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椅子とり

待合室の椅子は、3人掛け。今どきは、他人とくっついて座ったりしないから、両端に1人ずつ、または連れ同士の横並びになる。父の通院に付き合って並んで座っていたら、「トイレタイム」と言って父が去った。真ん中に残る私。トイレだから、すぐ戻ってくるだろう。

ところが、10分経っても帰ってこない。激混みではないが、そこそこに人は多く、私の座り方はちょっとわがままに見える。左端に寄ったら、きっと右側にすぐ誰か座るだろう。そして父は、そんな事態を気にせず真ん中に座るに違いない。それもちょっと。

さらに10分経ち、周りの視線より、長いトイレが気になってきた。最近はトイレに入ると籠りがちとは聞いていたが、中で倒れたりしていないだろうか。あらためて辺りを見渡すと、トイレ近くの椅子に父の姿があった。用はとっくに済んでいたらしい。多分、トイレを出て、何も考えずに空いている椅子に座っただけだ。

そんなわけで、真ん中で頑張っていた私も左端に寄ることに。平日の昼下がり、耳鼻科の待合室で3人分の場所を占領していたグレーのダウンは私です。

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