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手抜き介護 76 薬を増やすこと

大動脈解離の既往歴がある父にとって、血圧の管理は第一の命題になっている。それを血圧手帳に記録し診察の日に見てもらうのだけど、今日のドクターは渋い顔をしながら「170がポンポン出ているようじゃダメだ。薬を増やさないと」と言った。

1年くらい前、血圧が下がりすぎて真っ白な顔で横になっているのが気になり、当時の医師に相談して少しだけ減薬した経緯がある。その時は、確か上が95mmHgくらいだった。でも「それは正常です」と、新しく代わった医師が言う。「150とか、高いことに慣れてしまっているだけで、そっちの方が異常だ」と。

高齢者は血圧を上げることで隅々まで酸素や栄養を送っているのだから、若い人の正常値に頑張って近づけなくても良い、という説もある。でもこの先生は、違うみたい。

「まあ、大動脈が裂けても良いから高いままでいるか、活動量が落ちて寝ていても良しとするか、どっちを選ぶかということですね」

裂けても良いなんて思う訳ないし、言い方も気になるけど、結果若干薬が増えることになった。診察室を出てから父の血圧手帳を見たら、170がポンポンなんて、出ていない。2月に1度あっただけ。でも大動脈解離が命に直結するのは確かだから、素人考えを主張するのは憚られる。今まで出合った数多くの症例と経験に基づく判断と思えば、やむを得ないのかなと自分を納得させている。


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