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お互い様

「いいの、いいの。お互い様よ。」

買い物のあと、荷物を車に乗せ終わって、カートを戻そうとスーパーに返しにいく途中、おばあさんが声をかけてきた。戻しておきますよ、と自然な流れでカートを持っていってくれた。私は涙が出そうになった。

緩みどころの掴めない日常が続く。転職先が前職と比べて、仕事の切りどころが曖昧だからだと思う。1日のノルマで終わる仕事から、明日明後日に影響する仕事に変わった。休もう休もうと思っても、体は強張っている。

不意におばあさんの優しさに触れて、ハッとした。

わたし、今、余裕がないのだ。

明日は明日でなんとかなる、と思えるほどの経験を、今の職場では詰めていないし、なんでもこいと思えるほど、優しくも強くもない。やっと生きてる。頑張らないと、生きていけない。

お互い様、と手を差し伸べられるほど、今の私は強くはないけれど、もうすこし、あともうすこし大丈夫になったら、この優しさを誰かに、誰かに渡したい。

「いいの、いいの。お互い様よ。」

サポートしてくれたら、ラーメン食べるつもりです。時々食べるラーメン、おいしいよね。