見出し画像

全宅ツイ不動産チンパンジー情報 第116号

【PR】クソ物件オブザイヤー2023、発表は明日(12/12)っ!



デベ夫人(以下夫人):全宅ツイ女子部からスピンアウトした全宅ツイ姑部の3人が、大丈夫さんを囲んでお届けする回です。

c:オフィス中心に様々なアセットをやってきたおばギャル。麻布台で好きな食べ物は鈴懸のいちご大福。

みくぴっぴ:マンションやビルを担いで売り歩くアラフォーギャル。最近、元気なのに「顔がすごい疲れてますね」って言われます。好きな食べ物は鈴廣のいか塩辛

大丈夫くん:美味しいご飯とお酒を作る為に独立したはずなのに税務署労基金融機関で毎日を過ごす限界零細経営者。好きな食べ物はポン・デ・リング

デベ夫人:板橋競馬倶楽部の若者に教わる買い目や株銘柄を原資に、毛唐相手の激務ストレスを散財で発散する管理職。好きな食べ物はトップスのドライカレー

c:姑部の呼び方、お気に入りです(わしが作った)
夫人:とても気に入ってます。
大丈夫:気に入ってるんだ。
みくぴ:わたしも気に入ってる。
夫人:囲むのがギャルじゃなくてごめんね。
大丈夫:光栄です・・・
みくぴ:って言うしか無い感www
夫人:前回の姑部回では有明ガーデンを取り上げましたが、今回は11月24日にオープンしたばっかりの麻布台ヒルズの特集です!

【特集①】30年の時を経て、麻布台ヒルズついに開業!

夫人:みなさん行かれてましたね!どんな感想でした??
c:「でかい」
みくぴ:「こういう世界があるんですね」
大丈夫:「でかい。なんかおしゃれ」
みくぴ:森ビルの開発って、超かっこいいけど、自分がどこの何階にいるかめっちゃ難しいですよね。神谷町から行って全然わかんなかった。

c:そうそうあの高低差やばいよね。
夫人:日本一高いビルとなった森JPタワーがある場所に、もともと麻布郵便局(​​旧逓信省貯金局)の建物があって、それ以外のレジデンスやガーデンプラザのあたりは、細かい住宅がいっぱい並んでて。
c:300の地権者を30年かけてまとめた壮大なプロジェクトです。
夫人:麻布郵便局の裏に我善坊谷という昭和にタイムスリップしたみたいな谷地の集落がありました。
みくぴ:いわゆる木密地域ですね。

 c:どこの何階にいるかわからないと感じたように高低差があるのって、そのせいなんですよね。
夫人:郵便局側と谷地側にすごい高低差があって、その高低差を埋めるために、我善坊谷を全部コンクリートの下に沈めちゃったんですよ、ダムみたいに。
みくぴ:へ~~~!
c:このあたり、超都心なのに、都心の中のマイナー駅というか、アクセスも悪かったですよね。それが、神谷町駅と六本木一丁目駅をつなぐ街になった。B棟が完成すれば、ですけど。
夫人:でも繋がってるとは言えど、歩くとだいぶ駅から遠いよね。
c:森JPタワーも両駅から徒歩7、8分と実態は駅遠なんですよ。通勤する人、結構辛いと思います。
大丈夫:私は森ビルの担当さんに、このエリア全てを開発中の段階に徒歩で案内されました。真夏に。
夫人:かわいそうwww 担当さんからどんな話ありました?
大丈夫:まずはエリアの成り立ち、なぜ30年かけてここを開発しているのかみたいな。すごい情熱を感じました。あと、ビルを作ってるんじゃなくて街を作ってるんだ!とも。

夫人:麻布台ヒルズは店舗の話、レジデンスの話、オフィスの話とネタが盛りだくさんです。まずは商業ゾーンの話をからいきましょうか。
 

・いつになったら全部の店舗がオープンするのか、誰もわからない商業ゾーン

夫人:麻布台ヒルズ、実はまだ半分ぐらいのお店しかオープンしてないんですよね。東京のランドマークになるようなデカい施設が、工事の遅れや人手不足で、開業一斉オープンできなくなったって、かなしい事実です。人手不足の大きな要因は少子高齢化だから、ようは国力の低下・・・
みくぴ:開業一斉オープンしないのって何か戦略とかそういうもんかと思ってましたが、本当は一斉オープンがベストで、やりたくてもやれないってことなんですね。
c:これは本当にそうで、一斉オープンじゃないなんて正直ドン引きでした。それを森ビルが許すってのに驚きがありましたね。
大丈夫:お店を開けたはいいものの、こうなるの、本当に怖いです。
c:そもそも、こういう新築物件でお店を何十、何百と集めるプロジェクトはどんな感じで進めていくものなんですか?
夫人:あくまで私の経験則ですが、最初にテーマを決めるんですよ。麻布台で言うと「Modern Urban Village」ってやつですね。一応それに沿って。
c:ペルソナも作ったりしますね。麻布ヒル子さん(36)は港区で働くバリキャリで、みたいな。
大丈夫:アパレルでブランド作るみたいなやつだ。
夫人:そうです、そうです。そこから区画図(壁が入ったフロアの平面図)に想定業態、イタリアン、ビストロ、焼鳥・・・みたいに落とし込んでいって、その業態に合った店舗をリストアップしていく、みたいな感じです。
みくぴ:へ~~~!先に業態を落とし込むんですね!おもしろい!
夫人:あとは、フロアの客単価を決める感じですかね。夜の客単価7,000円ぐらいのフロア、とか、接待需要の20,000円ぐらいのフロア、とか。男性客取りたいか、女性客取りたいか、とか。
大丈夫:そのあたりの段階で決まるんですね。
c:それでいうと「フロリレージュ」や「てんぷらにい留」が高価格帯、ベトナムのピザやバリ島のレストラン等が高感度な女性をターゲットにしている、という感じですね。

大丈夫:そもそもリーシングってどういう部門の人達がやってるんですか?
夫人:どこのデベも、店舗に特化した営業部隊がいて、その人たちがやってますね。物販担当と飲食担当にわかれてる会社が多いです。
大丈夫:なんか聞いたことのない自称デベロッパーの人が挨拶にきて、実は〇〇が今作ってる施設のリーシングを担当してまして、みたいな事がちょくちょくあります。
みくぴ:自称デベロッパーwww
夫人:そういう自称デベロッパーは、デベが成功報酬で雇ってるコンサルさんですね。大丈夫さんにお聞きしたいのですが。
大丈夫:はい。
夫人:いきなり「森ビルです!」「三井不です!」「地所です!」って来られるとビビりませんか?
大丈夫:全くビビらないですね、むしろ嬉しいですよ!
夫人:ひと昔前って、デベが飲食店にリーシングに行っても「いやーそんなデカいビルに出店なんて、とてもとても・・・」みたいに門前払いくらうことが多かったんですよ。その緩衝材のためにコンサルさんを雇うんです。
大丈夫:ビビってしまう背景には、やってみたいんだけど家賃とか保証金とか超かかるんじゃないか?っていうのはあります。
夫人:それが、実は家賃は全然高くなくて。この前、家の近所のスタンディングバー?のオーナーに「ここって賃料いくらなの?」って聞いたらそこが坪3.8万円で、商業施設の方が全然安いじゃん!!って思いました。
c:オフィスビル付帯の飲食店であれば、ワーカーさんへのサービス施設という意味合いも兼ねてやや控えめだったりしますね。
みくぴ:商業施設の方が全然高いのかなと思ってましたけど、サービス施設って聞くと納得。
c:ちょっと待って。夫人、近所のスタンディングバーで家賃聞くんですか?
夫人:え、馴染みのお店で家賃聞かない??ww
みくぴ:聞いていいんだw 聞こうw
c:明日から、家賃いくらですか!!って絶叫しますwww
大丈夫:あと、商業施設は賃料設定がよくわかんない、というのもあります。
夫人:確かに、共益費が込なのか別なのか、とか販促費があるよ、とか。麻布台ヒルズは推測ですが、飲食の固定賃料はせいぜい坪3万円ぐらいじゃないかな。歩合賃料は付きますけどね。
大丈夫:けっこう安いな・・・
c:チャンス・・・
夫人:物販も飲食もだいたい月の売上の10%が家賃比率と言いますね。
大丈夫:上にレジがある施設だと住民の福利厚生みたいな考え方だからけっこう優しいって聞きます。
c:さっきの「販促費があるよ」というのはどういう意味合いか、補足お願いしたいです!
夫人:商業施設だとパンフレットつくったり、HPを都度更新したり、宣伝にお金をかけるんで、月の売上の1%を販促費として徴収するんですよ。あとポイントとかつくでしょ。それの原資になります。
大丈夫:なるほど。
c:売上がいまいちあがらないときは、そのお店のクーポンとかを作ってくれたりもしますね。
みくぴ:ポイントの原資もとられるんだ!めちゃ面白い。
夫人:テナント1%、デベも同額持ち出して全体の販促費は売上の2%とかが普通ですね。でも、エルメスとかカルティエは絶対に払わないですwww
大丈夫:それは許されるんですね。
夫人:デベとテナントとの力関係次第ですね。
c:ポイント対象外のお店があるのはそういうことですね。ユニクロも大手デベ物件以外への出店だとポイント分を払ってくれなかったり・・・
夫人:麻布台は神谷町の駅からの通り沿いにラグジュアリーのお店が並びますけど、あれは商業施設のテナントというより、新しく神谷町に銀座中央通りみたいなブランド通りを、森ビルが建物も含めて作ったと言う感じですね。
みくぴ:まさにそんな感じでしたね、ビバリーヒルズかなと思った。

c:ハイブランドもオープン日が全然揃わないんですよね。エルメス2月、ディオール3月、ブルガリに至っては夏
夫人:ひどいwww
みくぴ:そんなにばらばらなんだ。
大丈夫:麻布台の話じゃないけど、消防がめちゃくちゃ厳しくなってきていて認可がとれず工事のやり直しみたいなのが増えて想定より遅れるという話をたくさん聞きます。
夫人:ただでさえ「工事費高い!」「人がいない!」の上に「消防が厳しい!」ってほんと大変。
みくぴ:「どうしろってんだ!」って叫びたくなるやつですね。
c:工事の人も足りませんが、お店側の人繰りはどうなんですか?
大丈夫:お店側も全く足りてなくて、オープン遅れてラッキーみたいな話もよく聞きます。八重洲で時給1,800円とかで求人出しても人が集まらなかった、とか。
c:1,800円…
みくぴ:わたしが働いてた地元のキャバクラと同じ時給じゃないですか!ww
 
 
大丈夫:ちなみに、店の営業時間縛りってけっこう強いんですか?契約で決まっているとか?
c:営業時間や休日は原則建物オーナーが決めたものに従ってもらいます。あと1時間早く閉店できるとシフト組みやすい等、色々なご要望はいただきますね・・・
みくぴ:商業施設って細かいルールあって大変なんですね。
夫人:商業施設って賃料は安くても、営業時間の自由はないし、勝手に休んだら怒られるし、あと工事費が街場の建物よりちょう高いし、で、そんなにいいことないと思うんですよ。
c:元旦どうするかとかね。
夫人:よく、どエンド君が家賃の味がする、しない、って表現するけど、商業施設の飲食店は「家賃の味がする」じゃなくて、正確には「減価償却の味がする」だと思ってます。

みくぴ:そうすると商業施設に出店するテナントにとっての最大の魅力は何なんですか?
大丈夫:宣伝ですかね。あと集客。
c:チームラボに来た人が、ごはん食べて帰りますからね。
大丈夫:あと、たまに新規開店したお店のお披露目会みたいなのがあって行く事があるんですけど、そこに従業員さんの親御さんとかが来て「立派な所で働いてるわね!」って。
みくぴ:素敵だ。
c:泣ける。
みくぴ:親が喜んでくれるのが一番!!w
c:そう思ってもらえる物件にします(号泣
大丈夫:それを見て、零細経営者の私達はこれをやりたい!って思うわけです。
夫人:あとはデベとテナントとの力関係で「お迎え型」のテナントはデベが内装工事をやってあげたりしますね。
大丈夫:私達でいうドラフト1位ですね。ドラ1と呼びます。
c:おめでたいですね。
大丈夫:商業施設はA工事、B工事、C工事ってあって、本来テナントが払うべきB工事をデベが負担してくれることはけっこうあるんですけど、ドラ1にはC工事も出してくれたりするんです。

ここから先は

11,599字 / 17画像

¥ 540

全宅ツイにご感心ご興味いただきありがとうございますウホ。皆様のご支援のおかげで楽しい企画が続けていけます。これからもよろしくお願いします。