やさしく触診するためにはポジショニングが大切

北海道鍼灸専門学校さんにて、臨床実習を前にされた学生さん達への講義をさせていただきました。
とくに力を入れたのは、ご要望いただいていた「触れ方」について🖐

触れるというのは「挨拶」のようなもの🙇
挨拶がいい加減だと、相手から信用されないでしょう。
だから挨拶するように触れて安心感を与え、こちらを受け入れてもらえるようにする。

触れるという行為は、評価や治療以前の話でもあります。
ところが慣れないと、そして探ろうとすると、どうしても手先に力が入りやすくなり、当たりの強い触診になります。
それがクライアントの身体的、精神的緊張を招くことになれば、いろいろと支障が起こりやすくなるもの。

とはいえ、慣れないうちに「やさしく」だけを意識して触れても、異常な部位を特定することは難しいかもしれません。
やさしさが触診にならないようでは本末転倒になってしまいます。

では、安心感を与えるようなやさしい触れ方で、異常な部位を特定する触診になるための条件は何か?
それはいくつかありますが、重要なポイントのひとつは「ポジショニング」です。

ポジショニングの基本は「握手」の位置🤝
相手を正面に捉え、包むように触れて、身体を預けるように手を沈ませる。
これだけでも触れ方は変わってきます。

触診で「やさしく、力を抜いて」と指導されることがあるのですが(私もとっさに口から出てしまいます💦)
それだけではやさしい触診になりません。

たとえば、自転車に上手く乗れないうちは、バランスが取りにくいために、ハンドルをガッチリ握って力んでいるでしょう🚲
その時「手の力を抜いて!」と指示しても、抜けるものではありません。

ところが、上手くバランスが取れるようになると、自然と手の力は抜けていきます。
だから力は「抜く」のではなく、「抜ける」状態に持っていくように練習する。

触診で当たりの強い触れ方になるのは、自転車に上手く乗れていない状態と同じように、相手との関係性においてバランスの取れた状態にないためともいえるでしょう。
それを改善するための第一歩が、ポジショニングになります。

繰り返しの練習はもちろん必要ですが、手投げ・手打ちを避けるスポーツのように身体を使って操作しつつ、ポジショニングを意識することで、「見る」のではなく「見えて来る」触れ方になっていくよう練習するのが望ましいと思っています。
講義では、ほぼすべてのお話しをポジショニングに結び付けてお伝えしました。

はじめて現場に出て人に触れるというのは緊張するものですが、学生さん達には握手のように、挨拶のように触れるところから臨床への一歩を踏み出していただけたらと思います。

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