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手抜き介護 54 駐車場トラブル

駐車場で、ものすごくヘタなドライバーを見かけた。特に狭いところでもないし、両隣の車は定位置におさまっているのだけど、何度も切り返しながらどんどん右に迫っていく。私が歩いて通りかかったときは、そのまま下がるとぶつかるところまで来ていた。

そしてそのままバックを始めたので、「ぶつかりますよ」と教えようとして立ち止まったら、私に気づいていったん前進し、「さっさと行け」というように手で促された。かなり熱くなっている70代後半くらいの女性。一瞬迷ったけど、言われるまま通り過ぎた。

後ろでガチャン!とか聞こえたら嫌だなと思っていたが、特に何事もなかったようだ。普段は誰かの運転で来るのが、たまたま一人で来たペーパードライバーか。まさか免許取りたてということではないだろう。自分もあんな立場になれば汗だくで緊張して「見ないで!」と思うだろうけど、あれはさすがにちょっとコワい。巻き込まれたくないし。

前にスーパーの駐車場で母が開けたドアが、隣の車にぶつかったことがある。30代くらいの男女が乗っていて、助手席から女性が降りて来た。車は数ミリ傷がつき、着色している。あちゃー。これは100%こっちが悪い。

「ああ、すみません、傷ついてますね。保険で直します。ちょっと時間かかりますけど大丈夫ですか」
「大丈夫です。お願いします」

相手がヘンな人じゃなくて良かった。すぐに警察と保険会社に連絡し、先方は保険会社めいた知り合いに電話しながら、警察の到着を待った。運転席の男性は降りてこないので、外から「すみません」と会釈したら、顔を隠し気味に会釈を返す。警察が来る頃には、どこかにいなくなっていた。

「運転していたのは私」と、女性が免許証を提示した。運転席にいたのは男性の方だったけど、まあ駐車中だし関係ないか。事故証明を取り、必要な手続きを済ませて1週間くらい経った頃、急に「直していらない」と連絡が来た旨保険会社から聞かされた。そして何もなかったことに。え?

その後の保険料を考えたら、こちらにとってはラッキーな話だけど、何があったのか。思い返すと、ちょっと不自然な2人ではあった。車は男性のものらしく、男性には免許証を見せられない事情があったようだ。もしかしたら2人が一緒にいることも、マズい状況だったのかもしれない。保険会社の連絡先を交換したのだけど、先方のはよろずサービスのような名前だった。電話ですごく長々と、どう取り繕うか的な打ち合わせをしていたっけ。

要するに、ちょっとカタギではないところにいたのだろう。公的な手続きを踏むには、あちこちに綻びが出てきて困ったのではと想像している。巻き込んじゃってゴメンだけど、こちらはふつーの社会人でふつーの保険に入っていて本当に助かった。

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