Luna Papa
コロナ禍以降の1〜2年で映画を観るハードルが上がってしまっている気がする。2019年なんかは京橋や水道橋のアテネ・フランセで週に2本は映画館で観る映画中心の生活をしていた。
コロナ禍になり、明日を健康に生きられるかどうかが不安になってしまい、趣味どころではなくなった。映画を観に行く気力体力は消え失せて、殺風景な自室で独り人生の残り時間を意識する日々だった。
どうせ死ぬんだったら、好きなものに囲まれて暮らす生活が出来たらいいなとぼんやり夢想することもあったけど、金も実現させる手段もなく悶々とするだけ…
コロナ禍が明けて社会人になり、給料を貰えるようになった途端に塞いでいた欲求が一気にブースト。興味関心は映画以外にも拡散していて、2024年6月時点で私の部屋には美術展の図録やCD、小唄事典が積んであり、ダニエル・シュミットやウルリケ・オッティンガー、ミスター・バングルの大判ポスターが壁に飾ってある。ステイホーム仕様になったのか...?
今現在…映画は好きなものだけを観るスタイルにシフトしていて、手元に好きな映画のDVDとBlu-rayが9割揃っているので趣味としてはもう“上がり”だと思う。
そんな心境に至ったのは、タジキスタンの映画監督フドイナザーロフの『ルナ・パパ』を観たことがトリガーになった。
とにかく画面が豊か。理詰めで考えても、感性でも自分の100%好みだと言い切れる。
コケティッシュなヒロイン、自由奔放でブッ飛んだストーリーテリング、空が広く奥行きを感じさせる画面設計…絶え間ないアクションと美しい構図のショットも見事だし、小道具の使い方も遊びゴコロを感じる。粋!!
ずっと部屋で流していたい…水色と砂色を基調とした画面の配色に癒されるし、ダウナーな気分にならないようにする行き届いた演出の気配りも感じるんですよ!
妖艶な雰囲気に満ちたダニエル・シュミット&ファスビンダー『天使の影』とは好対照かも。
『天使の影』Blu-rayが今年の3月『フドイナザーロフBOX』Blu-rayが今年の4月に発売されたんだっけ…
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