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ホテルから実家に通う ③地球儀を指で拡大

小学4年生のひ孫、だいちゃんがやってきた。ひい爺ちゃん婆ちゃんが4年生くらいのころは戦争中だったので、どんな暮らしをしていたか聞きたいという。正確には、聞かせたいと爺ちゃんが思っている。
 
ひい爺ちゃんの話は、ちょっと難しい。映像もテキストもない、口頭だけの世界情勢解説は、オトナでも迷子になる。途中、地球儀を見せながら、「バルチック艦隊がここのバルト海から…」と興に乗って説明していたら、ひい婆ちゃんが「だいちゃんが住んでいるのはどこ?」と地球儀を指した。話の腰が音を立てて折れたけど、ひい爺ちゃんはただ黙る。
 
だいちゃんは、地球儀上ですぐに日本を見つけた。そして何と、指を使ってピンチアウトしようとした! あー、そうだよねえ。小さな画像は、そうやったら大きくなるもんね。
 
終戦後、先生に言われるまま教科書を墨で塗りつぶした世代は、授業と称されて裏山へ食べるための野草を採りに行っていたという。かたや地球儀を指で拡大しようとする4年生。今は同じ空間にいるのが不思議なほど、2人の人生は異次元に思える。

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