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遺伝子組換え食品の食品表示について

買い物に行った際、原材料表示の中でも、気にする人は良く見るであろう『遺伝子組換えでない』の表示の有無。
他にも『遺伝子組換え』や『遺伝子組換え不分別』など、様々表示が行われているが、それぞれの違いについて纏めて行こうと思います。

・遺伝子組換え食品の表示義務

そもそも国内において、流通している遺伝子組換え食品はどれだけあるかご存知でしょうか?
農作物として『8作物』加工食品として『33食品群』も存在しています。

国内流通している遺伝子組換え農産物及び加工食品

これらは、品種ごとに『食品安全基本法』や『食品衛生法』、野生動植物への影響を考慮する上で『カルタヘナ法』に基づいて定められています。

・参考サイト
Bene:知っておきたい!日本で遺伝子組み換えが許可されている8つの食品

・遺伝子組換え食品の表示に関する国際基準

各地域によって基準が異なっており、全ての国や地域の基準を書き出すと物凄く長くなってしまうので、3地域(米国・欧州連合(EU)、オーストラリア・ニュージーランド)に絞って見て行こうと思います。
又、丁寧に纏められているサイトがありましたので、他の地域の基準が知りたい場合は、参考サイトへ飛んでみて下さい。

米国
元来、遺伝子組換え食品に関する表示義務はありませんでした。
しかし、2016年7月に『全米遺伝子工学食品開示法』の成立によって、USDA(米国農務省)により情報開示基準が制定されました。
その後、経過措置を経て2022年1月により、全ての事業者に遵守が義務付けられています。
また、意図せざる遺伝子組換え食物の混入はそれぞれの原材料に関して5%まで認められています。

欧州連合(EU)
商品化されている全ての遺伝子組換え作物には、原則『表示・トレーサビリティ規則No.1830/2003』の元で、流通記録の5年間保持かつ表示義務が課せられています。
また、承認を得ている作物に関しては、偶発的に組換え体が混ざった場合には、個々の原材料毎に占める割合の0.9%以下であれば、表示を免除することが可能になっています。

オーストラリア・ニュージーランド
オーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)によって、両国の食品の企画や表示の基準については共同で策定しています。
当該国食品基準規範の内、基準1.5.2(1999年制定)により、遺伝子組換え食品の販売を規制しています。
①市場導入前の安全性評価の義務及び②表示の義務の規定
2001年12月から、遺伝子組換え由来の作物及び加工食品についても、表示が義務付けられました。
また、各原材料に含まれる意図せずに混入した遺伝子組換え食品の割合が1%以下の場合には表示が免除されています。

・参考サイト
ハイテク情報普及会:世界各国・地域の規制

各国・各地域でこれだけ表示に関して基準がバラバラである事からも、遺伝子組換え食品の安全性はどうなのか?少し疑念を持ってしまう所もあります。
では、日本の基準はどうなのか?引き続き見て行こうと思います。

・日本における遺伝子組換え食品の表示基準

基本的に遺伝子組換えされた物が含まれている場合は、原則『表示義務』があります。
また、加工後にも組換えられたDNA及びこれらによって生じたタンパク質が検出できる場合は、以下に示す3区分により表示される事となっています。

遺伝子組換え食品の表示例

ここで『分別生産流通管理(IPハンドリング)』って何?となる人が多いと思いますので簡単に説明しますが、遺伝子組換え農作物及び非遺伝子組換え農作物を生産・流通・加工の各段階で混入が起こらないように分別・管理して、その旨を証明する書類によって管理する仕組みのことを言います。

ただし、この仕組みが適切に行われていたとしても、遺伝子組換え農作物の混入が一定数ある為、大豆及びトウモロコシ(また、それらを原料とする加工食品)については5%以下の『意図せざる混入』が認められています(混入の有無に関しては任意表示)。

また、組換えられたDNA及びこれらによって生じたタンパク質が、加工工程で除去・分解されてしまう加工食品や、遺伝子組換え食品作物が主な原材料(重量ベースで上位3位までかつ5%以上)でない場合については、表示義務は課せられていません(任意表示)。

以下に、表示が不要な加工食品と対象の作物に関して纏めました。

表示が不要な加工食品と対象の作物一覧

普段購入している物の食品表示って、国内に流通している物は海外の基準と比較して表示が省略されている事が分かったかと思います。
しかし、メーカーによっては表示免除になっている加工食品でも、購入者の事を考えて表示している物もあるので、購入に当たってどういったものが使われているのか?が気になる方は、直接加工食品のメーカーに問い合わせても良いかもしれません。

・参考サイト
東京都福祉保健局:遺伝子組換え食品の表示は、法令でどのように決められているのでしょうか?【食品安全FAQ】

・2023年4月から改定される遺伝子組換え表示制度

最後に今年(2023年)の4月から改定される、遺伝子組換え表示について見て行こうと思います。
ただ、消費者庁のPDFファイルや他の方が上手く纏められているので、詳しい事は参考サイトのリンクから飛んで貰えると良いんですが、自分が勉強する上で簡潔に纏めようと思います。

大きく変わる点としては『任意表示』に関する所、主に前述した大豆トウモロコシに関しての任意表示について、少し厳格化される事となっています。
(因みに『義務表示』の対象となっている物の制度の変更は現状ありません。)

従来の制度では先程まとめた通りではありますが、分別生産流通管理をして意図せざる混入を5%以下に抑えている物(大豆及びトウモロコシ)及びそれらを原料とする加工食品に関しては『遺伝子組換えでない』『非遺伝子組換え』などの表示が可能となっています(任意表示)。

この『遺伝子組換えでない』『非遺伝子組換え』の任意表示に関しては、分別生産流通管理をして、遺伝子組換えの混入がないと認められた物(大豆及びトウモロコシ)及びそれらを原料とする加工食品に限定されることとなります。
また、旧基準に当てはまる物及びそれらを原料とする加工食品については、『適切に分別生産流通管理された旨の表示』が可能となっています。

・参考リンク
消費者庁:知っていますか?遺伝子組換え表示制度
FOODS CHANNEL:2023年4月に新たな遺伝子組換え表示制度が施行。食品メーカーの『任意表示』への対応法

・最後に…

ここまで、読んでいただきありがとうございます。
法改正等あれば、随時記事の修正や追加で記事をUPしていきますので、楽しみにお待ちいただけると幸いです。

最終更新日:2023/02/27 ©くりゅー

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