非定型骨折の話 ⑥診察日前日に骨折!
退院後最初の診察日を控えて、引っ越し先から実家に戻ってきた。母は、数日前から足が痛むという。手術部位だけではなく全体に痛みがあり、歩きにくい、と。痛み止めも朝夕2錠ずつ飲んでいるが、効かないらしい。翌日が診察日だから、レントゲンで原因が分かるだろうか。
その後、転居前に私が予約していた歯科医で治療中に、父から電話が来た。
「お母さんが転んだ。骨折したかもしれない。救急車を呼んでくれ!」
歯医者にいる私が電話するより、実家から呼ぶ方が話が早いに決まってる。
「いや、お父さんが呼んで」
「何番だ」
「119」
その日は歯科治療の後クリーニングもしてもらう予定だったが、急遽キャンセルして救急先の病院へ。ちょうどかかりつけのところに運んでもらえて助かった。救急医は、まさに先月私たちに手術を勧めたドクター本人で、「骨折しています」とレントゲン写真(上の写真)を見せてくれた。
リウマチのため30年ほど前に入れた膝の人工関節と、先月入れた芯棒の間の骨だけの部分を、ぽっきりと折っている。写真は膝を曲げているようにみえるが、光っているのは芯棒の先端で、本来つながってまっすぐなところ。「これ、棒のせいでここに負荷がかかったということではないんですか?」と思わず訊いてしまった。医師は「それがきっかけの可能性はありますが、手術していなかったら間違いなく骨頭部が折れていて回復に時間がかかることになっています」という。
つまりはそれだけ、骨が脆くなっているということ。応急的に大腿骨を牽引した状態の母に会い、「痛かったねえ」と話しかけたら、力の入らない声で「長生きし過ぎたんだねえ」という。「何言ってるの」と返しながら、勝気な母からのそんな言葉に、内心かなり動揺した。今度は人工関節と芯棒の間にプレートを渡らせる手術をすることに。
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