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抗SARS-CoV-2経口薬の比較と特徴(薬局関係者向け)

 新型コロナウイルスの感染拡大とCoV2治療薬の第5類への変更に伴い、経口治療薬(ラゲブリオカプセル®、パキロビット®パック、ゾコーバ錠®)の比較と特徴をまとめました。(2023年9月26日更新、最新の情報を全て反映していない可能性があります、ご留意ください。)



新型コロナウイルス感染症経口治療薬比較表

ラゲブリオ、パキロビッドパック、ゾコーバの比較
ラゲブリオカプセル®、パキロピッドパック®、ゾコーバ錠®の比較

ラゲブリオカプセル®の特徴


ラゲブリオカプセル®は禁忌事項が妊婦と過敏症のみにつき、他の2剤と比べて患者情報が乏しい場合に選択しやすい薬剤といえます。また同意書の確認が必須ではなくなりましたので業務としての負担も他剤より少なくなります。
注意しなけらばならないのは、バラのボトル製剤につき調剤毎に分包が必要な点です。1錠2,300円を4錠ずつ分包しなけらばならないので他剤にはない緊張があります。

【用法】通常、18歳以上の患者には、モルヌピラビルとして1回800mgを1日2回、5日間経口投与する。
【メーカーURL】https://www.msdconnect.jp/products/lagevrio/

パキロビッド®パックの特徴


パキロビット®パックは経口薬の中で重症化リスクを最も低下させる効果があります。他剤と比べ服用に制限が多いですが妊婦にも使用することが可能です。
特に重度の腎機能、肝機能障害の患者、コルヒチン錠の服用中は禁忌事項となりますので注意が必要です。パキロビッド®パックも2023年8月より同意書の確認が不要となりました。

【用法】通常、成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、ニルマトレルビルとして1回300mg及びリトナビルとして1回100mgを同時に1日2回、5日間経口投与する。
【メーカーURL】https://www.covid19oralrx-hcp.jp/#

ゾコーバ錠®の特徴

ゾコーバ錠®は軽症~中等症Ⅰに使える現時点で唯一の経口薬です。併用薬の確認が必須となりますがリスク因子を有しない全ての陽性患者に使用できます。他剤と比べて重症化予防効果は認められておりませんが、症状の期間を短くする効果があり、他の2剤と比べると早めに飲むことで症状の期間を短くする抗インフルエンザ薬のようなイメージです。
現在流通しているのは28錠包装のみになります。その為、ゾコーバ錠に関しては1箱で4人分となります。在庫金額の面からすると薬局泣かせな医薬品です。
メーカーさんに依頼すれば1回分毎のパッケージをもらうことができます。(ヤーズとかみたいなやつ)パッケージがあると説明が大分楽になります。

【用法】通常、12歳以上の小児及び成人にはエンシトレルビルとして1日目は375mgを、2日目から5日目は125mgを1日1回経口投与する。
【用法の注意】SARS-CoV-2による感染症の症状が発現してから速やかに投与を開始すること。本剤の有効性は症状発現から3日目までに投与開始された患者において推定された。
【メーカーURL】https://med.shionogi.co.jp/products/medicine/xocova.html#consent-form

公費適応について

2023年5月8日から新型コロナウイルス感染法上の分類が5類に変更となりました。今まで薬局での患者負担は全額公費となっておりましたが、現在は薬剤料のみ公費負担に変わり、調剤料や管理料等は通常の保険負担割合の自己負担分の金額をいただく形となります。この特例は2023年9月までとなり10月以降は自己負担が発生することが決まりました。10月以降の薬剤料の負担は1割負担で3,000円、2割負担で6,000円、3割負担で9,000円となり、その他に調剤料や管理料、解熱剤等が処方された場合はその分の負担も追加される形となりますので10月以降、3割負担の方は10,000円程度の自己負担となることが予想されます。
また、公費適応の際は各都道府県の公費番号(28)をレセプトに載せる必要があります。(例)神奈川県の場合 28140804 / 9999996
受給者番号は各都道府県共通で「999996」となります。各都道府県の公費番号は下記、厚生労働省通知を参照してください。
レセプトメーカーさんの仕様によるかと思いますが、公費番号を入力すれば自動で負担割合を計算してくれるメーカーさんがほとんどのようです。

新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う 公費支援の費用の請求に関する診療報酬明細書の記載等について
https://www.mhlw.go.jp/content/001077088.pdf

令和5年3月20日保医発0320第1号,厚生労働省保険局医療課長通知

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