みっちー

みっちーはかっこよかった


みっちーは幼稚園の頃の友達で、
隣の駅のマンションに住んでいた

みっちーは他の園児たちに比べて
少しおとなっぽかった

ふつう、小さい子が履く靴ってベルトをベリベリって剥がして履くやつだと思うけど、
（少なくともわたしはそうだった）
みっちーは5歳にして既に紐のスニーカーを
履きこなしていた

そんなみっちーを見て
わたしはかっこいいと思った

ほかにも

幼稚園の庭に生えてたアロエを手に塗りながら
「傷口にいいんだよ」
と言っていた

そんなみっちーを見て
わたしはかっこいいと思った


でも、みっちーは鉄棒が苦手だった

逆上がりとか地球まわりとかこなせそうな顔
してるのに、みっちーは前回りもできなくて豚の丸焼きしかできなかった

豚の丸焼きをしてぐえーって言ってる
みっちーを見て
わたしはかわいいと思った



みっちーとは何年か年賀状のやりとりをした
小学校に上がってから初めて来た年賀状には
お母さんの字で

「みっちーは小学校もう飽きたって言ってる」

と書いてあった

まだ5年以上もあるのに！？と思ったし、
そういうところがすごいみっちーだなと思った


それから数年後、みっちーは親の転勤でタイに引っ越した

何度か手紙がきて、現地での生活を教えてくれたけど、それももう途切れてしまった

だから今わたしはみっちーの連絡先を
知らないし、なにをしてるか、
どこにいるのかもわからない


いつかわたしが「あいつ今何してる？」に
出演する機会があったら、
わたしは絶対にテレ朝にみっちーを探してもらう


地球の隅々まで、ぬかりなく