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訪れた国

Episode 26 – Macao 1
 
 1999年にポルトガルから中国へ返還(中国側からすると、祖国復帰)されたマカオは、南シナ海へ流れる珠江(パールリバー)の河口の西側に位置しています。珠江デルタを挟んだ東側には香港が、川をさかのぼると広州があります。
 昔、香港から夜航船に乗ると朝マカオに着いて1日マカオで遊べる0泊2日の旅ができました。観光やカジノ、自動車レースなどが楽しめたのです。今はジェットフォイルがたくさん出ていて所要時間は約1時間くらいです。2018年には香港と珠海とマカオの連絡橋(港珠澳大橋)が開通しました。通行は未だに許可された車だけと聞きますが。
 新しい出入国管理棟の大きさにはびっくりします。旧正月にはマカオの人口(約65万人)を越える人が中国大陸から来たそうで、大きなイミグレが必要になったそうです。コタイにあるホテルの豪華さにも驚きます。あるホテルのスィートは500㎡以上あって室内に2階やプールがありました。スタンダードでも一部屋が60㎡くらいあります。
 観光では聖パウロ天主堂跡のファサードが有名なので、みなさんも見たことがあると思います。他にも観光して回るところはありますが、マカオといえばやはり賭け事でしょうか。それから、食事は主に中華料理になりますが、香港の中華料理と比べてはいけません。海鮮のポルトガル料理とエッグタルトがおすすめです。
カジノのほかにはスペインのバスク地方発祥と言われるハイアライがありました。馬の代わりに選手に賭けます。賭博としてのハイアライは今も中米にはあるそうですが、アジアではフィリッピンに残っているでしょうか。また、土地の狭いマカオに競馬場はありませんが、馬の代わりに犬が走るドッグレースがありました。
2001年に完成したマカオタワーは訪れた方も多いと思います。2012年完成のスカイツリーの展望台の床にあるガラス張りがマカオタワーにもあります。ガラス張りの床に立って約200m下の地上を見るのはかなりの勇気がいります。また、命綱を付けて展望台の外回りにある円盤の上を歩いたり、タワーのアンテナ部分をよじ登って最頂部(338m)まで探索したりするスカイウォークは迫力満点です。
マカオグランプリはモナコグランプリのように海岸沿いの市街地を走ります。海沿いに観客スタンドを設けた直線コースがありますが、その先は住宅街を走ります。丘を下るところにヘアピンカーブ(道幅6mくらいで180度曲がる)があります。現地を見るとレーシングカーが下りカーブを高速で180度ターンする状況は想像もつきません。
かつて、マカオグランプリはアジアのローカルレースのイメージが強く、ツーリングカーやフォーミュラーカーが並走していました。今では並走はなくフォーミュラクラスはF3マシンに統一されて著名なレーサーが参加されています。車は香港から輸送していましたので、グランプリの開催前に湾仔埠頭へ行くと積み込み作業中のいろいろな車が見えました。1995年にマカオ国際空港ができてからは直接運んでいるのでしょうか。
2002年にカジノ経営権の国際入札が行われて以降は、コタイにたくさんのカジノができて賭博と言えばカジノだけになったようです。マカオのカジノ収入は2006年にラスベガスを抜いて世界最大のカジノ街になったそうです。コタイのカジノ街は中国政府が公金をカジノで使うことを規制(当然のことですが)してきたことや、新型コロナウィルスの発生で街の景色も随分と変わったことと思います。来年の旧正月にはあの大きなイミグレを人で埋め尽くすほどの爆発的な民族大移動が見られるのでしょうか。
 大阪でIR(カジノを含む高級ホテルや国際会議場、展示場など)計画が進められていますが、経営的に楽観できる状況ではないような気がしています。外国人を呼び込む魅力はカジノではなく、長い歴史ある日本の社会(自然、風俗習慣、職人技などなど)だろうと思っているからです。みなさんはどのように感じておられるのでしょうか。

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