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サプライズ

「誕生日、なにか欲しい物ある?」
「えー、この歳で?」
「この歳だからこそ、だろ。めでたいめでたい」
「それもそうね」
こういうところであっさり受け入れる潔さがいい。思えば長い付き合いで、このやりとりも少しずつ内容を変えながら、毎年繰り返している。
「ものっていうか、夢はある」
「ほう」
「私をめぐって争う男の修羅場が見てみたい」
なんだそりゃ、とのけぞる俺に、彼女は真面目な顔で熱弁する。
「だって考えてもみてよ、複数人から熱烈に求められるんだよ。一度でいいからそんな目にあってみたいじゃない」
心臓が跳ねた。これはいい機会かもしれない。
「その夢、叶えてやろうか」
「まじ?」
「まじ」
心当たりならここにある。まあ、誰と争おうと負ける気はないけどな。

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