ふたつの魔物・その2の3

↑このタイトルに自分のセンスのなさを感じます。泣ける・・・!


年末のお仕事が着々とやってくる12月中旬。
「何かあったらスマホで呼んでください、ノートPC持ち込みますんで!」と気合を入れている私は、「仕事なんて忘れて治療してくれ頼むから!!」という上司や「仕事は私たちに任せて!」と言ってくれた先輩後輩に後を任せ、一足先に仕事納めをして病院に乗り込むこととなる。
今回は長くなるので、入院までの話をします。

入院までの間で、飛び飛びでいろいろと検査を受けた。
リンパや他の器官に飛び火していないかのCTスキャン、MRIはもちろんのこと。なぜか歯科にまでお邪魔することになった。
年のはじめに近くの歯科でクリーニング&定期チェックを受けているので虫歯の心配はないんですがと言ったものの、チェックしたいのは虫歯ではなく、その人の口腔内の状態と、「顎がどこまで開くか」という確認だという。(厳密には虫歯もチェックされますが)

「手術中は酸素流すためにホースみたいなの噛ませてもらうので、それがちゃんと噛めるかどうかのチェックなんですよ」
「それって一般の歯科じゃやらないんですか?」
「うちの病院の歯科でやります。それ専用の歯科医師に診てもらうんで」

ああ、そういえばドラマで手術シーンで患者がなんか噛まされてる掃除機のホースみたいなやつかーと思いつつも、新たな(大したことないですが)問題がひっかかってきた。
大丈夫かな私・・・顎関節症なんですけど・・・。
特に右の顎がひどくてね、耳の下ががっくんがっくん言うレベルなんです。イライラしてるときとか時々がっくんがっくん言わせてることがあったんですが、一度なんかおかしな場所で引っかかったみたいで口が閉じられなくなったことがあるんです。それを伝えると、
「口の開け具合については問題ないですが・・・そんなふうにがくがく鳴らさないでください!!!」
・・・案の定怒られました。

CTスキャンについては受けたことはあるのですが(後述)、MRIは初めてでした。
年に1回の定期検診で受けている母は、

恐ろしい検査よ!!狭いトンネルに寝かされる感じで!目を開けたら目の前が壁!目を閉じても中途半端に明るくて!ずーっと機械の音がごーんごーんって鳴り響いてね!もう考えただけで嫌!!」(大興奮で話すので太字にしました)
「…閉所恐怖症の人どーすんの?」
無理無理無理!!!絶対無理!!!!!検査だって思って入ってないと気が狂っちゃうよ!!」(大興奮で話すのでry

※ちなみに閉所恐怖症用のMRIがあるそうです

幸い私は閉所恐怖症ではないが、目の前が壁ってちょっと嫌かなあ・・・土管に入る感じ? マリオ大変だな・・・と謎な考えでMRI検査に臨みましたが…
拍子抜けするぐらい普通でした。
そもそも、母がMRIを受ける病院と私が受ける病院が違いました。
母は、消化器科を専門とした治療所で毎年受けています。
一方私は大きめの総合病院で受けるので、設備自体が違っているのでした。
私の方は、緩やかなピアノBGMがうっすら流れる専用ヘッドフォンで両耳を塞がれ、時折「息を吸って・・・止めてください」というのを繰り返す程度でした。目の前は確かに機材の壁でしたが、そんな興奮して話すほどの距離ではありませんでした。機械の音は確かにすごくて、ピアノBGMもかき消えましたが。
「息を吸って止めてください」のところで音が鳴るのですが、撮影の種類が違うのか、音が何種類か違ってました。4,5種類ぐらい違ってたかな。
最後の撮影の音が「♪ぽい〜ん♪」みたいな検査に似つかわしくないかわいい音(ちょうどマリオがコインをゲットする音に似ていた気がする)だったので、終わった後、技師の方に「最後の音マリオっぽかったですねw」と言ったら笑われてしまった。
母に教えると、「なにそれ、そんなのないんだけど・・・!」と驚いていました。来年こっちで受けたらいいよ!(と思ったが私の方で受ける=重病なケースとなるのでこっちでMRI受けないでください)

まあ、こんな感じで受けた様々な前検査は、手術当日までにオールクリアで問題なしという結果が出た。とりあえず飛び火はないようなので安心する。

あ。あと、もう1箇所。検査や治療目的ではないが、看護師より、
「相談センターに行ってください」
と言われた。
母の時にはなかったのだが、ここ数年で国が定める治療方針(?)が変わったらしく、ガンで入院する人たちの心のケアを目的とする部門ができたそうな。
年々患者が増えているとはいえ、ガンはいまだもって恐怖の存在であり、進行具合や場所により長期戦になることもある。仕事しながら治療していきたいけどどうしよう、そもそもどうやって病気と向き合っていけばいいんだろう、というより漠然と不安あるんですけど・・・というような悩みを聞いてくれる場所ができたらしい。
(その病院にはガン相談センターという名目の相談所はあるが、それとは別のものだった)
実際担当の方とお話をしたのだが、結局のところ、どうあがいても「聞いてくれる」だけなので、当然ながら何の解決にもならない。ただただ患者たる私が心のうちを話すだけで、担当の方は「そうですね、そうですね」と『聞いてくれる』。
正直、なんだろうこれは・・・と思った。国の定め(?)により必須になっているらしく、わざわざ時間も指定されて伺うことになったものの、私には別にいらないかなぁと思った。私の場合、愚痴も悩みも「聞いてくれる」存在=母親がいるので、第三者にわざわざ話す必要性を感じなかった。相談相手や心のうちを吐露する相手がいない場合はご利用ください程度でいいんじゃないかと思った。
あと、診察室で症状や治療方針について医師から伺うとき、ヘルパー(?)なる看護師ではない中年のおばちゃんも同席された。やはりガンの治療と聞いて心が折れたりする人もいるらしく、そういう人たちのフォローをする目的で同席するそうだ。が、私は正直、「母もいるし、だいたい自分で覚悟決めてるからいいです」って断りたかった。初対面の第三者が同席した上で自分の体のことを聞くのは、私には逆効果でした(汗)。

もしも本当にガン患者の心のケアを目的とするなら、強制的に相談センターに向かわせて話をさせたり、第三者を診察室に同席させたりという通り一遍な方法ではなく、その人それぞれに合わせたケア方法をしてほしいなと思う。がん患者といっても、症状や生活背景、その人のものの捉え方、考え方、病気との向き合い方により、心のケアの方針もそれぞれ違うべきであると思います。
私の場合、パートナーもいないし子供もほしくないし、っていうので割とすっぱりした考えで向き合っています。もしパートナーがいたりすると話が違ってくるかもしれない。子供は…どうだろ。年齢的には高齢出産と呼ばれる部類にはかろうじて入っているのかなー…。でももし子供がほしいって思うと、また複雑な思いになるんだろうけど。
ただ、私自身「ガン」に対する知識については、母の病気で担当医師から聞いたことと今回の私のケースと、あとはネットでさらっと読んだコラムやブログ程度でしかないので、第三者として、その方向に詳しい方が同席してくれるのは嬉しいことかもしれない。
でも…正直どうなんでしょう。

結論:心のケアは難しい!(投げやり)



続く!!


蛇足:CTスキャンは実は2回目。
ある夜のこと。私はいつものように夕食後の抗うつ薬の薬を飲んだ。
が、何故かこの日だけ、喉に少しつっかえる症状があった。
「ん???」
見ると、手にあるはずの薬の包装シート(名称わからんが、銀のやつ。だいたい10こ1枚のやつ)がなかった。

私「おかーさん」
母「何」
私「私…ケースごと薬飲んだかも」
母「……………はぁ!?」

半泣きな私は、一旦119番で症状を伝えたところ、近場の病院(幸い徒歩5分圏内に救急病院がある)に電話かけて行ってみろ、という話になり(あ、救急車来い、とか最初から希望してなくて、どうしたらいいでしょう的なノリだったのですが連絡するところがわからなかったので119に電話してみたという感じです)、案内された救急外来に電話して、ひたすらおろおろする母を伴い飛び込んだのでありました。
そのときに、胃の…とゆーよりCTスキャンを初体験したということです。
ちなみにその時、「胃にケースらしきものがあったのですが、晩ごはんと混じってて胃洗浄や吸引などで取れるレベルではないです」と言われ、「もし明らかに血便だったり異常な腹痛などあったら改めて来てください」ということで帰らされました。
それから2ヶ月以上たった今これを書いているのですが、特に胃痛や腹痛も何もなく過ごしています。
ネットによると、この薬の誤飲は高齢者が多く経験しており、場合によっては死に至るケースもあるということで…最初ガクブルしておりましたが、結局のところ元気です。
(ということで、病院の方はやらかしたことを聞いた時呆れてましたw)
上記のCTスキャンやMRIについても、この騒動後に受けたもので異常がなかったということなので、まぁ…出るべきところから出たんでしょう。
あれから私は、食後の薬は「ほら、全部出したよ!」と母に見せて、母の「よし、飲め!」という掛け声とともに飲んでいます(笑)。
錠剤タイプのお薬を飲むときは、ケースから取り出したことを確認して飲みましょう…。