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札幌で家を売る⑩ 内見者がやって来た

【2】 1人目で即決?!

見学希望も、すぐにありました。最初の人(①さん)は、C社に申し込む時点で「買付証明書」をファックスしてきたとのこと。買付証明書とは、「この不動産を買う意思が明確にある」ことを証明するもので、普通は物件を内覧し、よく吟味してから取り交わします。キャンセルなどは自由で法的な拘束力もありませんが、プライオリティが確保されます。

不動産を求める人の多くは、新着情報を常にチェックしています。たまたまサイトを見ただけでは分かりませんが、中には年単位で焦げ付いている物件も紛れています。もちろん情報開示日は、そう古くないように更新されていきますが、継続して見ていれば案外すぐに気づきます。わが家は正真正銘新着物件なので、一応注目を集めたのだろうと思いました。

知人と2人でやってきた①さんは、背が高く声の通る男性でした。サイトにアップされたのが不動産屋さんの休業日だったので連絡がつかず、でも必ず手に入れたいと思って買付証明書をファックスしたとのこと。「外観を見に来たら雑草も手入れされているし、これなら中もキレイに違いないと思った。ひと目で気に入った」と言われて、ちょっと嬉し恥ずかし。

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内観もイメージ通りだったようで、連れの男性と「この部屋はこう使って、2階にあれを置いて」などと盛り上がっています。途中
「カーテンはどうされるんですか? 外して引っ越されるんでしょうか?」
と訊かれました。
「その予定ですが…」
と私。
「もし差し支えなかったら、このままにしてもらえませんか? サイズ測ってカーテン探すの、面倒くさくて。あ、面倒ったら失礼ですけど、男一人なもんで」
「あ、それなら全然大丈夫です。むしろ喜んで」
時間をかけて選んだお気に入りのカーテンなので、そのまま使ってくれるのはとても嬉しい話でした。

「期待通り、いや、以上の家です。ぜひ譲ってください」
と握手を求められ、やったー!という気分で
「はい、ありがとうございます」
と答えました。

ただ、問題が一つ。①さんには、今契約しかけている物件があるそうです。そこを買うための3000万円のローンの仮審査が通ったところでウチを見つけて、「こっちの方が良い!」となったとのこと。今度は3280万なので、また銀行の仮審査をし直すことになります。
「3000万で通ってるんだから大丈夫と思うけど、また連絡します」
ということで内見は終了しました。

こんなにすぐ決まるなんて! もしかして安すぎた? この次見に来る人が「気に入った!3300万で買う!」なんて言いだしたらどうなるんだろう? C社の営業さんに訊くと、下げるのは良いが、上げるのは違法だそうです。失礼しました。

そして翌週、「ローンが通らなかったので、今回の件はキャンセルで」と連絡が入りました。あんなに気に入ってくれてたのに。カーテンの約束までしたのに。余りにもあっさりした結末に、しばし呆然の昼下がりでした。

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