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【詩】君の墓

世界で一番好かれている君の事を

知りたいと思ったぼくは愚かだったね


世界の誰にも嫌われていない君の事を

よく知っている唯一人のぼく


ぼくは君の事を知る度に嫌いになった


ぼくが嫌いだと言っても

ぼくを好きだと言う君

世界で一番嫌われ者の

ぼくを好きな君


君の事を知りたいと思ったぼくは愚かだった

君を嫌いになる度にぼくの事が嫌いになる


ぼくを殺せよ、ぼくを跡形もなく

ぼくの首を締めて、命を消せよ


ぼくの命を、君にあげるからさ

君は生きろよ、醜く生きろよ


君と出会った場所は高い高い丘の上

君が死のうとした丘の上


世界で一番好かれている

そんな君を知りたいと願った


君のこと知る前のぼくに戻りたい



ぼくは、優しいだろう?

君と違って


君に立派な墓をたてたよ


ぼくは、優しいだろう?

君と違って


君の好きなものを供えてやったよ


君には、無理だろう?

ぼくの墓なんてたてないだろう?


君には、無理だろう?

ぼくの嫌いなものばかりくれた君には



君の好きな花を供えてやるよ

君の好きなガラス玉を供えてやるよ


君の好きなかんざしを…

君の好きな首飾りを…


君の好きないちごのチョコレート

君の好きなアイスクリーム

君の好きな赤い口紅


ぼくは、優しいだろう?

君には、できないだろう?


君の好きなものを持って

たまには墓参りに来るから

二度と目覚めないでおくれ

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