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うち港区女子になりたいねん

「うちな、港区女子になりたいねん」
「港区女子がうち言わんやろ」
「港区女子やから港区住んでるわけやないで」
「そうなん?」
「港区女子とは、港区に家を構えている女子というわけではなく、お金持ちが多く集う東京都港区をベースに華やかな日常を送る女性たちを指す言葉なんや」
「ウィキペディア朗読すな」
「港区女子なろう思うてやな、マッチングアプリやったねんな、ヤベーの見つけてん、これ見てみ」
「なんや」
「愛人募集や、ここ読んでみ、プロフィール」
「基本スペック、名前大和田X、職業IT会社経営、年商200億、年齢48歳、身長178センチ、趣味筋トレ、まあよさそうな物件やん」
「せやろ、次、見てみ、理想のタイプ(求める条件)や」
「理想のタイプ(求める条件)、20代前半、身長165センチ以上、髪型は金髪か茶髪のボブかショートボブ、運動神経抜群、細見、貧乳、筋肉質、大阪弁のネイティブスピーカー、口は悪いが根はいいギャル、犬のようにメシ食う」
「こんなんうちしかおらんやん、165以上やし細いし足速いし、この条件に合うのうちしかおらんやろ、おってうちかぱんちゃん瑠奈しかおらんやろ」
「ぱんちゃん瑠奈言うな」
「ポスターサインしたろか」
「サインしたろかちゃうねん。てか理想のタイプで犬のようにメシ食うてなんやねん、なんなん、ヤバないその性癖、どんな性癖やねん」
「そんでな、連絡してみたん、大和田X、そしたら面接来いって」
「面接あるんや」
「タワマンの一室の、50畳くらいあるリビングや。8人くらいおんねん。20代前半の高身長、金髪ショートボブの女が。もうみんなうちのクローンやで。ほんで席についても大和田Xはおらへん。そしたらスピーカーから放送が聴こえんねん。私が大和田Xですて」
「さっきツッコミそびれたけど、大和田Xってネーミングも大概やぞ」
「でな、スピーカーの大和田Xが、一人ずつ簡単に自己紹介して言うねん、そんで一人ずつ自己紹介すんねん、うちは8人いるうちの8番目や。全員の自己紹介終わったら効果音がデデーン鳴んねん、2番、5番アウト〜って」
「なんや」
「2番、5番は大阪弁のネイティブスピーカーではありませんね言うて。たしかにちょっとイントネーションちゃうかってん、エセ関西人やねん。そんで黒人の2メートルくらいのボディガードが3人くらい出てきて2番と5番を強制的に外に連れ出すねん。残るは6人や」
「こわ。もはやカイジやん。リアルカイジの港区女子バージョンやないか!」
「残るは6人や。次になんか一人ずつ木箱が出てくんねん、中身、何か分かるか」
「なんや」
「水着や、木箱あけたら白のビキニや。ただのビキニやあらへん、食い込みのエグいやつや、木箱から食い込みビキニや」
「木箱から食い込みビキニやってことわざみたいに言うな、2階から目薬みたいに言うな、どの局面で使うことわざやねん、その突然の出来事、まるで木箱から食い込みビキニのようだ、言うか」
「ほんでな、控室に行って着替えて来いやて、さすがに抵抗あるよ、でもここまで来たら負けられへん。で、白の食い込みビキニに着替えたら、一人ずつ反復横跳びさせられんねん、すぐ分かったで、運動神経抜群、細見、貧乳、筋肉質をチェッしてるって。全員の反復横跳び終わったらデデーン鳴んねん」
「次は誰や」
「1番、4番、6番アウト〜って大和田Xが言うねん。1番、4番、6番、失格です。あなた方はAカップではないですね。私は反復横跳びの乳の揺れでAカップを見分ける特殊能力を持っているのです」
「なんやその特殊能力!世界一いらん特殊能力やろ」
「いよいよ残ったの3人や、ここまで来たら負けられへん、絶対に負けられへん戦いや」
「日本代表みたいに言うな」
「絶対負けられへん戦いがそこにある、港区女子の天下一武道会や!次、なんか分かるか」
「分かるか」
「熱々のラーメン出てくんねん。二郎系ラーメンや、すぐ分かったわ、犬のようにメシ食うのテストやねん。うちは3番目や、一人目は素手で食い始めてん、それ犬か?思たけどな、二人目は口だけてラーメン食い始めた。まさに犬食いや、すごい根性や」
「地獄絵図!」
「次がうちの番や、素手、犬食い、あとなんがある?」
「どないしたん」
「もうなんも残ってへん、二郎系ラーメンを全身で浴びるしか思いつかへんかった」
「もはや食うてへん!」
「二郎系ラーメンと全身で戯れたってん、そんで結果発表や、優勝はエントリーナンバー8番、うちや!大和田X言うねん、エントリーナンバー8番さん、一次予選突破です」
「まだ続くんかい!やめさしてもらうわ」


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