本気で身に付けたいなら、うわべだけのマネで終わらせない
私は臨床で、身体に軽く振れてわずかに揺らし、そのしなり具合から制限の位置を見当付けする、という方法をよく用いています。
感覚を磨くにもよい方法ですから、経験が浅い方にもゲーム感覚で気軽に練習していただくこともあります。
手技療法に興味がある方にとってはけっこう面白く、部位が当たったり手応えを感じたら嬉しいもの😊
けれどもこの方法でだいたい見当を付けられたからといって、これだけで出来たつもりになったとしたら、とてももったいないこと。
経験者がパッパッと触っただけで判断しているように見えるのは、それだけのことを積み重ねて厚みが出来ているからです。
ひとつひとつの筋肉を丁寧に触れて身体で覚えておく。
頸椎・胸椎・腰椎で異なっている椎間関節面の方向を身体で覚えておく。
皮膚の遊び、組織が滑走する感覚、関節包の正常な弾力性を身体で覚えておく。
多くの情報を頭だけではなく、手で、身体で覚えているからこそ臨床でも手際よくできます。
これはあらゆるスポーツや芸術、そして職業に共通することでしょう。
そのような練習を踏まえた上で、カメラのフォーカスのように意識(感覚)の焦点を「広く浅く」や「狭く深く」へ自在に調整できるようにする。
シンプルな動きほど、どのようなことをやっているかを外見だけで見抜くことは難しいです。
触診なんてただ触れているだけですから。
時々、手際の良さだけをマネしている方もいるのですが、それはプロ野球選手の動きをモノマネをしているようなもの。
かたちをモノマネしたところで打てません。
導入として遊び感覚で雰囲気をつかみ、何となく面白味を感じたなら、あとはひたすら地道な練習が待っています。
本気で身に付けたいならここからが大切。
その地道な練習の中にも面白味を見出して続けることが出来たなら、やがて更に大きなというか、次元の違う面白味と出会うことができます。
はじめの面白味は、「着火剤」のように簡単に火がついて激しく燃えるけど、すぐ消えてしまうものなら、
最後の面白味は、「炭」のように付くまでに時間はかかるけれど、一生涯という長い時間燃え続けてくれます。
着火剤の火をいかに炭へと移せるかが分れ目ですね。
炭火のような面白味と出会えるのも、幸せな生き方のひとつだと思います。
だから本気で何かを身に付けようとするなら、一見単純そうに見えても簡単に見切ったりせず、
うわべだけのマネと理解で終わらせないようにしなければいけません。
それがなかなか難しいのですが💦
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