長谷川美智子

現在NHKカルチャースクール横浜・町田。青山・川越・さいたまアリーナ校講師「枕草子」を…

長谷川美智子

現在NHKカルチャースクール横浜・町田。青山・川越・さいたまアリーナ校講師「枕草子」を担当。『見沼の波留』(埼玉文藝賞)『小説 清少納言』(第15回新風舎出版賞)

マガジン

  • ショッピングモール

    身近にある生活の場、ショッピングモール。そこで交錯する様々な人々の人生。そのささやかな喜びと哀感を描きました。

  • 小説・投資詐欺の行方:消えた400万円

    老後の資金を投資詐欺で失った人々の話

  • お気に入りノートまとめ

  • 恐怖の草男

    草を愛する夫と妻の戦い。

記事一覧

ガン細胞が消えた!

血液検査でも造影検査でもガンの痕跡が見つからず、 医師が「たまにこういうこともあるんです」と。 マーカーは10以下でゼロに限りなく近いとのこと。 今は、 3週間に一度…

長谷川美智子
2週間前
45

毎日新聞『女の気持ち』欄に

19日付け毎日新聞『女の気持ち』欄に 私の「戦争を知る花」が掲載されました。 ある方の、 「今では、カンナの花の歌、知らない方がほとんどでしょう」という(趣旨(だっ…

長谷川美智子
2週間前
14

ヘルマン・ヘッセを再び

本箱の整理をしていて、 ヘルマン・ヘッセの本を見つけた。 『庭仕事の愉しみ』 本を開く ヘッセの庭を描いた絵画や写真を見ていると 懐かしさと哀惜の思いがこみあげて…

長谷川美智子
2週間前
23

標準って何?

小学5,6年から中学にかけて、鹿児島市の学校に通っていた私は熱心な標準語教育を受けた。いや、受けさせられた。 「方言は田舎言葉です。使ってはいけません」 私の通って…

長谷川美智子
3週間前
21

徒然なるに詠んだ歌

1・林檎食ふひたすら食ふはガンに効くと何かで読んだ記憶の導き 2・久しぶり会っておしゃべり80代よれよれでも口だけ達者 3・地毛抜けた絶望の果て辿り着くこんな頭もフ…

長谷川美智子
3週間前
18

「ゆ」と「に」の違い

田子の浦にうち出でて見れば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ                    山部赤人・新古今集 私はこの歌の「に」に「がっかり」してしまう。 …

長谷川美智子
4週間前
33

憧れの空間

このイラストのような空間が欲しい きちんと片付いているわけではないが 乱雑でもない それなりに統一された 知的な空間 それは 今の私には 持つことのできない贅沢 毎…

長谷川美智子
1か月前
24

色にいでにけり

しのぶれど色にいでにけりわが恋はものや思ふと人のとふまで                      平兼盛 この「歌」の「色」はどういう意味合いでしょうか。 『顔…

長谷川美智子
1か月前
21

古典の『色』

古典では『色』という言葉が様々な意味合いで使われている。 私たちは単純に『カラー』と理解している場合が多いが。 古の人たちがどういう状況で『色』という表現をした…

長谷川美智子
1か月前
24

私の守り神

玄関を出ると 何処からか大きな揚羽蝶が現れ、 後をついてくる。 ベランダに出ると、 何処からか大きな揚羽蝶が現れ、 近くを飛び回る。 硝子戸越しに外を見ていると、 …

長谷川美智子
1か月前
13

置いてけぼり

ガス会社に電話したが、 音楽が流れているだけでオペレーターに繋がらない。 緊急ではなかったが、 思い切って緊急連絡先に電話した。 それでも、音楽が流れているだけ。 …

長谷川美智子
1か月前
19

揚羽蝶

とうとう写真を撮らせてくれました! 私の庭の揚羽蝶 カメラを近づけても 逃げもせず 大きく羽根を広げ かなり長い間 ポーズを とってくれました 嵐の晴れ間 揚羽蝶は何…

長谷川美智子
1か月前
16

蝶の命は一週間とか 自分が生まれ育った小さな空間を ひたすら飛ぶだけ なぜ、私の命はこんなに短いの なぜ、もっと遠い所へ行けないの そんなことは考えもせず 一週間…

長谷川美智子
1か月前
11

勉強不足

抗ガン剤は昔は患者の命を奪うほど強烈な危険な薬だった。 私の若いころは、この薬で死んだ人の話が珍しくもなかった。 私は点滴抗がん剤を実際に打った人間として、 いか…

長谷川美智子
1か月前
23

人生

崖っぷちの小道。 いつ崩れ落ちるか分からない道。 道とも言えない段差。 崖っぷちについている 狭い、狭い、段差。 それが人生。 茨と危険の連なり。 それでも…… 素敵…

長谷川美智子
1か月前
20

友人

私が医療関係者や薬やらへの恨みつらみでいっぱいになっていたとき、 彼女は言った。 「今、あなたが生きているのはやはり治療してもらったからじゃない? 副作用とかつら…

長谷川美智子
1か月前
19
ガン細胞が消えた!

ガン細胞が消えた!

血液検査でも造影検査でもガンの痕跡が見つからず、
医師が「たまにこういうこともあるんです」と。

マーカーは10以下でゼロに限りなく近いとのこと。
今は、
3週間に一度
病院に検査に行っていますが、
普通に生活しています。

苦しい闘病生活を送っているわけではありません、
幸いなことに。

文を書いたり、友人に会ったり、
忙しい毎日です!(^^)!

新聞に書いてありましたが、
『癌細胞は突然消え

もっとみる
毎日新聞『女の気持ち』欄に

毎日新聞『女の気持ち』欄に

19日付け毎日新聞『女の気持ち』欄に
私の「戦争を知る花」が掲載されました。

ある方の、
「今では、カンナの花の歌、知らない方がほとんどでしょう」という(趣旨(だったと思います)投稿に、

「知っています」という反響が多く寄せられ、
私も、懐かしい花だったので
投稿。

掲載されました。

地域によって掲載の日は違うかと思いますが、お気づきの方、読んでいただけたら嬉しいです。

花は時代を映す一

もっとみる
ヘルマン・ヘッセを再び

ヘルマン・ヘッセを再び

本箱の整理をしていて、
ヘルマン・ヘッセの本を見つけた。

『庭仕事の愉しみ』

本を開く
ヘッセの庭を描いた絵画や写真を見ていると
懐かしさと哀惜の思いがこみあげてきた。

「卒論を共同作業で書こう。
ヘッセの『デミアン』をテーマに」

一年先輩の男性に誘われた。
なぜあの時気乗りしなかったのだろう。

彼は確かに私を好きだった。
だがそのとき私は
『ウェストサイド・ストーリー』のトニーに、

もっとみる
標準って何?

標準って何?

小学5,6年から中学にかけて、鹿児島市の学校に通っていた私は熱心な標準語教育を受けた。いや、受けさせられた。
「方言は田舎言葉です。使ってはいけません」

私の通っていた学校独自の方針ではなく、日本全体で標準語教育が推し進められていたのだと思う。

『方言は田舎言葉。標準語を使えなければ東京で馬鹿にされる」

そんな価値観が教育現場にはあふれていた。
ラジオの『学校放送』を皆で聞き、標準語を教え込

もっとみる
徒然なるに詠んだ歌

徒然なるに詠んだ歌

1・林檎食ふひたすら食ふはガンに効くと何かで読んだ記憶の導き
2・久しぶり会っておしゃべり80代よれよれでも口だけ達者
3・地毛抜けた絶望の果て辿り着くこんな頭もファッションなのね
4・看護師と医師何ゆえに盛りあがり私を置いて何処に行くの
5・黒い髭マスクの隙間に渦を巻く医師は大きなかたつむりみたい
6・看護師に薬の数きいている医師の指ひいふうみいと折り返し
7.青い服実習生は涙声病気があるから正

もっとみる
「ゆ」と「に」の違い

「ゆ」と「に」の違い

田子の浦にうち出でて見れば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ
                   山部赤人・新古今集

私はこの歌の「に」に「がっかり」してしまう。

万葉集では、
田子の浦ゆうち出でて見れば真白にぞ富士の高嶺に雪は降りける

「ゆ」というのは、時や場所の「経過・移動」を表す「格助詞」。
難しい文法的解釈は抜かしてこの歌を口に出して読むと、
理由は分からないが「ゆ」のほうが「時の経過

もっとみる
憧れの空間

憧れの空間

このイラストのような空間が欲しい
きちんと片付いているわけではないが
乱雑でもない

それなりに統一された
知的な空間

それは
今の私には
持つことのできない贅沢

毎日、薬をチェックし
記録帳に体温だの血圧だの体重だの
記録する

几帳面に
整理整頓しないと
一日で訳が分からないことになるのだ

間違って多く飲んだら大変なことになる(らしい)薬の袋に
「朝飲んだ・夜飲んだ」と書き
病院提出用の

もっとみる
色にいでにけり

色にいでにけり

しのぶれど色にいでにけりわが恋はものや思ふと人のとふまで
                     平兼盛

この「歌」の「色」はどういう意味合いでしょうか。
『顔色』と解釈している論文を幾つか目にしましたが、

『雰囲気』とか『佇まい』のほうが近いかなと思いました。

私の訳:

恋心をさとられないように
押さえて押さえて隠していたんだけど
やっぱね、何となく出ちゃったんだよね
雰囲気にさ
そん

もっとみる
古典の『色』

古典の『色』

古典では『色』という言葉が様々な意味合いで使われている。
私たちは単純に『カラー』と理解している場合が多いが。

古の人たちがどういう状況で『色』という表現をしたかは
様々な古典を読むしかない。

『古今序』には
「今の世の中、色につき、人の心、花になりけるにより」とあるが

この場合は「世の中が華美になった」という意味らしい。

「らしい」というのは、私たちは推測するしかないから……。

序文の

もっとみる
私の守り神

私の守り神

玄関を出ると
何処からか大きな揚羽蝶が現れ、
後をついてくる。

ベランダに出ると、
何処からか大きな揚羽蝶が現れ、
近くを飛び回る。

硝子戸越しに外を見ていると、
隣の庭から飛んでくる。
まるで私を待っていたかのように。

揚羽蝶は私の守り神……。
そう思うようになった。

何処かで拾った小石を守り神にする人、
腕時計、ハンカチ、刺繍道具など
様々な身の周りのものを
守り神にする人もいる。

もっとみる
置いてけぼり

置いてけぼり

ガス会社に電話したが、
音楽が流れているだけでオペレーターに繋がらない。
緊急ではなかったが、
思い切って緊急連絡先に電話した。
それでも、音楽が流れているだけ。

やっと音声ガイドに繋がった。
「今回線が混んでいるので、後ほどおかけ直しください」
緊急連絡先とも思えない
のんびりした対応。

営業マンの連絡先にも電話した。
やはり音楽が流れているだけだった。

人手不足なのか、
カスハラ対策か何

もっとみる
揚羽蝶

揚羽蝶

とうとう写真を撮らせてくれました!
私の庭の揚羽蝶

カメラを近づけても
逃げもせず
大きく羽根を広げ
かなり長い間
ポーズを
とってくれました

嵐の晴れ間
揚羽蝶は何処からか出てきて

写真を撮らせてくれました。

とうとう写真が撮れました!

ありがとう
揚羽蝶
これから台風が本格的になるから
はやく安全な所に隠れてね

                               終わり

蝶

蝶の命は一週間とか
自分が生まれ育った小さな空間を
ひたすら飛ぶだけ

なぜ、私の命はこんなに短いの
なぜ、もっと遠い所へ行けないの

そんなことは考えもせず

一週間の命を生き
そして消える

硝子戸越しに揚羽蝶が二匹
右へ
左へ
飛んでいる

この庭で命を得て
この庭だけを世界として

神さまに与えられた一週間を
ひたすら飛んでいる、

姿を見せてくれて
ありがとう
貴重な
たった一週間の

もっとみる
勉強不足

勉強不足

抗ガン剤は昔は患者の命を奪うほど強烈な危険な薬だった。
私の若いころは、この薬で死んだ人の話が珍しくもなかった。

私は点滴抗がん剤を実際に打った人間として、
いかに自分が勉強不足で人任せだったかを
告白したい。

医師はごく普通に抗ガンん剤を使う。
副作用についてはたくさんプリントをもらった、たぶん。

よく読めばいろいろなことが書いてあるのだろうが、
その時は、厖大な同意書に署名することに忙殺

もっとみる
人生

人生

崖っぷちの小道。
いつ崩れ落ちるか分からない道。
道とも言えない段差。

崖っぷちについている
狭い、狭い、段差。
それが人生。

茨と危険の連なり。
それでも……
素敵な道。

どんな茨の道でも
小さな花に出会うこともある。
清らかなせせらぎを見つけることも。

その瞬間に立ち会うために
私たちは生きている。

            遠い日の記憶や知識はしっかり覚えていますが
        

もっとみる
友人

友人

私が医療関係者や薬やらへの恨みつらみでいっぱいになっていたとき、
彼女は言った。

「今、あなたが生きているのはやはり治療してもらったからじゃない?
副作用とかつらいこともいっぱいあったでしょうけど、
今、生きているってことは、
治療してもらったからじゃない?」

私は何とも応えられなかった。

「私も脳の手術をしたときは、病院にも医者にも恨みつらみでいっぱいだった。お金のある人はどんどん病院を替

もっとみる