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カロナール(アセトアミノフェン製剤)について①

カロナール錠は風邪、熱、咽頭通、頭痛、関節痛、生理痛、多くの場面で使われるお薬です。
細菌ではコロナウイルス感染症の解熱剤としても関心と需要が高まっているお薬です。
今回はそんなカロナールについて解説していきます。

カロナールとは

カロナールは解熱鎮痛剤の一種で『アセトアミノフェン』が主成分です。
アセトアミノフェンは1893年に初めて医薬品として用いられました。
古くから使用されていたお薬の為、薬の形も沢山あり、
錠剤だけでもカロナール錠200/300/500と3つの種類があります。
錠剤の他にも、坐薬や粉薬、シロップなど多くの種類があります。
また、多くの研究データが有る為、赤ちゃんや授乳中のお母さんでも安心して使用できる成分であり、幅広く使用されています。

カロナールの効能・効果

カロナールは古くからあるお薬ですので、多くの症状に対して効果があることが分かっています。以下に添付文書の内容を抜粋します。

下記の疾患並びに症状の鎮痛
頭痛、耳痛、症候性神経痛、腰痛症、筋肉痛、打撲痛、捻挫痛、月経痛、
分娩後痛、がんによる疼痛、歯痛、歯科治療後の疼痛、変形性関節症
◎下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)
◎小児科領域における解熱・鎮痛

カロナール錠200・カロナール錠300・カロナール錠500 添付文書

基本的に【熱】や【痛み】に効果があるとがわかります。

カロナールの用法・用量

カロナールの用法・用量は、症状や服用する方の年齢などによって異なります。
カロナールの添付文書には以下のように記載されています。

成人量
小児量

カロナールの仕組み(薬理効果)

古くから使用されているカロナールですが、どのようにして効果が出ているのかは完全には解明されていません。
痛みの原因物質が増えるのを抑えたり、脳内の複数の情報伝達系に影響を及ぼしていると考えられています。
特殊な解熱鎮痛剤なので他の解熱鎮痛剤と別のグループに分類されるお薬です。

カロナールの特徴(良い点)

①小児科領域で安全に使用することができる
使える少ない小児にも比較的安全に使うことが出来るお薬です。
インフルエンザやコロナの感染症では「アセトアミノフェン」を含む解熱鎮痛剤が第一選択薬とされています。
【※生後3か月未満の小児への安全性は確立されていないので注意】

②授乳婦・妊婦さんにも比較的安全に使用できる
母乳中への移行が確認されているお薬(推定0.1%程度)ですが、小児科でも使用されるお薬ですので有益性が認められれば比較的安心して使用できるお薬です。
【※前述のとおり3か月未満の乳児がいる場合は医師の判断に従う事】
初期から中期の妊婦さんにも比較的安心して使用できるお薬です。
ただし、妊娠後期の使用で胎児に影響がるといったデータもあるので服用に関しては専門医ともしっかり相談して使用しましょう。

③胃への負担が軽い
他の解熱鎮痛薬は胃の負担となることが多いお薬ですが、お薬の作用する点が異なる為、比較的胃への負担が比較的軽い痛み止めとなっています。
【※消化性潰瘍を治療中の人は禁忌となります、使用は控えてください】

④お薬の効果が早い
比較的早く効果の出るお薬で、早いと30分、遅くとも60分くらいで効果が出てくるお薬になります。効果時間は2時間から3時間程度。
糖質の多い食べ物が胃にあると吸収が遅くなるので薬を早く聞かせたい場合は一緒には取らない方がいいです。ただし、空腹時の服用は避けることが望ましいお薬なので注意が必要です。

⑤安価
昔からあるお薬の為、とても安価なお薬です

カロナール錠薬価

カロナール錠300㎎を1日3回、1週間の服用。3割負担の人で43円程度の料金となります。(薬材料のみの計算です)

⑥色々な薬の形がある
錠剤や粉、シロップに坐剤と多くの剤型がある為、どんな人、どんな状況でも投与することができるお薬です。
また錠剤は200㎎/300㎎/500㎎、粉は20%/50%/原末、坐剤は50㎎/100㎎/200㎎/400㎎と複数規格が存在するため、細かい調整ができ個人に合わせた服用ができるお薬だと考えられます。

カロナール規格一覧

カロナールの特徴(悪い点)

①苦みがある
主成分のアセトアミノフェンは苦みがあります。
錠剤になっていれば苦みは無いですが、噛み砕いたり、つぶして服用すると苦くなるので服用する際は注意してください。
小児に使用する事が多い、カロナール細粒は改良されている為苦みはわずかで、ほろ苦い味がします。

②肝臓に病気がある人は注意
多くの解熱鎮痛剤はその分解・排泄に腎臓が影響していることが多いです。
カロナールの場合は、90~100%が肝臓で代謝され形を変えた後に尿中に排泄される為、肝臓の機能が重要になってきます。
肝臓の機能が弱っている人は体の中のアセトアミノフェンが排泄されないため体内に薬が長く残り続け、過剰になりやすくなるので注意です。

③お酒とはいっしょに飲まない
お酒は肝臓で分解されます。カロナールとお酒を一緒に取るとカロナールの分解が遅れてしまいます。遅れるだけならいいのですが、分解過程でできた途中の物質は肝臓の機能障害を起こしてしまいます。
お酒を大量に常用している人が、高用量のカロナールを長期で服用すると重篤な肝障害を起こす危険性があります。
カロナールを服用している間はお酒は控えましょう。

④配合剤が多く、重複しやすい
幅広い年齢層で使うことができるから、総合の風邪薬や整形領域の痛み止めにカロナールの主成分である『アセトアミノフェン』が配合されている事があります。
名前が違うので間違えて服用してしまうケースがあるので注意しましょう。
併用薬はお薬手帳でしっかり管理しましょう。

⑤服用量が多くなる事がある
1日に最大4000㎎服用できることから、症状によってはお薬を大量に飲む事があります。500㎎の錠剤であれば8錠を1日3~4回服用する量です。
(200㎎なら20錠を1日3~4回…1日4000㎎を飲む人は殆ど出会いませんが…)
副作用が少なく安全に使える反面、量もたくさん飲めてしまうので、1回3錠で飲んでくださいというとビックリする患者様も多いです。


以上、カロナールについてでした。
古くから使われており、出番の多いお薬なだけあって情報もたくさんあります。今回は基本的な一部の紹介でした、機会を見て情報を更新・追加していこうと思います。
皆様の参考になれば幸いです。


【参考】
カロナール錠200・カロナール錠300・カロナール錠500 添付文書
カロナールシロップ2%添付文書
カロナール細粒20%・カロナール細粒50%添付文書
カロナール原末添付文書
カロナール坐剤小児用50添付文書
カロナール坐剤100・カロナール坐剤200・カロナール坐剤400添付文書

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