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読書記録 #21 『悪魔の手毬唄』

 今回は、とあるミステリーの本の最後に紹介のあった『悪魔の手毬唄』(横溝正史)の感想です。

 まずタイトルだけ見て、「ださい……」と思ってしまいました。だって今時「悪魔」って。昭和の子供向けアニメじゃあるまいし。と。
 けれど違ったんですね。
 なんとこの本が書かれた時代がまさに昭和のことで、さらに中身を読み進めてみると、なんと有名な「金田一耕助」が出てくるではありませんか。
 びっくりしました。
 誰でも一度は名前の聞いたことがあるであろう「金田一耕助」。そのシリーズ第三弾だったんですね。
 へー。横溝正史っていう作家さんが「金田一耕助」を生んだのか、と、ひとりじんわり感動しました(ものを知らなくてすみません)。

 そんなスタートだったのですが、会話文がメインで、その会話文がすべて岡山の方言なんですね。慣れるまでに苦労しましたが、慣れてしまうと作品の味となりスラスラ読み進めることができました。
 最初だけ紹介しますと、ある日金田一耕助が休暇のために人気のない田舎に宿をとりたいと磯川警部に相談するところから話は始まります。実は磯川警部はとある田舎の過去の事件を忘れられなくて、その話を金田一耕助に語って聞かせます。金田一耕助は興味を持ち、実際にその村に宿をとります。そこで数々の事件が起きるわけですね。そして最後は見事に謎解きで終わる、という塩梅でした。

 私が図書館で借りた版の最後にのっていた「特別インタビュー」では、「戦後探偵小説の歩み」と題して、戦後の文学界隈の話が紹介されていました。なんでも、戦争が終わって著者は「これで探偵小説が書ける」と思ってほっとしたのだとか。戦争中は国威掲揚の小説しか書けなかったらしいのです。そう思うと、今の時代は色んな小説があっていい時代だなと思いました(最近はなにかとぶっそうですが)。
 いつまでもこうした自由な表現が失われないといいなあと思いました。



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