見出し画像

組織運営の技術

組織運営の技術-インフラ整備
 
 白露を過ぎて残暑も和らいできました。今年は6月末に梅雨が明けた後に猛暑がありどうなるのだろう、と思ったものです。7月にはいると梅雨が戻ってきたような天気がありました。梅雨前線が復活したかのような雨模様と豪雨に見舞われました。
2回目の梅雨が明けて、また夏がきて猛暑日が続いた大変に暑い、暑い夏でした。猛暑日が続く地方があると思えば、一方では80年に一度といわれるような豪雨に見舞われて、大きな水害になった地域もありました。台風にも何度も襲われました。
地球の温暖化による異常気象でしょうか、毎年豪雨による災害が発生しています。さすがに都市部では子供のころに経験したような水害はないようですが、地方では河川が増水し堤防が決壊する水害が毎年発生しています。あちこちの河川が氾濫したのは、河川の流水容量を越えた降雨だったからでしょうか。
都市部では集中豪雨や台風による道路の冠水は頻繁に起きています。排水系統が整備されているハズなのに都市部でたびたび冠水が発生するのは、短時間の降水量が想定を超えるほどに激しいので設計排水容量を越えてしまったからでしょうか。
確かに1時間に50mm以上降る雨は激しいですが、想定外と言えるほどではありません。排水計画は所によって違う確率で計算されていると思いますが、道路の冠水や河川の氾濫が頻繁に起きるのは、単に短時間の降水量が想定外に激しすぎるからという理由だからでしょうか。
明治新政府は一流国の仲間入りを目指して、西洋の新しい機械を導入してモノつくりの近代化を図り、法律を整備して社会の運営システムの近代化を図りました。モノつくりは機械を輸入するとともにその指導者を招聘しました。国の運営というコトの面でも欧米諸国の統治手法の調査に出かけました。ハード(モノつくり)とソフト(組織を運営するコト)の両方のインフラ整備を進めたのです。
一流国の仲間入りを目指した日本の近代化は、新政府が十分な資金を持たない中で拙速であったかもしれませんが、ハード(モノつくり)の面では維新から数十年のうちに先進諸国が無視できないほどに整備されました。
社会資本の整備においても、先進国が長い時間をかけて整備したレベルに短期間で追いつこうと努力してきました。しかし、毎年社会資本の整備に回せる予算は限られていましたから、社会資本の整備は最低限の近代化であったといえます。
したがって、ハードのインフラ整備のうち費用と時間の掛かる社会資本の整備は生産のインフラ整備ほどには進みませんでした。交通関係の整備は今も続いていますし、道路や河川の整備は遅れています。毎年起きる自然災害を見ると明らかです。
水害が起きるたびに、少なくとも想定外の降雨による水害は自然災害だから仕方がなかったとして片づけられています。この時の想定外はなぜ想定外なのかを具体的な数値で表すことができるのでしょうか。災害が起きた時に想定外だから仕方がないというよりも、自然を相手にする限り想定外のことが起きることは当然なので想定外の発生は想定できるという意味において想定内ではないでしょうか。
昨今では1時間に100㎜降る雨だって珍しくありませんから、今後の排水の設計基準を変更するときです。たとえば、河川改修にしろ、道路排水にしろ、今後の排水計画の設計基準を少なくとも100年確率で計算するようにしてはいかがでしょう。既に100年確率で計算した設計に基づく整備が進められているのかもしれませんが。
わたしたち人間も自然界の一部と考えるならば、自然災害に想定外が発生することを想定して計画に取り組むことは、当然のことではないでしょうか。予算配分を検討して河川と道路の排水整備を重点的に進めることは可能ではないでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?