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読書記録 #23『百年文庫・02・絆』

 今回は、『百年文庫・02・絆』の読了記録です。

 まずはこの『百年文庫』シリーズの紹介から。
 このシリーズは、漢字一文字を1テーマとして1冊に三人の短編が収録されているというものです。
 図書館でたまたま見つけたシリーズで、面白そうなので全部読破してみたいと思い挑戦中であります。

 今回はその中の二番目、「絆」の一文字をテーマにした三人の作家の短編のご紹介です。
 まず最初は海音寺潮五郎。はじめて知ったのですが、1901年に鹿児島に生まれた作家で、史伝小説を書いた、戦時を生き抜いた骨太な方のようです。
 次は、誰もが知るイギリスの作家であるコナン・ドイル。あの『名探偵コナン』の主人公、江戸川コナンの名前の由来にもなっていますね。
 最後は、山本周五郎。1903年山梨県生まれで、純文学と大衆小説の別なく歴史小説を多く書いた作家です。文学賞の名前にもなっていますね。

 今回は隙間時間をぬって読書を進めていたということもあり、はじめの海音寺と次のコナン・ドイルは登場人物が多くなったところで途中やめをしてしまいまして、読破できたのは最後の山本周五郎の短編『山椿』だけでした。
 なので今回はその感想となります。
 今回の『山椿』ですが、一文一文に重みがあり、短編とは思えないほどの、中編を読んだかのような読了感がありました。
 以下、引用です。

 ――屈辱と怒りのために頭が痺れ、足が震えた、自分を醜い唾棄すべき者のように思う反面、不当な侮辱に対する怒りが抑えようもなく燃え上った。

『百年文庫・2・絆・山椿』山本周五郎

 この一文にずっしりとした重みを感じました。
 私も小説を書きますが、思わず「こんな重厚な文章を書いてみたい」とうなり、こうしてメモしております。
 それよりなにより、だいぶ昔に発行された文章、しかも舞台はおそらく江戸時代なのに、読んでいてまったく古びない感じを受けたので、そこが御大の技なのだろうなあすごいなあと思いました。
 話としては二つのオチがあり、一つ目のオチが読めてしまったため少々面白みに欠けましたが、二つ目のオチまでは読み切れなかったのでそこは楽しめました。あれだけの短い短編の中で二つもオチをつけるというのもまたすごいのですが。
 ともあれ、短編集としては薄くて読みやすいものになっているので、ちょっと何か読みたい時におすすめです。



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