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だから、ぼくはヒーローになれない episode 18 -2020年の東京で『AKIRA』を観る意味を問う-

こんにちは、イイジマケンジ|kushamiです。

徐々に街にも活気がでてきて嬉しい。まだまだ第2波がくるのか不安はあるけれど、少しずつ動き出さないといけない。そんな中、急に”映画館行きたい欲”が高まり、平日の夜に映画をみてきました。

観た映画は『AKIRA』。4K映像で蘇る!時代がAKIRAに追いついた!!
…と言いつつ自分はAKIRAを初めて観た人だった。観終わった瞬間、というか観ている途中から、これまで観てこなかったことを恥ずかしいと思ってしまうくらい名作中の名作だった。

だから、これまでAKIRAを見たことない人もこのタイミングでみよう!みるなら絶対に最初は映画館の大きなスクリーン、大音量で体感すべき。
そしてなによりも、コンテンツとして、2020年の今だからこそ、見るべき意味がある作品なのだ。

テーマは「2020年の東京で『AKIRA』を観る意味を問う」

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©1988マッシュルーム/アキラ製作委員会

とにかく、すぐにでも映画館へ駆け込むべき

正直、僕がnoteでどうのこうの書くよりも、まずは映画館へダッシュすることをオススメする。そもそも映画館でコンテンツをみることが久しぶりすぎてそれだけでも満足だったのに、自粛明け一発目でAKIRAを選んで本当によかった。
(ここから書くのはAKIRA作品をみたことがない人向けなので、見たことある人はサラッと流してほしい)

ここからは、映画配給会社の東宝のサイトから情報を抜粋する。

「AKIRA」4Kリマスター版 - 映画・映像|東宝WEB SITE

INTORODUCTION
ヤングマガジン(講談社)にて1982年12月より連載が開始された「AKIRA」。その独創的な世界観を持ったコミックは、国内はもちろん海外にまでその名を広め、書籍・キャラクターグッズ等、驚異的な数字を記憶し、世界的なセールスに成功したマンガ史に残る傑作のひとつです。
その原作者・大友克洋氏自らが監督を務め、製作期間3年、総制作費10億円という、当時のアニメーションでは考えられないほどの時間と労力、そして最高のアニメーション技法を惜しげもなく費やし、1988年に世界的劇場アニメーション「AKIRA」が誕生しました。
最高機密「アキラ」を中心として、現代の政治と宗教が入り組み、それに若者たちのエネルギーが炸裂し、スケールはますます大きくなってゆきます。予測不可能なストーリー展開はもちろん、細密画のように綿密に描きこまれた各カット、息つく間もないスピーディーなアクションシーンは圧巻。そして映画のテーマである、破壊の後の“再生”への願い・・・
「AKIRA」は壮大なSFアニメであると同時に、熱いヒューマン・ドラマでもあります。
「AKIRA」4Kリマスター版 - 映画・映像|東宝WEB SITE INTORODUCTIONより抜粋
STORY
1988年7月、関東地区に新型爆弾が使用され、第三次世界大戦が勃発した。

31年後― 2019年東京湾上に構築されたメガロポリス、ネオ東京は翌年にオリンピック開催を控え、かつての繁栄を取り戻しつつあった。

健康優良不良少年のグループリーダー・金田は、荒廃したこの都市でバイクを駆り、暴走と抗争を繰り返していた。ある夜、仲間の鉄雄は暴走中、奇怪な実験体の少年と遭遇し、転倒負傷。呆然とする金田たちの前で、彼らは軍の研究所へと連れ去られてしまう。

鉄雄救出のために研究所へ潜入を試みる金田。だが、彼はそこで、過度の人体実験により新たな「力」に覚醒した、狂気の鉄雄を見る。

一方、研究所内の特殊ベビールームでは、実験体の少女が、「最高機密 = アキラ」の目覚めを予言。

鉄雄は自らの力の謎に近づくべく、地下深く眠る「アキラ」への接近を開始した―
「AKIRA」4Kリマスター版 - 映画・映像|東宝WEB SITE STORYより抜粋

「AKIRA」に感じた”既視感”の正体

僕が今回「AKIRA」を見たときに感じたことは「既視感」だった。
”既視感”というとなんとなく良いイメージでは使われないことが多いが、今回の既視感は”点と点がつながっていくゾクゾク感”だった。「壮大な伏線回収」というべきか。

「AKIRA」の作品の舞台は、第三次世界大戦後の新しい都市であるネオ東京だ。その「崩壊・荒廃したところから這い上がっていくスクラップ・アンド・ビルド的世界観」こそ現代の日本アニメで引き継がれているフォーマットの原点である。

これまで共感してきた映画で使われている世界観こそ、僕が感じた“既視感”だった。

日本のDNAが日本アニメのフォーマット?

日本はこれまで幾度も困難がおとずれる。近現代でいうと、黒船来航、関東大震災、2度の世界大戦、阪神淡路大震災、東日本大震災、近年では台風やゲリラ豪雨。そして、いままさに現在進行形のパンデミックも起こっている。なぜこんなにも日本は困難が多いのか、といつも思う。

けれども、日本はどんな困難を迎えても、そこからスーパーミラクルを何度も起こして這い上がってきた。常に最初は敗者であるが、最後は勝者となっている。
おそらく、日本のDNAには”スクラップ・アンド・ビルド”が備わっているのだろう。
(日本人、だと人種ガー、日本人の定義ガーと言われるのであえて”日本の”にしている)

そして、その感覚は教育や育ってきた環境の中で受け継がれ、現代の僕たちにも植え付けられている。だから、「崩壊・荒廃したところから這い上がっていくスクラップ・アンド・ビルド的世界観」に僕たちは共感するのかもしれない。

ナウシカ,エヴァ,シン・ゴジラ,天気の子,etcとの共通項

これまでの日本の名作アニメたちは常に”スクラップ・アンド・ビルド的世界観”を共通項として存在している。(あくまでも個人の見解)

風の谷のナウシカ
「科学技術の発展した世界が”火の7日間”と呼ばれる最終戦争から1000年余り経過した未来の地球」
新世紀エヴァンゲリオン
「西暦2000年9月13日に起きた大災害セカンドインパクトによって世界人口の半数が失われた世界。その15年後の西暦2015年」

そのほかにも、「シン・ゴジラ」は東日本大震災のメタファーであり、ラストのシーンはまさにスクラップ・アンド・ビルドがこれからスタートするシーンで幕を閉じる。

「天気の子」も主人公が最終的に”選択”した結末から新しい東京のカタチが生まれていることから、基本フォーマットに共通点を感じるのは僕だけではないはずだ。

「東京リボーン」はNHKスペシャルでも最高コンテンツ

話は逸れるが、NHKスペシャル「東京リボーン」という特集シリーズがある。2018年末から始まり、合計第6集まである。2020年6月現在までで第4集が放送されている。

テーマは「2020年に向けた東京の大改造」である。まさにスクラップ・アンド・ビルドしていく東京をテーマにした特集なのだ。観ていると胸が震えるからまじでみたほうがいい。ほんとにまじで。
なぜここで東京リボーンの話をしたかというと、テーマタイトル映像や場面の切り替えで使われる映像には、AKIRAの世界観を意識しているのだ。
AKIRAを観た上で東京リボーンをみると、AKIRAの世界観と現実が混ざり合っていく感覚で気持ちよく酔える。NHKさんまじですげえ。毎度お金払ってるだけあってクオリティが高い。

AKIRAを観たあとには名著「シン・ニホン」を読め

AKIRAを観ると感じる”既視感”は、これまでの日本のアニメの世界観だけでなく、現実ともリンクしている点でも気付くはず。

有名な話だが、AKIRAの作品内でも翌年の2020年に東京オリンピック開催とされており、開催が危ぶまれている状況だ。(現実の東京オリンピック・パラリンピックは延期になってしまったが)

そんな東京、日本の状況の”既視感”を感じた後、自然に思い浮かぶ疑問がある。

「このあとの東京はどうなっていくのだろう」

映画版「AKIRA」ではその後の世界については語られていない。

現在の新型コロナによって、生活や価値観がガラリと変わる予感がするし、そもそも、現代はちょうど情報産業革命の真っただ中と言われ、世界の様相が塗り替えられている。これまでの常識やルールが通用しなくなることは明白だ。

これからの生活や仕事、生き方はどうなっていくのか、少しの期待と大きな不安を抱えている。僕自身もそうだ。これからどうなっていくのだろう。

そんなときに読むべき本が「シン・ニホン」である。

めちゃくちゃ分厚いし、内容もてんこ盛りで汗かきながら読むくらい難しいけど、そこには確かな希望がある。ただ、その希望も待っているだけではだめだ。頑丈な本ってこういうことなんだと思う。

時間的にもなかなか読めないひともいるだろうから、YouTubeで要約してくれている動画があるので、20分くらいの動画を流し見て概要だけでもわかっていてほしい。
僕も最初にこれを見てから本を読んだ。そのほうが全体像が見えた状態で読めるので理解が進む。

2030年の東京はどうなる

だいぶ文量も多くなってしまったので、最後は簡単に。

東京都知事選挙が告示され、2020年7月5日に投開票がおこなわれる。
現都知事である小池百合子氏の再選が確実視されているが、僕が大切だと思うのは、長期的な東京のカタチである。

東京は常に変化しなければいけない都市である。スクラップ・アンド・ビルドでつくられてきた都市だ。今まさに、大きな転換点を迎えている。これからの東京はより多様化され、歴史と未来が交差する。

2030年の東京はどうなる。
僕は都知事選に立候補したわけではないけど、次回のnoteではPRパーソンが考える「僕の2030年代の東京改造計画」をまとめてみよう。



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