見出し画像

仕事を辞めると決めた頃

これから最近の話や少し前にさかのぼって、日々の暮らしや考えたことを書いていきたい。



昨年春、私は数年間勤めた会社を辞め、実家に帰った。

元々、未経験の仕事だったけど、スピーディーに展開していく業務に対応していくことができなかった。

余裕のある体制でもなかったけど、その中で他の人を頼ることができず、仕事を抱え込んでいた。

もちろん、入りたくて入った会社だった。

でも、努力してスキルアップの勉強をするほど、その仕事がやりたいわけでも、絶対にその会社で働き続けたい気持ちがあるわけでもなかった。ということを仕事をする中で思うようになっていた。

仕事の仕方を変えようともしたけど、長年の癖を中々変えることができず、気持ちも身体も疲れてしまった。

仕事に対する覚悟がなかったこともあるのだけど、それはまた別の記事で書こうと思う。



辞めるといっても次に何の仕事をすればいいのかわからない。

次の仕事を決めないまま辞めることが、すごく怖かった。

でも休みは寝ることが多く、考える元気もなかった。

次の仕事を決めずに退職する人を見ると、「そんな怖いことがよくできるなー」と思っていた。



仕事は正社員の他にもアルバイトだってあるし、色んな働き方があるはずだ。

元気になるまで休む、という選択が必要な時だってあるだろう。

でも、当時の私は、事業をして成功している人などを除いて、多少辛くても「正社員として働き続けること」が一番望ましいと思っていた。

望ましいどころじゃない。

それだけが唯一の道だった。

「履歴書に勤務歴の空白期間ができると、今後再就職が難しくなるのでは?」

「当分無職で、周りに何て説明すれば?」

具体的に考えても不安しかない。

両親は安定志向の強い人で、悲しむ顔を見るのが嫌だった。 

でも、友人に「しばらく休んでからまた働けるよ」と言われ、一旦休もうと少しずつ思えるようになっていった。

「再就職の際に、履歴書の職歴に空白があっても家庭の事情やバイトをしていたと言えば大丈夫なのかも。」

今は、空白期間があることを理由に採用されないなら、その会社に入れなくてもいいと思う。

自分の価値を認めてくれる所で働こうと思う。


今思うと、自分の力で生きていける自信はなかった(今もしっかりあるわけではない(笑))。

どこかに正社員として所属していないと、とにかく悲惨なことになるような、漠然とした怖さがあった。

バイトならいくら稼げるのか、どう稼いで生きていくのか?という現実的な視点で考えることはできなかった。

(正社員の方が経済的安心は得られるかもしれないけど、色んな面を考慮して選択できる状態ではなく、正社員以外がただ怖かった。)



元々体調の悪い日が多かったが、辞める前は特に悪かった。
夕食後に吐いたり、電車で胸が苦しくなり途中下車したり、そんなことが続いていた。

「もう無理だ。」

「でも辞めることも怖い。」

「辞めて何をしたらいいかもわからない。」

でも、もう一旦辞めて実家に帰ろう。

引きこもりの弟とその状態に疲弊する母も心配だった。

今いる家族と暮らして、私に伝えられることを伝えよう。

家族が元気になるために今私にできることをしよう。

私の願いは、以前は大事とも思えなかった家族が元気になることだった。

その時一番やりたいことは、家族とご飯を食べることだった。

先のことは心配だけど、今までとは違う生き方ができるのだろうか?

「もう今の生活は無理だ」という気持ちと「家族と過ごす時間を作りたい」という前向きな気持ち、2つの思いがあった。

何もわからず不安だったが、ほんの少しだけ希望も感じていた。

新しい生き方、のようなものへの希望だった。

私は辞めることにした。



結局、無職になることの怖さがなくなったわけではなかった。

辞めて何するか?の目星が付いているわけでもなかった。

ただ、もう仕事を続けることができなかった。

意図して選んだというより、その時の私にはそうしかできなかった。

そんな中、家族と暮らすということは、本当にやりたいことだった。

私は、経済的安心を得るために続けてきた正社員の道から降りた。



思い出すこと。

毎朝、混雑した電車に乗り、少しでも気持ちが落ち着く音楽や動画を聴きながら通勤していた。

朝、時々元気になれる瞬間があった。

自宅最寄り駅から何駅か先に川が流れ、大きな橋がかかっていた。

天気がいい日、電車から見えるその辺りの街並みが好きだった。

それから、太陽の光が車内に射し込み、明るく照らされた床を見ていると、暖かい縁側にいるみたいだと思った。

「朝、元気な気持ちで仕事に行ける生活がしたい。本当にやりたいことを仕事にしたい。」と強く思った。

そういう日が何度かあった。

とても、懐かしい。

苦しかったあの頃も、私にとって大事な時間で、人生の中の素敵な時間だった。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?