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de&iマガジン〜ダイバーシティ関連記事〜

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ダイバーシティ・コンテンツ・リサーチャー草冠結太のマガジンです。ダイバーシティ&インクルージョンを感じられるイベントやコンテンツに関する記事をまとめます。あとヒップホップも。
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#多様性

ルールを疑え。パラスポーツイベントで感じた、「対話」の先にある可能性。

ひたすら怒りをぶつけて、何か解決したことありますか? 私はありません。 この歳になると、思うのです。人間、怒り方にこそ芸が必要だと。 パパ、イベント運営スタッフに噛み付く というのもですね。先月「BEYOND STADIUM 2023 パラスポーツ ワンダーランド」というイベントに行ったんです。小一の娘と。その名の通り、パラスポーツを知ったり体験したりするイベントでした。 たかだかのスポーツイベントに”ワンダーランド”とは大きく出たもんだな、と思っていたら。 ゲートをく

このチョコは元気でる!〜ドキュメンタリー映画「チョコレートな人々」感想〜

「俺がやりたかったことはこれだ。俺が怯えているのも、これだ」 このドキュメンタリー映画が始まった瞬間、憧れとおののきが同時に押し寄せてきました。そして、それは最後まで途切れることなく。 観終わった後。感情の反復横跳びでドッと疲れた脳みそとは裏腹に、心には何かが湧き立ちました。 「さて、俺は何がしたいんだ?何ができるんだ?」 と。映画館から地上へでる時、階段を上がる足にグイグイと力がこもったことを覚えています。 その映画とは「チョコレートな人々」。 ストーリーはこんな感

恋愛という鍵でしか、幸せの扉は開かない。わけがない。〜映画「そばかす」感想記〜

初夢は見ましたか? 私は「恋の夢」でした。しかも一晩で豪華二本立て。 学生時代にフラれた人への恋。 そして、社会人になってから浮気された人との恋。 どちらも、明けましてフラれました。 悪夢のような出来事を、わざわざ悪夢で再現するという、笑ってないと泣けてくる型の初笑いで目覚めたのですが。 これほどまでに恋愛を意識した(というかウナされた)夢を観てしまったのは、年末に観たとある作品がとんでもなく面白かった影響です。間違いない。 そのとんでもなく面白かった作品とは 「そばか

LGBTQセンター「プライドハウス東京レガシー」探訪記〜情報の量と質、ホスピタリティがスゴかった!〜

「見つけた!」 とある施設のSNSを見た瞬間、思わず声をあげました。ウォーリーを探せたテンション。 その施設とは『プライドハウス東京レガシー』。LGBTQ+にまつわる情報発信をはじめ、多岐にわたる活動を展開しているところです。 LGBTQ+について、ちゃんとしたことを知りたい時。理解を深めたい時。ネットや書籍ではなく、誰かに質問したくなることがあります。 そんな私にとって(会社の人事部とかにもそういう方いるかも)、プライドハウス東京レガシーはまさに虹色に輝いて見えました。

90歳の館長と9人のドラァグクイーンのドキュメント映画「十人十色の物語」が、寝不足してでも観る価値ある名作だった。

駅前の女子高生たちが、バッと一斉に私を見ました。 さながら、チーターを察知したガゼルの群れ。 「キャー!ミミズク、めちゃかわー!」 と、私が叫んでしまったから。 そりゃ見ますよね。 だって、ヒゲのオッサンが野太い声を、甲高く響かせてるんですから。 「きゃーみみずくめちゃかわー。だって」 「キャハハハハッ!」 誰かがマネをして、ドッと笑いが起きていました。 たまたま、ペット用の小さなフクロウを肩にのせて散歩してる人がいて。 私が思わずハシャいでしまったのがいけなかった。

「難民・移民フェス」は、美味しくて、かわいくて、何かしなくちゃと思った。

※本稿の写真はすべて、さまざまな環境・状況下にいる方に配慮し、出店者・来場者の顔は一切映していません。 「難民・移民フェス」知ったきっかけはラジオ。 2022年11月23日。「難民・移民フェス」に行って来ました。 興味をもったきっかけは、7月にTBSラジオ「荻上チキsession」をきいたことでした。 この回では、第一回難民・移民フェスの様子が紹介されていたのですが、難民や移民ときいてもその現状はまったく知らなかった私は、愕然としました。 「そんなに大変な思いをしてい

約1,000人の大行進!東京トランスマーチ2022が「想像以上」の連続だった

2022年11月12日(土)。東京都新宿区で「東京トランスマーチ2022」が開催されました。 11月20日の「トランスジェンダー追悼の日」に先駆け、トランスジェンダー認知週間に開催されたこのイベント。 一部報道によれば、当事者を含めた約1,000人がマーチに参加したとのこと。 会場に、路上に、まさに多様な人々が大集合して、メッセージを発信しました。その様子をレポートします。 賑わうブース、熱いスピーチ。多様性を体現した会場はグッドバイブス会場となったのは、東京都新宿区の新宿

娘が教えてくれたスポーツの本質。チャレスポ!TOKYO体験記〜死ぬほどカワイイグッズも衝動買い〜

秋はスポーツイベントの季節。 パラスポーツも例外ではありません。 10月8日(土)、東京・有明で開催されていた「チャレスポ!TOKYO」というイベントに行ってきまして。 まーこれが、想像の上をいく面白さだったわけです。 一緒に行った5歳の娘も、熱中しまくり。あっちこっちのブースを飛び回っていました。 もちろんいずれも大人の好奇心に堪えるものばかり。 かくいう私も「これオモロい!」体験を満喫した一人です。 17:00の終了時間まであっという間でした。 このイベント、いろい

家族にトランス当事者がいた私が悶絶した映画「片袖の魚」〜マイクロアグレッションは本当に”マイクロ”か問題〜【ネタバレ注意】

『居心地が悪くなる映画』というものがあります。 もちろん、いい意味で。 自分が今いる場所を疑うきっかけになってくれる。そんな映画。 シアターフォーオールで配信されている「片袖の魚」という映画が、まさにそれでした。 悪意なき人々が意図せずに、だからこそ日常的にとってしまう差別的言動。 そんな、"マイノリティへの小さな攻撃”がテーマの一つです。 監督いわく 「日本で初めて、トランスジェンダー当事者を一般公募でオーディションして作られた映画」。 とのこと。 読後感は、ソワソワ

観る!やる!世界が広がる!ブラインドサッカー「LIGA.i」がキッズ・レジャーとしても楽しめる理由

面白さを探さなくても、面白い。 スポーツに限らず、何か初めての体験をするときには、これがその後の興味を左右すると思います。 そこに縁を感じるというか、出会いがあるというか。 子どもが体験するものなら、なおさら。 今のところとりたてて障害のない自分にとって、 パラスポーツや障害者スポーツの面白さを知るには、 想像力を働かせる必要があったりします。ちょっとアタマを使う。 そこが妙味であり、人によってはハードルになることもあるのでは、と。 しかし。 ブラインドサッカーのトップ

アトラクション的「TOKYOパラスポーツパークin駒沢」漫喫記〜こりゃ子どもにウケるにきまってる〜

パラスポーツはスポーツでありながら、ゲームに似ています。 その多くは機器を操って(デザインがまたそそる)、まったく未知の体験ができる。 そりゃ、やってみれば面白いにきまってます。子どもは特に。 そんなことを、初めて知りました、今回。 先週末の8月20日、東京・駒沢で開催された「パラスポーツパークin駒沢」に、家族で行ってきたんですが。 べらぼうに面白かったので、ここに書き残しておこうと思います。 予想以上に盛況。パラスポーツの認知アップを目の当たりに。 東京・駒沢といい

元・宗教3世が観た、映画「寛解の連続」【ネタバレ注意】

久々です。思わず天井を仰いでしまった映画は。 「わー」とも「あー」ともつかない唸り声を上げながら。 しかも開始早々10分そこそこで。 そこから100分間、ズブズブどっぷりです。 映画のタイトルは「寛解の連続」といいます。 あまりに面白かったのは、自分と共通点がありすぎたから。 その感想を ・ヒップホップ映画としての魅力 ・元・宗教3世から観た、ラッパー小林勝行 という観点で述べてみたいと思います。 なので、以下ネタバレを含みます。未見の方はご注意ください。 でも、本当に

レインボープライドに行って、肩車できるうちはしたほうがいいって思った話。

「やっぱりレインボーパレードっつーくらいだから、雨はつきものなんじゃないの?」 「あんな。雨のあとに晴れんと出ないんで、レインボーはよ。それと、パレードやなくて、レインボー”プライド”やで」 「ほんとに俺が楽しみにしてると、確実に雨が降るよね」 「あんたの雨男っぷりは、ほんと迷惑やで。パレードの人ら風邪ひいたらアンタのせいやで」 2022年4月24日。東京・渋谷?代々木?で行われた東京レインボープライドに行ってみたんです。家族で。娘と、出不精の妻も珍しく一緒に。 日曜日に。雨

元・結婚情報誌編集者も思わず泣いた。二人の新郎を寿ぐ披露宴ムービー〜たった5分で多幸感100%の物語〜

映画祭で、披露宴ムービーを、流すの? 何かの間違いだと思いました。もし本当だったら世も末だと。 しかし、映画祭のフライヤーには、確かに書いてありました。 「結婚式披露宴ムービー(5分)」と。 その映画祭とは、札幌LGBTQ映画祭2022。2022年9月に開催していました。 私はかつて結婚情報誌の編集者兼ライターをやっていました。 なのでこのテの結婚式やら披露宴やらの動画は、ひと様よりいくぶん多く観ている自負があります。 ちょっとやそっとじゃ、心が動くこともありません。 寂