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ウオールデンの革命──ウオールデンはなぜスキがふえていくのか


あんり3

ウオールデンの革命
ウオーデンはなぜスキがふえていくのか

ねえ、君。どうして君の打ち込んだ記事を放置しておくんだい。君の投じた記事につけられた《スキ》はたったの四つだ。冗談ではない、とんでもないよ。君が打ち込んだ記事はぐんぐんと成長していく樹だよ。なぜそのまま放置しておくんだい。瓦礫の大陸に君の言葉を、君の思想を捨て去ってしまったみたいだ。それは言葉にたいする裏切りだよ。この瓦礫の大陸では、その樹木を成長させていくには常に生命の水をかけてやらねばならないのだ。

ウオーデンの記事をみたまえ。ウオーデンの打ち込む記事はいつだって《スキ》は二つとか三つだよ。しかし年月とともにぐんぐんとその数が増えていく。どうしてそんなことがおこるのか。ウオールデン革命が進行しているからだよ。

ウオーデンはこの瓦礫の大陸に記事を植樹しているんだ。ウオーデンが上陸した土地では、《スキ》とは植樹した木の樹高を計測するメジャーなんだ。この土地に植え込んだ苗木に《スキ》が三つと計測された。これはその苗木は三センチだったということなんだ。

その苗木が成長していって《スキ》が三十と計測された。その木はやっと三十センチになったということだ。いまウオールデンの記事はぐんぐん成長していって《スキ》は百に迫っている。ということは植樹した木は百センチ、つまり一メートルほどの高さになったということだよ。

ウオールデンは、アメリカ滞在中に何度も訪れたヨセミテのような広大な森をつくろうと思っているのだ。マツ、モミ、セコイアが織りなす大森林。ジャイアントセコイアなど樹高が百メートルもある。ウオーデンが植え込んだ樹木はやがてそんな大木になっていく。いまはまだウオーデンが植え込んだ木は一メートル足らずだが、一年後には、ウオールデンの打ち込んだ記事は、《スキ》による数値は2000、3000となり、五年後には、60000、70000となる。これを革命といわずしてなにを革命というんだい。

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Say on, sayers! Sing on, singers!
Delve! Mould! pile the words of the earth!
Work on, age after age, nothing is to be lost,
It may have to wait long, but it will certainly come in use,
When the material are all prepared and ready, the
architects shall appear.

I swear to you the architects shall appear without fail,
I swear to you they will understand you and justify you,
The greatest among them shall be he who best knows you,
and encloses all and is faithful to all,
He and the rest shall not forget you, they shall perceive,
that you are not an iota less than they,
You shall be fully glorified in them.
Walt Whitman (A song of the rolling earth)

語る者よ、語りつづけよ、歌う者よ、歌いつづけよ、
土を掘り、土をこね、地球の言葉を積み上げよ、
働きつづけよ、時代から時代へ、何ひとつ失うことは許されぬ、
待機の時間はおそらく長いが、しかしいつかはきっと陽の目を見る、
材料が全部そろって準備ができれば、建築家たちが現われてくる。

誓ってもいい、建築家たちは間違いなく現われる、
誓ってもいい、彼らはきっと君を理解し、君の正しさを認めてくれる、
彼らのなかでもっとも偉大な者となるのは、
君を一番よく知っていて、万物を包み、万物に忠実な者、
その彼と他の建築家たちとが、君を忘れず、
君が寸分たりとも彼らに劣らぬことを認めてくれる、
彼らによって君はくまなく賛えられる。
(W・ホイットマン 回転する地球の歌 鍋島・酒本訳)

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