チキンライス

毎年12月になると、松本人志・作詞の「チキンライス」をよく聴いている。
 https://www.youtube.com/watch?v=0tLWfRZOqPU

リリースされてもう20年にもなるこの歌、初めて聞いた時は今ほど心動かされる事は無かった。
当時松本は「この歌詞の出来は60%くらいだ」とラジオで語っていた事を覚えている。
「でも俺はプロの作詞家ではないし、これでもういいやと思った。そしたらマッキーが最高の曲をつけてくれて100%以上の歌にしてくれた。」と、文言はうろ覚えだがその様な事を言っていた。
 
本人的には完成度60%だったかもしれないが、でも結果的にそれでよかったのではないか。
残りの40%は、聴き手が自らのクリスマスの思い出を補完してこの曲は完成するのだと思う。

 『親孝行って何?って考える。でもそれを考えようとする事がもう、親孝行なのかもしれない』
母がガンで亡くなって3年経った。
わしが今想う事は、月並みだが親が元気な内に親孝行してやれって事と、女性は2年ごとにきちんと乳がん検診を受けて欲しいって事だ。(自治体で無料で受診できるはずである)

『子供の頃たまに外食。いつも頼んでいたのはチキンライス
豪華なもの頼むと二度と連れてきてはもらえないような気がして。』
子供の頃のクリスマスの思い出と言えば、いつも仕事で帰りの遅い父親を除いて姉と母と三人で食べたバタークリームのケーキだ。(当時はまだ生クリームのケーキは無かった…はず)
甘ったるいバタークリームは正直あまり好きではなかったが、派手にデコレートされたケーキを前にしてワクワクした事を覚えている。
クリスマスの夜、母はおもむろに部屋の電気を消し、恥ずかしがって嫌がるわしに無理矢理クリスマスソングを唄わせたものだった。
共働きで普段は不在の多い母の、精一杯のセレモニーだったのかもしれない。

『すっぱい湯気が立ち込める向こう、見えた笑顔が今も忘れられない』
今ではわしも親となり、子供と一緒にクリスマスを祝う立場となった。
偏食気味で果物類が食べられない息子の為、我が家のクリスマスケーキは毎年チョコのアイスケーキだ。

ロウソクの炎の反対側で、わしはいい顔で笑えているだろうか。
今はもう、家族三人で照れずにクリスマスソングも唄えるようになったよ。