日記(2023.12.20)

 先月末刊行された拙著『案山子の村の殺人』を、以前お世話になっていた人に送ろうと思い立ち、本日、投函した。
 純粋に個人的な献本だったので、べつに仕事をしたわけではない。しかし、「郵便物を出す」という行為をすると「人生が捗ったなあ」という感じがする。
 それはやっぱり、手間のかかることだからだろう。
 手紙をしたためて、自分と相手の住所を書いて、封をして、ポストまで歩いていって投函する……というのは、メールやLINEでのやりとりに慣れ切った現代人にとって、けっこうな手間だ。自分の意思で、相手を思いながらやっていることであっても、物理的に大変であることは間違いない。
 だから、自分もたまに読者のかたから手紙や葉書を頂戴すると、とても心が暖かくなる。書いてあるお言葉(内容)も勿論嬉しいけれど、手紙をくださったという事実そのものが嬉しい。拙著を読んで、少なくともそれだけの手間をかけるに値する作品だと思ってくださった、ということだから。

     ◇

 スーパーで、とても安い冷凍のハンバーグ(1個88円)が売っていたのでふたつ買った。ひとつは今夜の夕食にするつもりで。
 ところが、ご飯が炊けて野菜を切ったところで冷凍庫からそれを取り出してみると、なんと「レンジ不可、湯煎で22分」と書いてある。レンジが使えないのは仕方ないとして、22分……!?
 想定外に長い時間に動揺してしまった。普段この手の食品を買わないから相場がわからないのだけれど、こんなものなのだろうか。
 仕方ないので今夜はハンバーグを諦めて、鯖缶を食べた。

     ◇

 今日はクリスティーの『春にして君を離れ』を読み終えた。この間の日記に読書中だと書いたけれど、予想外に読み終えるのに時間がかかってしまったなあ。
 残念ながら「どういう作品なのか」という予備知識があったため、読書中はわりと淡々と読み進めていたのだけれど、ラストでは少し思っていたのと違う流れになって、「おっ」と思った。
 公開の場で詳細な感想を書くのが難しい作品だ。

 未読の古典はいつも後ろめたい気持ちでこそこそと読んでいたけれど、このあいだも書いたように、こそこそするのはやめることにしよう。心のままに、人からどう見られるかということを意識せずに本を読むのだ……。
 というわけで、続いて読み始めたのはG・K・チェスタトンの『ブラウン神父の知恵』である。これまた名著中の名著ですが、初読です。ごめんなさい。でも、さすがにこのシリーズの第一短編集『ブラウン神父の童心』は読んでます。
 いや、「さすがに」という枕詞をつけるのも見栄だな。まだとんでもない必読古典を読み逃しているので。地道に読んでいこうね。

 宿題的な意味で古典ミステリを優先しているけれど、新刊も買っている。
 青崎有吾先生の新著『地雷グリコ』は購入済みで、早く読みたいなあ、と思っている。『ブラウン神父の知恵』は短編集なので、もしかしたら途中で浮気して『地雷グリコ』(こちらも短編集)を読み始めるかもしれない。


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