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【詩】君の形

毛布の中で息をする


吐いた息で満たされて

ぼんやりしてやっと眠れる


あの子は元気にしてるだろうか

いつかあの子と約束した

大きくなったら一緒になろうと


でもぼくは君の望む姿にはなれない

ぼくの心も身体もぐちゃぐちゃで

君の見ていたぼくの姿はなくなっている


君の美しい髪

君の滑らかな肌

君の暖かい体温


今も思い出せるよ、全部


でも、もしかしたら君も

あの頃の君ではなくなっているのかも


いつか約束した時交わした口づけ

今のぼくにはできないな


ぼくが口づけをする者は

醜く穢い化け物たち


忘れよう、君とのあの約束を

忘れよう、君の事、全てを


そうして全て忘れたあと

君はぼくの前に現れて


君をわからないぼくに

口づけをした


なにも覚えていないぼくを

君は慰めるように抱きしめた


君の姿を覚えていないから

今の君の姿も見えない


君が美しいのか醜いのか

それすらもわからないまま君に抱かれて


無垢のようなぼくに君は

肌の温もりを与えてくれた


君がぼくに触れたところは

君の形が残っていって


ぼくはまるで君を型どったセメントだ


それがどんな形かも

ぼくにはよくわからない


ただ君は泣いているのだと

それだけはちゃんとわかったんだ

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