最近見て衝撃を受けた2つの映画『ジガルタンダ・ダブルX』と『麻希のいる世界』
映画を見ていて、「これは・・・」と言葉を失うような衝撃的な映画は自分の中は年に数本、いや数年に1本レベル。
いわば予想できる出口とかけ離れたところに連れていかれる映画に出会った時が、映画を見ていて一番嬉しくもあり楽しい瞬間です。
自分の中でのそういう映画はパッと思いつく限りでは、最近だと今年公開された『システム・クラッシャー』、2021年の『哀愁しんでれら』くらいでしょうか。
中々出会えないからこそ、掘り出した時の嬉しさはひとしおです。
しかし、そんな衝撃的な映画に最近立て続けに出会ってしまいました。
現在公開中の『ジガルタンダ・ダブルX』と、Amazonプライム・ビデオのレンタルで見た『麻希のいる世界』の2作品です。
どちらも皆さんに衝撃を味わってもらいたいのでネタバレはしないつもりで書きますが、どう考えてもフラットな状態で見た方が面白いので気になる方はご注意ください。(と言いつつ、本当は作品名すら出さない方が衝撃度合いがデカいのではないかと思いますが、そうしちゃうと成り立たないので)
『ジガルタンダ・ダブルX』
最近話題のインド映画です。ストーリーを簡単に言うと、クリント・イーストウッドに憧れるギャングのもとにサタジット・レイの現場で映画を学んだと嘘をついて潜り込み、ギャングの殺害を試みようとする潜入捜査官の話です。
大方の人が予想できる通り、今作は映画愛に溢れている作品です。それは特定の固有名詞を出して「○○って素晴らしいよね!」というものではなく、”映画”の性質に対する賛歌、希望、力強さみたいなものを感じさせました。その点で私はジョーダン・ピール監督の『NOPE』っぽいなとも思います。
その部分も良いのですが、何と言っても今作は前半と後半の変わり様です。インド映画は長尺なのでインターバルがあります(今回の日本公開にあたってインターバルの休憩は設定されていません)。このインターバル前と後での話の飛躍が凄まじい。
「いやお前嘘だろ!」みたいな展開のつるべ打ちで、誰がこの展開を予測できるのでしょうか。
この映画の一番面白い所は言えないので是非劇場で目撃してほしいです。製作陣の強い熱量と映画愛が高濃度で交わりあっている傑作と言っても良いです。
『麻希のいる世界』
日本映画好きならお馴染みの塩田明彦監督の2022年に公開された作品です。塩田監督の作品なのに、私の住んでいる札幌では公開されませんでした。
主演は『ナミビアの砂漠』『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』『わたしの見ている世界がすべて』と良い作品に多数出ている新谷ゆづみさんと、塩田監督の過去作『さよならくちびる』にも出演していた日髙麻鈴さん。また窪塚洋介の息子である窪塚愛流も出演。彼の演技を初めて見たのですが、普通に好きなタイプの役者でした。
今作は青春映画です。そこまで大々的に公開された作品ではないものの、例えば窪塚愛流演じる祐介を追っかける女子生徒が多いみたいな描写や、即席でバンドを組もうとするところなど、キラキラ映画っぽい要素が多くあります。
ただこの映画がヤバいのは、随所で「え?」となるような出来事や映像が多数あることです。人によってはリアリティがないと一蹴したり、見てられないと貶したりする人がいるのは容易に想像できます。それくらい、言葉を失うようなイベントが多く起こります。そしてこの映画が向かった結末には唖然とさせられました。
『ジガルタンダ・ダブルX』と並んで、ここ数年見た映画でトップクラスに絶句した作品でした。
ヒントを出すなら、首藤凜監督の『ひらいて』っぽさがあって私は大好物です。
現在(9/26時点)、Amazonプライムビデオの月替わりセールのおかげで100円でレンタルすることができるので、気になった方はご覧ください。私は円盤の購入も検討しています。キラキラ映画を多く見ている方こそ、「えー!」となる作品だと思います。
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