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コーマック・マッカーシー、逝く

 生涯を通じて、暗く暴力的な世界と格闘し続けた作家、コーマック・マッカーシーが6月13日に亡くなった。作品の出版元であるアルフレッド・エー・クノッフ社のツイートによれば、マッカーシーはニューメキシコ州サンタフェの自宅で老衰により死亡したという。89歳だった。この知らせを受けてマッカーシーの作品を賞賛し、そこからインスピレーションを受けた作家やファンが、惜別の言葉を贈った。
 
 マッカーシーの作品のなかでも、ベストセラーになった1992年の『すべての美しい馬』、2007年にピューリッツァー賞フィクション部門を受賞した『ザ・ロード』、また映画『ノーカントリー』の原作『血と暴力の国』(2005年)は有名だ。暗いテーマと黙示録的な風景を取り入れた作品が多く、現代アメリカの最も偉大な作家の一人と評されている。
 
 出版社のペンギン・ランダムハウスは、マッカーシーを 「世界で最も影響力のある有名な作家のひとり」と評した。「約60年にわたる作家としてのキャリアのなかで、彼は小説やドラマを含むいくつかのジャンルを手掛けた。その作品は現代文学として評価され、いくつかの権威ある文学賞を受賞している」
 
 ペンギン・ランダムハウスのニハル・マラビアCEOは、マッカーシーが「文学の流れを変えた」と書いている。「60年もの間、彼は断固としてみずからの作品に身を捧げ、書かれた文章の無限の可能性と力を探求してきた。今後何世代にもわたってタイムリーであり、時代を超越し続ける素晴らしい小説のなかで、描き出されたキャラクター、神話的なテーマ、そしてすべてのページでさらけ出した親密な感情の真実を、世界中の何百万人もの読者が受け入れた」
 
 作家のスティーブン・キングはこうツイートした。「コーマック・マッカーシーが89歳で亡くなった。彼は同時代の最も偉大なアメリカの小説家かもしれない。彼は年輪を重ね、素晴らしい作品を作り上げたが、それでも彼の死は悲しい」
 
「偉大な芸術家が亡くなると、その精神と心、そして広大な魂から新たな創造を得ることは二度とないことに、全世界がはたと気づく。それははかり知れない損失だが、その魂が私たちに残してくれたものは、時間を超えた贈り物だ。コーマック・マッカーシー、安らかに眠れ」と作家のジョセフ・ファザーノはツイートした。
 
 作家のブレンダン・ホッジスは、「コーマック・マッカーシーは、偉大な英語の達人の1人だった。この孤独で暗い宇宙におけるわれわれの未知なる場所とこれほど共鳴し、格闘できる作家はほとんどいない。彼がいたことで、世界はより豊かなものになった。安らかに眠ってほしい」と書いた。
 
 マッカーシーは1933年にロードアイランド州プロビデンスで生まれ、テネシー州ノックスビルで育った。1965年に処女作「ザ・オーチャードキーパー」を発表。ペンギン・ランダムハウスによれば、ロスト・ジェネレーションの巨匠ウィリアム・フォークナーとよく比較され、「批評家と小説愛好家のなかで熱心な固定ファン」を獲得していった。
 
 その後、ピューリッツァー賞のほか、全米図書賞、全米図書批評家協会賞などを受賞し、作家として高く評価された。文明が崩壊した終末世界を生きる父子を描いた『ザ・ロード』はベストセラーになり、ピューリッツァー賞を受賞したが、読んだ人の数など気にしない、とオプラ・ウィンフリーに語ったこともある。AP通信によれば、「本を評価してくれる人たちに読んでもらいたいとは思う。でも、たくさんの人が読んでいるかどうかは、どうでもいい」とマッカーシーは言った。


 
 
 


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