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[茶道のキモチ]割り稽古。さりげない動作の「止め」が美しさのコツ

こんにちは。茶道教授&抹茶カフェ店主のそうみです。
さて、入門してしばらく時が過ぎ、ご挨拶の仕方やお部屋の出入りを学びました。いよいよ割り稽古。帛紗のさばき方やお道具の扱い方を学びます。
ピカピカ新品の使い帛紗。パリッとしていてなかなかうまく扱えません。

皆さんを見ていると、先生の説明を、自分がやりやすいように脳内変換する方が、案外多いようです。

帛紗のさばき方やお道具を扱う手つきなどは、原則として決まりごとであって、各人が自由に変えていいものではありません。左手でといわれたら左手でなければならないし、角を取ってと言われればキッチリ角を取ります。「角のあたり」では、だめなんですよね。畳と水平にといわれたら「だいたい水平くらい」ではなく、ちゃんと水平にする。直角と言われればもちろん直角に。

たしかに、です。「だいたい」でもお点法はすすみます。手の左右がちがうのは論外としても、角から1,2センチずれたところを取っても、水平直角が10度か15度ゆがんでいても、支障ないでしょと言われればおっしゃるとおり。ですが、美しくありません。なんとなくダラダラとして、心が入っていないお点法に見えてしまいます。

無意味なことを教える先生はいないと思います。初心者の方が相手であればなおさら、美しい点法が身につくように、一挙手一投足、正しくお伝えします。どうか、やりやすいようにではなく、やらなくてはならないやり方を守ってみてください。その通りに手を動かそうとしても始めのうちはうまくいかないことも多いでしょう。思い通りにならずについ、やりやすいようにしてしまいたくもなるでしょう。でも、少々ムリをしてでも、言われた通りに手を動かすことをおすすめします。

ここでコツをちょっとだけ。「水平に」「垂直に」「指先を揃えて」といったご説明は、動作のポイントになるところです。そこで一瞬(私は皆さんに0.3秒と言っています)動作を止めると、非常に非常に、しぐさが美しく見えるんですよ。流れるように美しいお点法をなさる方、要所要所の動作の止めが利いているんですよね~。ただし、歌舞伎の見得を切るみたいな、はっきり止めているとわかるようなポーズはダメですよ。あくまでもさりげなく。

10年、20年と続けている方でも、ああ、この方は割り稽古をおろそかになさっていたなと、すぐにわかります。そして、10年後、20年後にはもう、よほど意識しない限り、身についてしまったクセは直らないようです。いつの間にか自己流になってしまって、ワタシも苦労しました。

はやく、お茶を点ててみたくて、割り稽古を何度もするのがもどかしい気持ちにもなることでしょう。そういう気持ちも、先生はちゃーんと分かっています。分かっていますけれども、たたんで懐中している帛紗の取り出し方、さばいて腰につける動作、腰から外してお道具を清めるためのたたみ方、たたんだ状態からのさばき方、再び腰につけるところまでができるようにがんばって!とこっそり応援しています。


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