日記(2023.12.17)

 昨日(土曜日)は友達と一緒に出かけてラーメンを食べたりカフェに行ったりして、けっこう歩いた。
 今日はひとりで過ごしたけれど、やっぱりだいぶ歩いた。スマホの「ヘルスケア」機能が信頼できれば、1万1千歩以上歩いている。

 そんなに歩いた外出の目的はなにかと言えば、アニメイトに漫画を買いにいったというだけなのだけれど。
 10月末に漫画をまとめ買いして、11月の初旬はゆっくりとそれを読んでいた。そして11月の後半は「メイ解き」に熱狂していたので(何度もこのこと書いているな)、漫画も小説も読むのがおろそかになっていた。
 12月になってゆっくりと生活が正常に戻ってきたところで、「あの新刊もこの新刊も出ていたのか」と慌てて追いかけはじめている。

 今日買って読んだ漫画は、戸崎映先生の『あのキスを辿って』(プランタン出版)。
 以前、Twitterで作者が第1話を投稿しているのを読み、「これは絶対に発売したら買わねば」と目星をつけていたBL漫画である。このパターンで購入に至ることは非常に多い。
 絵柄が可愛くて好み……という理由で一目惚れしたのだけれど、ストーリーももちろん、魅力的だった。

『あのキスを辿って』の舞台は、田舎のゲストハウス。
 スタッフの孝汰は、周囲にカミングアウトしていないゲイの青年。そんな孝汰の前に「夏休み中のアルバイトスタッフ」として現れたのは、中学時代の同級生・千鶴だった。孝汰は中学時代、仲間内での「罰ゲーム」として千鶴とキスさせられた際、自分の性的指向を自覚した。
 孝汰はそんな相手との再会に戸惑い、不安を覚えるが、なぜか千鶴はぐいぐいと距離を詰めてくる……。

 学生時代のトラウマの話が出てきて、なかなかきついテーマを扱っているのだけれど、互いを思い合う心優しい登場人物たちが生き生きとしていて、温かい気持ちで読み終えることができた。
 なんといっても孝汰が応援したくなってしまう健気な青年で、相手役の千鶴も、不思議な距離の詰め方をしてくる読めないキャラクターで楽しい。

 BL漫画において「作中人物(とくにメインふたり以外)が男性同士の恋愛をどう捉えているか」というのは、長らく個人的な関心事となっている。
 現実の社会だと、あからさまな差別は減りつつあっても、まだまだ異性愛中心的な風潮が根強い。そのリアリティをどれくらい取り込むかで、作品のトーンが変わってくると思っている。
 ただ、BL漫画は必ずしも、そのあたりのリアリティを追求すればいいというものではないと思う。
 たとえば「男子高校生同士のカップルを、同級生男子たちが冷やかしでなく心から祝福する」というのは、現実の現代日本だと、残念ながらまだ少数の例ではないかな、という気がしてしまう。だが、そういう温かい描写のあるBL漫画はとても好きだ。創作は単なる現実の鏡ではなく「祈り」であってもいいじゃないか、と思うから。

『あのキスを辿って』について言えば、リアルと「祈り」のバランスがとても心地よかった。
 過去、孝汰が同級生男子たちからホモフォビア的なノリでいじられるくだりは読んでいてひどく心が痛んだけれど、そのリアルを描いていることで、彼が再生してゆくドラマが力強く胸に迫ってきた。
 一方で、ゲストハウススタッフのおじさんがマイノリティとの向き合い方を変えるささやかな描写などは、「祈り」のようであって優しい気持ちになれる。

 いい作品を読んだなぁ、と感じた。


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