ゼネラリストかスペシャリストか

ゼネラリストになるべきか、スペシャリストになるべきか。

どちらの方が生き残れるか、などという話は昔からよく見聞きします。
どちらかを推す人の中には、自分の支持する側を挙げ、他を落として対比するという方もいますが、長所と短所はそれぞれにあるもの。

私の感覚では、ゼネラリストは定食屋さんで、スペシャリストはそば屋さんのようなものかと思っています。
定食屋さんはメニューも豊富で、より多くの胃袋を満たせる長所はあるけれど、特色がないとその他大勢に埋もれてしまう可能性もあるし、味が平均以下では客足は遠のいてしまいます。
そば屋さんはこだわりのそばを提供する、サービスを特化させてエネルギーを集中できるという長所はあるけれど、そば嫌いの人はもちろん、そばアレルギーの人には問題外だし、他につぶしは利きません。

このように一長一短ありますが、忘れてならないのは定食屋もそば屋も世の中から必要とされているということ。
だからこそ、どちらも残るところは残っているわけですね。

大切なことはゼネラリスト・スペシャリストそのものの比較に留まるのではなく、自分がどちらにより向いているのかを知り、それに合った環境に身を置く、あるいは環境を創り出せる行動力を持つことでしょう。

注意したいのは、自分が尊敬している人や信頼している人がどちらかの立場を推していると、意識しないうちに無批判に受け入れていることもあるので、そこは鵜吞みにせずいったん踏みとどまるようにしましょう。

世の中や自分の身の回りの環境をよく見つめ、定食屋とそば屋のように社会の在り様をよく観察すると、冷静に判断して選択しやすくなるかもしれません。
ある程度進んで余裕が出来てきたら、とんかつが美味しい定食屋さんのように、サービスを部分的に強化してコアなファンをつかむようにする。
天ぷらも美味しいそば屋さんのように、すそ野を少し広げてより多くのお客さんに対応できるようにしておくのもよいでしょう。

さらには、自分ができないサービスを提供できる仲間と繋がって互いに紹介できるようにする。
美味しい定食屋さんから紹介されたそば屋さんは美味しいと思いやすいし、逆もまた同じですから。
自分のサービスの質を高めつつ、信頼し合えるネットワークに入ることが出来れば、生き残る確率も上がっていきます。

道はひとつではありませんから窮屈に考える必要はありません。
自分と相性のよい方法を探し続ける根気強さがあれば、道は開けていくはずです。
今回のお話しは、治療家はもちろんすべての業種に当てはまるでしょう。

というわけで若い世代の方々にお伝えしたいのは、ゼネラリストかスペシャリストかという世間の情報を参考にしつつも惑わされず、自分の特徴を知るため、それが活かされる環境を求め続けるため、作り続けるための「行動力と根気強さ」を養っていくということ。
それが、時代を超えて求められる能力なのだろうと思います。

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