最初で最後の危機契約を終えた元王子の初心者ドクターによる『アークナイツ』雑感

アークナイツというゲームには危機契約という高難易度イベントがあるが、つい先日まで開催されていた危機契約は今後これまでと同形態で開催されることはないらしく、事実上最後の実装になる予定とのこと

しかし自分は前回の危機契約(#11)が終わった直後に始めたため、#12となる今回が最初にして最後に遊ぶ危機契約となった
開催前に特攻的キャラのウィーディも引けていたおかげか、報酬上限となる危機等級18もクリアできてキリもいいので、今回は3ヶ月アークナイツをやってみた感想をざっくり書き連ねてみようかなと思う

ちなみに自分はもともと『千年戦争アイギス』をやっていてロドスに移住してきた人間なので、そっち目線からの比較も軽くしていきたい

↑モジュールがぶっ刺さるモスティマや雑に雑魚処理をしてくれる異格ヤトウ、ムリナールを持てていたのもありがたい

●アークナイツのいいところ

○コンテンツ量がCSゲー並の多さ

おそらく他のソシャゲを多く体験してきた人間ほど、この部分はより強く感じられると思う
通常のTDに加え、ローグライクやカードゲーム的な要素をミックスした特殊モードまであり、ベースシステムを変えずによくここまで遊びの幅を広げられるなと感心するばかり
対人要素が皆無のソーシャルゲームでここまでコンテンツ量が膨大なゲームもなかなかなく、腰を据えてプレイしてもそうそう消費しきれない、並のコンシューマータイトルにも比肩しうると言っていい密度だ

現に3ヶ月経過し、他の一般的アークナイツプレイヤーよりプレイ時間が多い自信のある自分でも手を付けきれてないモードが存在する。(保全駐在はまだ手を付け始めたばかりだし、統合戦略もエンディングコンプにはまだ遠い。しっかり消化しようと思って回してないのもあるが……)

メインストーリーは一応最新まで追いついたものの、ハードモードの攻略もほとんどやれておらず、常時開放の過去イベクエストも同様。月額課金で貰えるスタミナ回復剤もちゃんと貰ってこれなので、マイペースにプレイするスタイルなら尚更遊び尽くすのに時間がかかるはず

タイトルにもある『危機契約』は定期開催の高難易度コンテンツだが、こちらも一応のクリアラインである18等級(高くなるほど難易度も上がる)は突破できたが、最高等級は30オーバーと天井は遥かに高いので、遊び尽くすにはまだまだかかるだろう

○TDらしいやりごたえ

ゲームシステム自体は自由配置制のグリッドマップTDと『アイギス』のようなブロック制TDの間の子という感じで、既存の有名TDと良い具合に差別化が図られている
メインストーリーや危機契約などのメインコンテンツの難易度は全体的にほどよく、動画などを見る限りでも縛りプレイの幅は広いため、様々なクリア方法を模索する楽しみもあるだろう

特徴的なのは現状の高難易度エンドコンテンツである『危機契約』のシステムで、これは自分で「敵の攻撃力○○%アップ」や「味方ユニットのHP○○%ダウン」といった縛りを複数組み合わせることで、自分の好きな難易度に調整して遊ぶことができる
こうすることでソシャゲの高難易度コンテンツにありがちな“持ち物検査”をある程度避けることができ、クリアのための選択肢に幅を持たせることが可能になっているのだろう
実際クリア後に高等級クリア動画をいくらか見たが、かなり毛色の違う方法で突破しているものも多く、他人のプレイを見るだけでも中々に楽しめた

○細部まで徹底した用語設定から生まれるストーリー没入

『アークナイツ』というゲームを初めて触れたときに特徴的に思ったのは、“スタミナ”や“チケット”といった他のタイトルでよく使われる汎用語がほとんど使われていない点だった

スタミナは“理性”という用語に置き換わっているし、キャラクターを育成するために使う経験値アイテムも“作戦記録”といって、過去の作戦映像を見ることでキャラクターが成長する、という設定が付与されている
その他にも様々なアイテムや要素ひとつひとつにそれらしい理由付けがされており、とにかくプレイヤーの没入感を高めることを徹底していた

プレイヤーキャラクターである“ドクター”が記憶喪失という設定でストーリーが開始されるのも様々な要素と噛み合っていて、ソーシャルゲームのストーリーテリングとして上手いなぁと思わされたりと、こういった部分の作り込みに関して右に出るゲームはそうないだろう

●アークナイツのわるいところ

○プレイに時間がかかる

これは単純にコンテンツ量が膨大であるが故というのもあるが、それを加味してもなお拘束時間は長い
スキップ機能はごく一部のコンテンツにしか存在せず、現状はオート戦闘しかないし、そのオート戦闘を解放するにもフレンドからキャラを借りずにクリアしなければならないためハードルは高い
さらに期間限定のサブコンテンツも時間を食いやすく、拘束時間がかなり短くサブゲー適正も高い『アイギス』から移住してきた自分にとっては一番驚いた部分かもしれない
すくなくともスキマ時間にやるという温度感で遊び尽くせるゲームではなく、そういう意味でもコンシューマータイトルに近い感覚だと思った

○独特のUI+没入感と引き換えに失われたわかりやすさ

『いいところ』で「用語一つ一つに理由付けがなされて没入感が高い」と書いたが、これは新規プレイヤーにとってのわかりやすさとトレードオフになっており、『Division』を彷彿とさせるフラットデザインのUIも相まって、始めたての頃はとにかく「どこになにがあるのか」すらおぼつかず、あとから存在に気付いたシステムも多々あった
おそらく製作サイドとしても承知の上だとは思うので仕方ないが、新規実装のサブコンテンツなどでも同様のため、古参プレイヤーであろうが定期的に翻弄される模様

アークナイツを新たに始めようと思ってる人はある程度wikiなどに頼ることを前提と思ったほうが良いかもしれない

○サブコンテンツの調整は大雑把

アークナイツは定期的に他ジャンルのゲーム要素をプラスしたようなサブコンテンツ(統合戦略、保全駐在など)を実装するのだが、各種調整はわりと投げやりになっているのか、実装当初の評判はどれも良いとはいえない
自分もまさに『生息演算』(サバイバルゲームの要素をミックスしたモード)の新実装でそれを目の当たりにしたわけだが、初回がβテスト呼ばわりされている理由も分かる程度には大雑把な味付けだなと感じた

もちろん調整でよくなるパターンもあり、個人的に統合戦略(ローグライク系)は既に良化された段階でプレイできていたので特にネガティブな感想は抱かず遊べたが、それでも人によっては未だ嫌いという人もいるようなので、シンプルにTDとして遊びたいというには注意が必要かもしれない

●総評

全体としてはとても良いゲームでこれからも遊びたい
ここまでコンテンツの幅と量が豊富で、かつソロゲーとしての気楽さも両立しているソーシャルゲームもないだろうし、常にその選択肢を広げようとしている運営姿勢にも期待が持てる

独自のテイストのストーリーやキャラクター造形から男女どちらの人気も高いようで、ファンコミュニティが活発なのも良い部分か

「ソーシャルゲームは同じ作業の連続になりがち」と思っている人にほどプレイしてみてほしい

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