ちゃん。
相手のプレイヤーネームは『大蛇丸000』。
「菜乃、お前が殺されて万華鏡写輪眼開眼した。こいつは俺が葬る...!」と知ってるかも分からないのにNARUTOネタをぶっこむ僕。オタク特有の寒いノリである。
「サスケ君!? アマテラスでやっつけて来て!」と菜乃ちゃん。ノってくれた事が嬉しかった。
「任していて! ・・・アマテラス!」
--ドドッ
「・・・死んじゃった」
「雑魚じゃん(笑)」
「うるせえ(笑)」
煽り合う僕と菜乃ちゃん。これが女子とイチャイチャするという事なのか!? 
そんな些細な会話ですら楽しくてしょうがなかった。
僕が菜乃ちゃんのことを好きになるのにそう時間はかからなかった_______。

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それから毎日菜乃ちゃんとPUBGをした。特に約束をしていた訳でも無いのに同じ時間にログインしてゲームする事が奇跡だと思っていた。


「みうくとさー、こうやって毎日約束した訳でも無いのにゲームしてるの奇跡だよね」
菜乃ちゃんも同じ事を考えていてくれた。その事が本当に嬉しかった。
俺たち気が合うぢゃん♡♡ と、当時の俺は頭がお花畑になっていた。


「俺たち、相思相愛だからな」
「キモw」
「キモいくらいお前が好きだぜ」とふざけたフリをして照れ隠しで言う僕。
「死ね!(ナイフを振り回す)」
こんな日々がずっと続けばいいのに。そう思っていた。
ーー残念ながら、そんな日々は長く続かないのである
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それから3ヶ月は経っただろうか、この日も相変わらず菜乃ちゃんとゲームをしていた。
突然、菜乃ちゃんが衝撃の一言を繰り出して来た。

・・・みうくってさ、付き合ったら誰よりも大切にしてくれそうだよね」

「へ!? どうして?」


「だって、ゲームしてる時いっつもこの武器居る?って気い使ってくれるじゃん。 あたしのこと一番に考えてくれてる。
誕生日も覚えててくれて、おめでとうって言ってくれたよね。嬉しかった。
記念日とか大事にしてくれそうだよ」


「ふふふぇ!? べ、べ、べべ別にそんな事ねーけど」と嬉しくて動揺してしまう僕。
本当に嬉しかった。

だって、年齢=彼女いない歴だった僕にとって初めて認めてくれた言葉だったから。
それもずっと片想いしてた菜乃ちゃんにそう言って貰えたことが嬉しくて嬉しくてたまらなかった。

彼女にとって僕が特別な存在になれた気がした。

「どうしたの? いきなり変なこと言い出してさ」
「あたし、彼氏欲しいんだよね!」
「へ、へーそ、そうなんだ! 菜乃ちゃんはどんな人がタイプなの?」


童貞


「・・・は!?」
「あたし、童貞が好きなの。純粋なところも素敵だし、全部あたし色に染めたいから。なにより他の人が彼氏と付き合ってたって考えたら辛いじゃん」


わかる・・・俺も菜乃ちゃんが他の男とあんな事やそんな事をしていたらって考えたら気が狂いそうだ。
「そ、そーなんだ、随分と経験豊富そうなセリフだな・・・(笑)」
あたし処女だから! バカにしないで!」
「は・・・? 彼氏欲しいってビッチが言ってそうな台詞だろ」
「ビッチじゃないし! ・・・あたし、男の人と付き合った事無いから・・・
「彼氏欲しいって言ってるのに付き合ったこと無いのか・・・!?」
「そうなの!! 彼氏作って恋してみたいってずっと思ってるのにどうして出来ないのかな・・・」


本当なのか? ・・・こんなにも可愛い菜乃ちゃんが彼氏出来たことが無い!?
しかも彼氏が欲しくて童貞が好き・・・? 俺じゃん!!!!と、バカな妄想をした。当時の俺は気がつかなかったのだ。真実に。
『お、俺とかどうかな・・・?』と言いたい気持ちがあったが、がっついても気持ち悪いと思い、
「学校はどうなの?」と聞いた。
すると菜乃ちゃんは「学校全然出会いないんだよねー、学部男ばっかだし、あたしリアルじゃぼっちだし。」
「へ、へー」
ゲーム内じゃ気が強いのにリアルじゃぼっちなのかよ!? 

ギャップがくっそかわええ・・・彼氏が欲しいのに、出来たことがないのに、その上、ぼっち!?
菜乃ちゃん可愛すぎる♡♡  3面性のあるキャラが俺のストライクゾーンど真ん中に200kmで三球三振した。


「みうくはどうなの? 学校の出会いとか」


「全然だよ〜俺も大学じゃぼっちだし。」

嘘をついた。ニートなのに大学生だって嘘をついた。後ろめたかったのだ。自分がニートであるのが。

「一緒だね。何で恋人出来ないかなー!」
「あはは、そうだね〜」としか恥ずかしくて言えない僕。『俺と付き合おう!!』と、ただその一言を告げる勇気が出なかった。
毎日ゲーム出来るんだし、また機会があるだろうと自分に言い訳した。
ーーこの言い訳は後に正しかったと知ることになる。

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--ある日、僕は何気なくツイキャスの配信を見ていた。この当時の俺はツイキャスを見るのが趣味だったのである。
おすすめに乗っている配信を開く。

そこで僕は衝撃の""ブツ""を見てしまう。

【2】そこで僕は衝撃の""ブツ""を見てしまう。

なんと、配信に菜乃ちゃんが晒されて居たのだ。
同時閲覧は2000超。配信者は大手のイケボ配信者である。
配信画面には彼女のTwitterが晒され、配信者、リスナー共々菜乃ちゃんに酷いことを言っていた。
どうやら配信に晒されている原因は菜乃ちゃんがイケボ配信者の悪口をツイートしたかららしい。正直、自業自得である。
--だがそんな事、関係無かった。
菜乃ちゃんが傷ついてる姿を想像したら俺まで悲しかった。
だから、決めた。菜乃ちゃんを助けると。
配信画面にSkypeのIDが載っていたのですぐにイケボ配信者に通話をかけた。


「もしもし」
「もしもし、お前イケボで売ってんの? イケボ対決しようよ」
「はあ? お前その声で? 自分が何言ってるか分かってんの?」
コメントでは『ぶっさw』『ブサボ』『死ねよ引っ込め』などボロクソな言われよう。
僕は自分の声がコンプレックスで、中傷コメントに滅茶苦茶に傷ついた。
けど、それでも良かった。これで菜乃ちゃんが傷付かなくて済むなら。
自己犠牲する俺かっけえええと思った。自分に酔っていた。

「御託はイイからはやくアンケート取れや!!」
配信で取ったアンケートの結果は・・・イケボだと思うのは[配信者9.9割、俺0.1割]
「じゃあな、自称イケボ君w」
ブチっと通話を切られた。完全敗北。
これで矛先は俺に向く。菜乃ちゃんは助かる。そう思った。


結果的に言うと、無駄だった。
イケボ配信者はすぐに菜乃ちゃんの話を蒸し返して中傷を始めた。
僕は何度か通話をかけたり、Twitterでイケボ配信者に喧嘩を売るリプライを送ったが無視されて何にも変えられなかった。


が、1つだけ良かった事があった。
リプライを見た菜乃ちゃんが僕のTwitterをフォローしてくれたのだ。
僕はこの日、初めて菜乃ちゃんの連絡先をゲットした。
ちょっと待て。どうして相互じゃ無いのに菜乃ちゃんのTwitterを元から知ってたんだ?って? 
俺が勝手にエゴサーチして特定していたからであるww 結果的に良い方向に働いて良かった。
だが、これで俺は真の事、真実を知ることになる。

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菜乃ちゃんと相互フォローになれた事が嬉しくて顔がニヤける。
僕は菜乃ちゃんのTwitterを監視していた。


菜乃ちゃんは猫が好きらしく猫のツイートが多くて可愛い。

それと料理の写真をあげていて、家庭的だなーと思ってよく見たらめちゃくちゃ失敗していて『失敗しちゃったー>< でも将来の彼氏のために頑張る!』とツイートしていた。そんなドジなところも好きだった。

でも、僕はそんな彼女を一瞬で嫌いになる。

【3】でも、僕はそんな彼女を一瞬で嫌いになる。

彼女のツイートは3日に一回は『彼氏欲しいー!』とツイートしていて、男から大量のリプライが来ていた。フォロワーは100人程度なのに、彼氏欲しいと言うだけでリプライ7つとか。モテすぎだろ。と思う反面、かまって欲しくてこんな事してるのか?と思った。
そして、リプライで『お、俺はどうかな』と彼氏に立候補しているおじさんに『ダメでーすw あたしにも選ぶ権利があるんでw』などと返信し『そっか・・・ごめんね。』と去るおじさん。
僕はこれを見て胸が痛くて苦しかった。
そう、俺が""あの時""立候補していたらダメでーすwと冷たくあしらわれて居たのだ。

もしかしたらおじさんと俺は逆だったかもしれねェ・・・
こんな事を故意にしてヘラヘラ笑っているのだとしたら、菜乃ちゃんは人を傷つけて心が痛まないのか?
僕はこの時、菜乃ちゃんの事を悪魔みたいな人だと思った。

さらに一番にショックだった事がある。
僕とゲームしていたアカウントはサブアカウントでメインアカウントは別にあり、普段はそっちでPUBGをしているらしいのだ。
僕は数あるゲームする男の1人でしか無かったのである。しかも、サブアカウントで最下層。
何が特別な存在になれた気がするだよ? 思い上がりだったじゃねえか・・・。
完全に井の中の蛙だった。
だが。 

ここで諦めないのが俺である。

木の葉の蓮華は2度咲く‼︎

ふざけやがって・・・テメェを故意に恋に堕としてやる!


【4】故意に恋に堕としてやる!

この時の俺は嫌いになったと言いつつも内心、菜乃ちゃんにメロメロだった。
僕はすぐに菜乃ちゃんのリプライといいね欄を全て見て、反応が良い人、悪い人、甘々
対応な人、塩対応な人を分析した。

すると、全員が全員、『ダメでーすw』などと塩対応しているわけではなく、『あ、あたしと何かと付き合ったら申し訳ないよw』とまんざらでも無さそうな反応をしている男も居ることが分かった。
嗚呼イラつく!!! 俺にもデレろや。

菜乃ちゃんが好反応する男にはある共通点があった。
それはフォロワーが多いこと。そして、その本人のツイートにリプライが多いこと。
一言で言って付加価値の高い男だ。
つまり、菜乃ちゃんは人気者に対しては甘々で、ぼっちに対しては塩対応で顕著に差があったのである。
これで僕の目標が決まった。Twitter上で人気者になって彼女を堕とす・・・!

しかし、人気者になるったってどうしたらいい?
菜乃ちゃんの周りの男は顔がイケメンだったり、声が良かったり、リプライでイジるのが上手かったり、ゲームが神的に上手かったり。
俺は何にも持っていなかったのだ。元のフォロワー数も20人程度。どうやっても勝ち目がねェ・・・(詰んだ詰んだ)

--コテリン

別に男として正々堂々勝負しなくても良いんじゃね?(神の閃き)
だって、菜乃ちゃんは彼氏欲しいー!って言ってるだけでアイドルじゃねえか!?
そう。ネトゲはどこもそうだが、男女比率に偏りがあり、PUBGは9:1か8:2で男が多く、彼氏欲しいー!と騒ぎ立てるだけで誰でも愛される姫になれるのだ。

俺は男を捨てる_______。そう決めた。
すぐに通販でウイッグを注文し、加工アプリでの盛り方を女友達に教えてもらい、女装をした。
そして完成した俺、みうくちゃんがこちらである。↓

どうだろう? 可愛くないか? 俺的には好きです///と言われたら断れないぐらいに可愛くなったと思っている。
そして俺はこの画像をアイコンに設定し、さらには#PUBG履歴書というハッシュタグで画像を作成しツイートした。

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(一週間後)
結果から言おう。功を成し、20人だったフォロワーが150人程度まで増えた。
ツイートする度にリプライやDMがぎょうさん来るようになって心地良かった。これが囲われるということか・・・!
人気者になれたのだ。
その甲斐あってか、菜乃ちゃんからも頻繁にリプライが来るようになり、ツイートには全ていいねが押されるようになった。
(どうしてネカマなんてやってるの?と裏で突っ込まれたが)

だが、そんな姫ライフは終焉を迎える。
俺がネカマであるとバラそうと思った。

どうしてバラそうと思ったのって? このまま女の子を続けていても何の意味も無いと思ったからだ。
それに、俺なら男だとバラしても囲ってくれるフォロワーは離れていきやしないと謎の自信があった。

『ぅち・・・俺、男です。』と自撮りツイートをした。
その結果。
一瞬で大量のリムーブ。DMでは『騙してたんですね・・・』とおじさんからの嘆きの声。
ごめん・・・僕も傷つけたくなんて無かった。

謎の自信なんて無駄だった。何の価値も無い俺自身。
俺が愛されるのなんてまやかしだ_______。

菜乃ちゃんもそんな俺を見捨てたのか、他のイケボの男とゲームするようになり嫉妬で気が狂いそうだった。
菜乃ちゃん・・・俺はもう要らないのかよ!?

けど、1つ幸運なことが。
菜乃ちゃんとは全く関係の無い女の子、梨香子(仮称)がリプライをくれるようになったのだ。
『みうくさんのアレ、面白かったですよーw』って。
それから彼女と毎日ゲームをしたり、彼女オススメのBL本、ヤリ○ンビッチ部?とかいうのを読んだりして仲良くなった。
「みうくさん・・・人肌が恋しくなりませんか?」などと言われたりもした。
たぶん梨香子は俺のこと好きだったと思う。
菜乃ちゃんなんて性悪女もう捨てて梨香子ルート行けよwwと読者のみんなは思うかもしれないが、俺は梨香子に興味が無かった。

そして、梨香子のおかげで俺は好機(チャンス)を手にすることになる。


--ピコンとスマホの通知が。

『みうく、明日会わね?』


【5】『みうく、明日会わね?』


表示名は菜乃ちゃん。TwitterのDMだった。

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
遂に・・・遂にっ・・・・・・!!
僕は勝ち取ったんだっっ!!!!
菜乃ちゃんとのイチャラブデート!!!!♡♡♡♡

おそらく菜乃ちゃんは性格的に嫉妬深く独占欲が強いので、俺と梨香子がリプライやゲームしてるのに妬いて火がついたのだ。

ニヤニヤ笑ってキモオタスマイルが止まらない。
しかし、俺は返信をするのに惑ってしまう。
なぜなら、俺はニートのくせに大学生だって彼女に嘘をついていた。もし、会ったら僕がニートな事がバレてしまう・・・!

今でもハッキリ覚えているが、2時間以上Twitterの画面を見つめながら会うかどうか承諾するか迷ったことを覚えている。

そして、俺は返信を返した。

『いいよー、どこがいい?』

『急だし、絶対断られると思ったw』と菜乃ちゃん。
続いて、
『んー遊べるとこ!』
出た。女子あるあるである。
とりあいず会いたいから遊ぼう!とは言うけど、全くのノープランでこっちに丸投げなのだ。
もし、経験豊富な人が居たらこの丸投げが来たらどうしたら良いか教えて欲しい。

『遊べるとこって例えば?』
『遊園地行ってみたい!』と菜乃ちゃん。
『分かった。都内なら後楽園や豊島園がメジャーじゃないかなー』
『後楽園は泊まってるとこから近いからそこ行きたい!』
とのことで後楽園遊園地に行くことになった。
菜乃ちゃんから『明日楽しみにしてるね!』とメッセージが。
『うん!俺も楽しみ!』
ああああああああああああああああああ。
あーあ。送っちゃった。送っちゃったよ。

これで僕は明日、大学生じゃなくてニートなことが100パーセントバレる。
腹を括ったつもりなのに、不安で胸がズキズキして僕はその晩ほとんど眠れなかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー
(翌朝)
僕はむくれた顔で目を覚ます。満足に眠れず、昨晩からずっと気が狂いそうなくらいズキズキ胸が苦しくかった為だ。
夕方、約束の時間。
『みうくどこいる??』とメッセージが。
『改札と前にいるよー』と返す。
どうやら菜乃ちゃんは迷ってしまったらしい。そんな方向音痴なところも可愛いと思った。
菜乃ちゃんは自分がどこにいるかもわかんない><と言うので仕方ないから僕が彼女の元へ向かった。
今でも覚えている。駅と東京ドーム、遊園地を繋ぐ歩道橋の中心。
僕はそこで君と落ち合った。

「みうくですか・・・?」
身長155cmぐらい。茶髪のロングで前髪は凸出し。巨乳。
緑のスカートに上はグレーのセーター。
胸のラインがえっちだった。
Twitterでは貧乳キャラで騎士達にいじられていたからてっきりまな板なのかと思っていた。
今すぐその胸揉ませろ!

そして、顔が女優の多部未華子だった。


「そ、そうだよ〜」
「迷っちゃった(*ノω・*)テヘ♡」と菜乃ちゃん。
もう可愛いんだから・・・と思いつつ、何か褒めた方が良いかな?と思った俺は衝撃の一言を繰り出した。

「顔、多部未華子に似てるね!」

「・・・はぁ? 似てないし」

菜乃ちゃんの表情が一瞬で悪くなり、空気が重くなった。どうやら地雷を踏んだらしい。
「と、とりあいず行くか」
「・・・・・・。」
歩き出す僕と菜乃ちゃん。
後楽園遊園地の中へと入る。
「何乗りたい?」と僕。
「観覧車」
「そ、そっか。分かった〜」
観覧車の券売機でチケットを買う。
こういうのって僕がお金出した方がいいのか?と思ったが、そんなカッコつける勇気も無くて割り勘で観覧車へ乗り込んだ。
「あたし、観覧車に乗るの夢だったんだー!」
目をキラキラさせる菜乃ちゃん。
はあ・・・良かった。観覧車に乗れてご機嫌のようだ。
実は俺も観覧車に乗るのが夢だった。女子と。
だから内心ニヤニヤだった。なにこれ!? 夜景を見ながら菜乃ちゃんと観覧車? 恋人みたいぢゃん♡♡

「観覧車なんてどこにでもあるよ」
「無いよ! あたしの地元田舎すぎて遊園地なんて一つもないもん」
そう。彼女は就活が目的で地方の地元から出てきたのだ。

観覧車は頂上へ到着。・・・そして、この最高の時間も、もう上へ上がる事は無くなるのであった、、。


【6】・・・そして、この最高の時間も、もう上へ上がる事は無くなるのであった、、。


「みうくはさー、就活どう?」

「へ!?」


やばい。ついに来てしまった。
大学関連の質問。今までは大学中退する前の記憶をつてに嘘をついて誤魔化して来たが、今度はどうする。

1-.あはは、ぼ、僕も全然なんだよね〜まだ何も考えてないから分かんないや〜と誤魔化す。

2-.ぼ、僕・・・実はニートなんだ。と正直に告げる。


迷った。迷ったが、

菜乃ちゃんは僕みたいなニートのクズに優しくしてくれた。僕に遊ぼうと言ってくれた。大切にしてくれそうと言ってくれた。僕のことを誰よりも認めてくれた。
だから・・・もう、これ以上嘘はつきたくないと思った。

「ぼ、僕はニートなんだ。だから就活の事は何も分からない。騙しててごめん」
「えっ・・・」

ゴミを見るような眼だった。こいつ生きてる価値あんの?と言いたげな瞳。
僕はこの時、ライトノベルの作家になりたいという滅茶苦茶な理由で大学を中退した事を死ぬほど後悔した。
ズキズキとドクンドクンを繰り返して、胸が痛い。苦しい。
今からこの観覧車から飛び降りたい。
そう思った。

観覧車を降りる。その後、ジェットコースターに乗って俺が怖くて泣いたり、お化け屋敷に行ったけど、「ゃだ・・・こわぃ」って可愛子ぶらないの?と言って空気をぶち壊した。

そのあと、菜乃ちゃんがご飯何食べる?と言ったので
「サイゼ」と答える禁忌を侵した。

菜乃ちゃんもさぞ不快だっただろう。サイゼリヤを後にして、最期に、ゲームセンターに行った。
雰囲気が雰囲気だったので、特にするゲームもなかった。
プリクラ機を見て、菜乃ちゃんが「じ、じゃあプリ撮る?」
と言ってきた。
体育で2人組作りなさいと言われて余ったからじ、じゃあ一緒にする?と同レベルのテンションでだ。本当に惨めだった。

プリクラを撮り終わってラクガキをする。
印刷されたプリクラを見ると『笑えよww』の文字が。

僕は自分でも気がつかなかったけど、今日一日笑っていなかったらしい。




けど、自分が笑えなかったことより菜乃ちゃんを笑わせられなかったことが苦しかった。
菜乃ちゃん自身に楽しんで貰えたかどうかは関係無い。

菜乃ちゃんが笑わない事で、自分が彼女を笑わせられない、そんな弱い人間だと自分のプライドが傷つくのが嫌だった。俺はとんでもなく自分勝手なエゴイストだ。

駅まで歩く。どうせこれはRPGでいう負けイベントで、負け確定だ。
だから、最後にどうしても菜乃ちゃんに聞きたいことがあった。

「わざとぶりっ子してるの?」

「っ・・・やだ そんな風に思われてたの?」
「いや、彼氏欲しいー!とか料理失敗しちゃったー><とかあんなのわざとじゃん
ネカマしてた俺になら分かるよ」

「愛されたい・・・」

ああ・・・俺はこの時分かってしまった。
まず、彼女の愛されたいという気持ち。俺もネカマして分かった。死ぬほどリプやDMが来るのは心地良いのだ。
だから、悪魔に魂を売ってでも、何が何でも愛されようという彼女の気持ちが。

そして、もう一つ。
その胸の内を、本性を晒すという事は、俺に対してはもうどう思われても良いという判断されたということ。
自分でも分かって聞いたのに絶望だった。

そのまま帰宅する。当然、また遊ぼうとは言われなかった。
言って欲しかった。そんな資格なんて無いのに。
帰って菜乃ちゃんのTwitterを見る。
『あたし、コミュ障だからネットの人と会っても全然話せないんだよねー』とツイートが。ハッキリ言えよ・・・僕と会って退屈だったってそう言えよ。もういっそのこと殺してくれ。


翌の日。
『○○さんと遊んだ! 楽しかった!』
とツイートが。どうやら菜乃ちゃんは他の男と遊んだようだ。
『また遊ぼうね!』とリプライが。

それは俺が何よりも欲しかった言葉だった。

眼からは涙が。悔しい悔しい悔しい。悔しくてしょうがなかった。

僕が、僕さえ大学を辞めずに居たら。彼女と付き合えていた。今頃薔薇色の日々だった。

僕はこれを最後にTwitterのアカウントを消した。さよなら。PUBG界隈の皆。

これは嘘をつき続けた代償。至極当然の報いだ。蓮華散華した。残るのは懺悔
僕は彼女の影響で大学の編入試験を受け、X年かかったが無事合格した。
もう2度と同じ失敗はしない。したくない。

今度こそは幸せになりたい。
だからまた種を埋めるよ。
満開になる事を祈って_______。

あとがき

『ニートの俺が女装と学歴詐称をしてネトゲの姫を攻略する話』を最後まで読んで頂きありがとうございます。

この話は実話で実話9:作り話1程度で書いてます。

まず、読んでくれた読者の感想に、これ、お前がニートだから振られたんじゃなくて嘘付いてたのが悪いだろ!?というのがあると思います。

たしかに、嘘をついていた僕が100パーセント悪いです。

けど、それは残念ながら違います。なぜなら、菜乃ちゃんは高学歴の人と結婚したいし金持ちと結婚したいー!と言っていたからです。

きっと、僕がニートだってハナから言ってたら相手にもされてなかったと思います。

シンデレラだってガラスの靴が無かったら王子様に相手にされなかった。

僕にとって大学生と名乗ることはガラスの靴を履くことと同義だったんです。

この話ではNARUTOの作中に出てくる言い回しを使いまくってますが、僕と菜乃ちゃんをNARUTOのキャラで例えると僕が君麻呂で菜乃ちゃんが大蛇丸なんです。

作中では君麻呂は大蛇丸に拾ってもらって、必要とされます。そして死に際には大蛇丸様は僕の理解者だと。

僕にとっての理解者は菜乃ちゃんだけだったんです。だから彼女に依存した。

今、彼女に対して思うことは、2つある。

1つは、菜乃ちゃんキャラ作りがすこぶる上手い。

ラノベ作家を目指していた物書きの端くれとしては彼女に敬意すら感じる。キャラの二面性、記号化。ここに書けなかったことを含めても彼女のキャラの立て方は魅力的だった。

俺も菜乃ちゃんみたいなキャラが作れたら新人賞を取れたのかもしれない。

2つ目は、4ね。

僕は正直、女叩きは逆恨みだし、ダサいと思ってる。

うるせえ。

ダサくてもいい。

俺は人を平気で傷つけてもヘラヘラ笑ってる彼女のやり方が嫌いだった。

恋愛や人間関係、正々堂々と勝負して敗けるなら良い。

けど、愛されるために彼氏欲しい〜!って餌撒いて、
かかった獲物には「この世の不利益は当人の能力不足」って強引な価値観を押し付けるハニートラップのようなやり方が気に食わねえんだよ

他人を傷つけなきゃ成り立たないキャラなんて悪意でしかない

って言っても、ネカマして人を傷つけた僕が批判する権利無いけど。同じ穴の狢だから。

なんだかんだで俺と彼女は自分が愛されるためなら何でもするという一点において似た物同士だったのかもしれない。

だからきっと好きだった。


最初は好きだったけど、やってることが最悪だから冷めてきて途中からどうやって攻略するかゲームだった。
前回の萌え声の女の子との文章の熱量の違いを見てみたら分かると思うが、会った時点ではそんな好きじゃなかったから可愛く書けなかった。

負け惜しみみたいでダッセェな・・・。

話は変わるけど、誰も傷つけないで且つ魅力的なキャラが立ってる人は本当にスゴいと思う。スゴいって言ったら月並みな表現だが、それは簡単そうに見えて絶対に自分には出来ないことだから。

余談ですが、実は俺ニートなんだよね・・・と話した後に菜乃ちゃんから大学編入しないの?と言われたのがキッカケで受験して、再び大学に行くことになりました。

受かってみると、菜乃ちゃんに今更興味ないのに何やってるんだろ俺。

編入しないの?という言葉に依存しただけで、大学に通うことに興味ないです。

母親にも大学の学費を頭下げて頼んだ時に、「女の子に振られたくないから大学行くなんてあんた頭おかしいんじゃないの?」と言われました。

結局、初年度は払ってもらえることになりましたが、残りは自腹です。

それでも、もう悔しい思いしたくないので行きます。

弱いことは罪なんだ。

もう誰にも負けたくない。強くなりたい。



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