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[茶道のキモチ]通りすがりのご縁。今度とオバケは…

こんにちは。茶道教授&抹茶カフェ店主のそうみです。

閑静すぎるくらい閑静な住宅街の角地にある我が庵。人通りも少なく福岡市内とも思えない静かなところです。気候のいい時はお散歩の方がのんびりと行き交うくらいで、本当に静かです。

それでも、小さな看板に目を止めて声をかけてくださる方もありまして、昨年の終わりころには竹藪から切ってきたばかりと思われる青竹を引きずりながら歩いておられるご年配の男性と少しお話ししました。

聞けば、ほんのご近所らしく、時々ここを通るけど初めて店があると気がつきましたよ。家内が煎茶を長くやっているものだから、今度誘って一緒に来るよと、名乗ってお帰りになりました。

昨日、町内のシニアクラブの方々とご一緒する機会があり、三々五々話をする中でふと、その方のお名前が話題に上っていましたので、話されている方に昨年の出会いのことをお話ししました。すると、なんということか、件の男性の奥さまが、年明けすぐに突然身罷られたとのこと。

よく「今度とオバケは出ない」などといいますが、私は「今度ご一緒しましょう」とか「今度は海に行きましょう」とか、あてのない口約束であってもそうした話をするのが好きです。ご縁にはムリがあってはいけません。あてのない「今度」を積み重ねて、さりげなく縁を結びたいのです。

しかしながら、このたびの男性との「今度」のお約束は、残念ながらもう決して実現することはありません。穏やかな風貌の竹細工がお得意だという男性と、その奥さまと、カフェでお話しできる日をなんとはなしに楽しみに思っていましたから、ほんとうに残念なことです。

浅いご縁、深いご縁。すれちがいつつも切れないご縁、深そうに見えて気がつけばなくなっているご縁。さまざまなご縁のもと生かされていることを年を追うごとに深く感じ、自ら途切れさせてしまわぬように心がけます。このたびも、あの男性が奥さまを無くされた悲しみから少し落ち着かれて、ふと我が庵のことを思い起こしてくださることを願いつつ。

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