おさななじみ

「枷、なんだって」
ベリルはつねに首から鍵を下げている。かせ?なにそれ?と首を傾げる僕に、賢い彼は「おまもりってこと」と教えてくれた。
変異は突然だった。異形をとったベリルの首から、鍵が悲鳴じみた音をたてて足元に転がる。なにがおまもりだ。僕がいなきゃどうしてたんだ。幸い足には自信があったから、苦しげに暴れる魔物に必死ですがりついた。遠のく意識の中で、がちゃん、と重たい手応え。
ほどなくして、一家はまちを出ていった。幸い鼻にも自信がある。見つけ出すのは造作もなかった。
「なめてもらっちゃこまるな」
顔を出した僕をまんまるな目が見つめている。ふっさりと尾を出してみせると、彼は「なるほど」と泣きそうに笑った。

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